美大に入るまで、入った後
私はこの春、美大に入学した。
私はAO入試で美大に入った。実技でも勉強でも高3の冬まで続けられる自信がなかったし、作品なら少しある、ただその理由だけでAOを選んだ。
高2の秋、周りより遥かに遅れて小さなとこではあるけれどデッサンの教室に通い始めた。高2の間は週に1回通っていた。正直何も楽しくないし何より周りは本当に上手い人ばかりなので自分だけ下手なのが苦痛だった。
そして高3、週に2回通い始めた。最初は11月に試験がある大学を目指していたけれど、途中で変更して8月に試験がある大学に決めた。変更した時は既に5月だった。夏休みは全部教室に通いつめていた。通ってる中で掛けられる言葉は決して褒め言葉ではなかった。10回に1回褒められればいいくらい。私はこれまで甘えて生きてきたのでこんなに精神が病んだのは初めてだった。
掛けられる言葉+当時悩んでいたことで常に精神はボロボロで軽く鬱になりかけだった。だけど他の大学を勧められても、どんなに精神が病んでも美大以外絶対に行きたくないという気持ちは絶対に消えなかった。
試験前日までポートフォリオ作りは終わらなかった。そして面接の練習も2回しかできなかった。
試験当日、ガチガチに緊張しながらも必死に私なりのアピールをした。どんなものを作ってるかだけでなく私の性格など全てを伝える勢いだった。何を喋ったかはあまり覚えてない、ただ自分の中ではやり切ったそれだけだった。
結果、合格。
死ぬほど喜んだ、結果を見た時は泣いたし家族にもすぐ伝えた。
合格してから入学までの期間はすぐ嫌いなデッサンをやめて何にもとらわれない日々を送っていた。
そして新年早々感染症が広まり卒業式も簡単にしか行われず、あっけなく私はJKというものを卒業した。
卒業してからは大学には行けないと知った。
誰の顔も知らないまま授業が始まった。
授業はそれぞれ楽しいものもつまらないものもあった。まぁまぁ大学というものを味わえた。
だけどふと今になって思い返してみた。
私はなんのために美大に入ったんだろう、と。
あの時なぜ私はあそこまで必死に美大以外絶対行かないなどと決めていたのか。あの時私が何を目指していたのかは今の私にはもう分からない。美大に入った今、何も目指すものがなくなってしまったのだ。きっと自分の中でゴールが美大入学で、志望動機に書いていた将来なりたいものは必死に長く文を書けるものとして無理やり生み出しただけのもので本気ではなかった、そう思う。
入った理由は分からない、とりあえず授業を受けて何となくすごす、それって普通の大学でもできることで特別美大じゃなきゃいけないなどない。
この気持ちのまま過ごすといけない、それしかわからない。私は「美大生」という文字にきっと囚われている。美大に行ったから芸術の道を歩む、そういうもんだと思っていたがやはりそうでは無い事もあるし違う道を行く人もきっと多い。
だけどそうなるといよいよ必死こいて美大に入った意味がわからなくなってしまうのだ、学歴に囚われないことはいい事だがどうしても今の自分にはじゃあ何故?という質問が出てきてしまう。
今思うのは私には他の道があったのかもしれない。美大に入って基礎を学べて色々取り入れられる事はあった、だけどやっぱりそれが将来に繋がるわけではなくどうして?何故?が頭にある。それを抱えて大学生活を過ごすには荷が重すぎる、今はそう思う。
とはいえまだ大学生活は始まったばかりなのでこれから何かを見つけていきたい、見つけてほしいと私は思う。
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