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不動産投資の種類①【新築区分】

複数回にわたり、不動産投資にはどんなものがあるのかを見ていきます。一口に不動産投資といってもその種類は様々です。それぞれ一長一短があり、自分に合った投資手法を選んでいく必要があります。

一連の連載の目的は、不動産投資の典型的なパターンについて、ざっくりとしたイメージを持ってもらうことです。まず、新築区分と戸建てを説明し、次いで地方一棟を都内一棟と比較しながら説明します。今回は新築区分についてです。

新築区分(ワンルームマンション)

本稿では、新築区分(ワンルームマンション)についてメリット、デメリット両方を確認し、私見を述べたいと思います。また、以下の視点で三段階評価(A:上出来、B:普通、C:困難)を下していきます。

評価ポイント
① 運用益(インカム)
② 転売益(キャピタル)
③ 節税
④ 資産形成
⑤ 投資の容易性
⑥ 取り組みやすさ

では、早速見ていきましょう。

特徴

メリットは3つあります。

①  額が1000~2000万円前後と比較的低価格
②  場所が都内であり安心できる
③  当初は融資が付易い

①「額が1000~2000万円前後と比較的低価格」に関しては、低価格ということもあって手が出しやすいですね。初心者向けの不動産投資の本などでもこの点で推奨しているものが多くあります。

②「場所が都内であり安心できる」に関しては、都心やその近郊で働く副業を検討しているサラリーマンにとっては大事なポイントでしょう。平日の空き時間や休日を用いての不動産投資になるでしょうから、生活に負担をかけずに現物確認を出来るのは助かりますね。

③「当初は融資が付易い」に関しては、はじめの一歩を踏み出す上で重要です。①②と合わせて心理的なハードルを下げてくれます。

では、デメリットを見ていきましょう。実は新築区分というのは、たびたび不動産投資の失敗例に挙げられるのです。何が問題かを一言で言うと「思ったより儲からない。それが30年続く」ということです。

デメリットは3つあります。

①運用益がほとんどない
②新築家賃はいずれ下落する
③融資が続かない

①「運用益がほとんどない」に関しては、特に利回りを基準に判断される方に多い失敗です。このパターンの収入は基本的に家賃収入になります。それに対し、出費はローンだけでなく、共益費、修繕積立金、保証料、固定資産税、そして空室損失等の経費があまた発生します。目先の利回りにとらわれ、こうした出費を正確に把握していない方たちが多いです。これらを正確に把握するのは難しく、想定していない出費が続き「あまり儲からない」という結果になってしまう人が後を絶ちません。端的に言えば、1000万円から2000万円投資しているのにも関わらず、ほとんど儲からない期間がローン返済するまでの長い期間続くのです。

②「新築家賃はいずれ下落する」に関して、新築はその名の通り新築であるからこそ高い家賃収入を見込めます。しかし、当たり前ですが時と共に新築も古くなります。そうすると当初の家賃では空室が出てくるようになり、自ずから家賃の減額に至ります。家賃収入が当初の想定を大きく下回ることはままあることなのです。またそうした時の流れは、大規模な修繕等で想定以上の追加費用も発生させます。 さらに購入時は新築なので、相対的に高値で掴んでおり、転売してもあまり儲からないという落とし穴があります。

③「融資が続かない」に関しては、土地が共有のため、担保として弱いので融資が続かなくなりがちです。

評価

(A:上出来、B:普通、C:困難)

運用益 C(ほとんど儲からない
転売益 C(新築なので高掴みしており、転売時にはガクッと値が下がる可能性がある)
資産形成 B(30年後は立派な資産になるが、土地が共有である点がマイナス)
融資 A (当初の2,3棟は容易)
手軽さ A(最初の一歩のハードルが低い)

私ならどうするか?

買いません。運用益がほとんどない状況で30年間持ちこたえる自信がありません。基本的に区分は買いませんが、買うとしても最初から利益の出る築古区分を買います。

この記事を書いた人

中島亮(なかしまりょう)

中央大学法学部卒。法務博士。大家向けN塾主宰

主に地方の一棟アパートを購入する個人不動産投資家。
サラリーマン15年目にアパート投資を開始。
その後、6年間で10棟93戸を購入し、退職。

現在、39棟383世帯所有。年間賃料19,000万円超え。キャッシュフローは実質3,000万円を超えている。

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