成功するソーシャルリスニングの共通点
みなさん、こんにちはソーシャルリスニングBlogです。
今回は、『マーケティングリサーチ』の視点で、SNSデータ分析をどのような場面でどんなふうに利用することができるのかを整理してみたいと思います。
グローバル案件や国内案件を横断して、上手くいっているソーシャルリスニングPJ/SNSデータ分析活用には、どのような共通点が見られるのか、を複数の視点でまとめます。
SNSデータ分析が成功するためには、「どのように課題設定するか」や「どのように分析プランを立てるか」など多岐にわたります。
今回は、それらをまとめて、成功するSNSデータ分析に共通するパターンを整理したものだとご理解ください。
ポイント1:UGCを活用しようとしている
皆さんは、最近広告の効果が低下していると感じたことはありますか? もしYESなら、一緒に考えてみましょう。ユーザー生成コンテンツ(UGC)がセールスにつながるかもしれませんよ。それならば、どのようにしてそのUGCを生み出し、理解すればいいのでしょう?
そこで役立つのがSNS分析です。ユーザーが投稿した写真や、ツイート、レビューなどのUGCを分析し、どのようなコンテンツが注目され、共有されているのかを把握することが可能です。例えば、特定の商品やサービスに対するユーザーのコメントを集め、感情分析を行うことで、その商品やサービスに対するユーザーの本当の感情や意見を見つけ出すことができます。
また、ハッシュタグやキーワードのトレンド分析を行うことで、特定の商品カテゴリーに対するユーザーの関心や需要を読み解くことも可能です。これにより、ブランドとカテゴリーレベルの両面から、UGCの内容とメカニズムを理解し、それに基づいたマーケティング戦略を立てることが可能になるのです。
ポイント2:ニッチ層を深く理解しようとする
今、社会全体が一つの方向に同じ行動をする時代ではありませんよね?スモールマスの集合体、つまりニッチな層が今のマーケットを形成しています。でも、それってリサーチするのにサンプル数が足りないし、そもそもどうやって理解すればいいの?
この悩みもSNS分析が解決します。例えば、特定のハッシュタグやキーワードを使って投稿をしているユーザーのプロフィールを見ることで、彼らの年齢、性別、地域、興味・趣味などを把握できます。更には、彼らがどのような投稿をいいねしたり、シェアしたり、コメントしたりしているかを分析することで、彼らの価値観やライフスタイル、商品に対する感情も理解することができます。
また、特定の商品やサービスに関連する投稿のユーザー間で頻繁に現れるトピックや語彙を分析することで、彼らが何を重視しているのか、どのような言葉でその商品やサービスを説明しているのかを見つけ出すことが可能です。これにより、SNSを通じて個性的な興味関心領域をしっかり理解することができるのです。
このアプローチは、先進層やプロシューマ―を理解することや、特定の条件に合致するスモールマスを理解するなど、応用範囲は多岐に渡ります。
ポイント3:データサイエンスだけで満足しない
SNS分析は「ビッグデータ」「データサイエンス」「機械学習」など、テクノロジーが非常に重要な役割を果たしています。確かに、これらのテクノロジーは我々に膨大なデータを整理し、パターンを見つけ出す力を与えてくれます。しかし、それらだけでは5合目までしか登れません。
具体的な例を挙げてみましょう。SNS分析で「#あなたの商品」のハッシュタグが急上昇したとします。データサイエンスができることは、その上昇のスピードや範囲、ハッシュタグが使われた投稿の数などを正確に数値化し、視覚化することです。
しかし、その上昇が何を意味するのか、それがビジネスにどう影響するのかを理解するには、質的な深掘りが必要です。例えば、なぜそのハッシュタグが急上昇したのか、それに対するユーザーの感情や意図は何か、そしてそれが商品のセールスやブランドの評価にどのように影響するのかを理解するためには、投稿の内容を深く読み解き、ユーザーの声に耳を傾けることが重要です。
つまり、データサイエンスと質的分析を両輪で回すことが、SNS分析を最大限に活用するための鍵となるのです。データサイエンスは確かにパワフルですが、そのパワーをコントロールし、適切な方向に導くことが必要です。それはちょうど、山を登る時に良い装備と最新のテクノロジーがあっても、道を見失ってしまえば意味がないのと同じです。データサイエンスが道具であるならば、質的な理解はその道を照らすコンパスのようなものです。
これからのビジネスシーンで求められるのは、このデータサイエンスと質的分析のバランスをとる能力、すなわち「データサイエンティスト」でありながらも、「ストーリーテラー」であることができるタレントです。彼らは、ビッグデータを駆使して複雑なパターンを見つけ出すだけでなく、そのパターンから意味を見つけ、ビジネスの意思決定に直結する具体的なアクションを提案することができます。
データサイエンスと質的分析のハーモニーが、SNS分析の可能性を最大限に引き出し、ビジネスの新たな価値を生み出すのです。
ポイント4:定量結果の理解を深めようとしている
定量調査でファクトを確認するのは大切です。しかし、心理的な側面(理由やイメージなど)を深く理解するためには、その解像度はまだまだ高くありません。これは、SNSデータでUGC(ユーザー生成コンテンツ)を深く分析することで補うことができます。
例えば、ある製品に対する口コミ投稿を集計し、その中からよく使われるキーワードやフレーズを見つけ出すことが可能です。これにより、製品の特定の特性や機能がユーザーの評価にどのように影響しているのか、また、その評価がポジティブかネガティブかということを定量的に把握することができます。
更には、その投稿の中から感情的な表現や独自の言い回しをピックアップすることで、その製品に対するユーザーの深い感情や価値観を理解することも可能です。これらの情報をもとに、定量調査の結果を質的にリッチにし、ビジネス示唆をより具体的でアクショナブルなものにすることができます。
つまり、定量とSNS分析は、それぞれが持つ強みを活かしながら相互補完的に機能することで、より深い洞察を得ることができるのです。一方を追いながらも他方を手に入れる――まさに二兎を追う者は一兎をも得る、という状況ですね。
ポイント5:今まで以上に視野や仮説を広げようとしている
新規領域への進出は、未踏の土地に一歩足を踏み出すようなもの。無数の可能性がある一方で、危険と障害も潜んでいます。そんなとき、SNS分析は私たちのコンパスとなります。
SNS分析を先行させることで、大まかな地形図を描くことができます。彼らがどのような言葉を使っているのか、どのような話題について議論しているのか、あるいはどのような感情を抱いているのかを掴むことができます。そして、その情報をもとに、深掘りすべき場所や、追求すべきトピックを見つけ出すことができます。
例えば、新たなターゲットマーケットが環境問題に深い関心を示していることをSNS分析から見つけたとします。それは、定性調査の方向性を示す指針となります。このターゲットマーケットがどのように環境問題を理解し、自分たちの生活や価値観にどのように結びつけているのかを深掘りする定性調査を設計することができます。
また、その結果から、新しい製品開発やマーケティング戦略のヒントを得ることができるでしょう。彼らが環境問題に対してどのような解決策を求めているのか、また、どのような行動をとっているのかを理解することで、彼らのニーズに対応する新しい商品やサービスを考えることができます。
これがSNS分析と定性調査が協働する力です。未知の領域を探検する航海者にとって、SNS分析は道しるべ、定性調査はその道しるべを深く掘り下げ、具体的な行動につなげるための道具となるのです。
まとめ
このように、マーケティングリサーチの中でSNSデータ分析が活きる場面はたくさんあります。また、表面的なデータ処理(ファクトの整理)で終わらせない方法も研究が進んでます。
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