ビビデバビデブー
シンデレラを映画館で観てきた。
ディズニー映画はいくつか祖父の家にVHSがあり、幼い頃に泊まった時には見ていたが、多分シンデレラはなかった。
ざっくりしたストーリーは知っているが、ほぼ初見。
とても良かった。
魔法もユーモアも、種類が若干今とは違う。
動物を人間のように動かすという点で、描写の精度がすごい。人間側も動物側も。
憎たらしい猫(名前はルシファー。名は体をあらわすが、飼ってる継母のネーミングセンスは終わっている)の動作や表情とか、どちらかといえば悪役の立場だけど「あ〜〜〜猫!!!!」ってなった。
大活躍のネズミたちの人間らしさもすごいんだよな。心理描写とかそれによる動きに不自然さがなくて、登場“人物”としてスっと入ってくる。
しゃべる動物としゃべらない動物がいるけど、しゃべらない動物の描写は本当にすごい(語彙がない)。
表情や動作、鳴き声なんかで感情とか考えが無理なく理解できるのってやっぱり無声映画から培ってきた技術が為せるワザなのかもしれない。
ストーリーとしても、うまくできているなと思った。
不遇ながら美しい娘に幸運が重なり、最終的に選ばれるというところだけ見れば、単なるおとぎ話で、子供だましとして片付けられてしまうかもしれない。
シンデレラは“持っている”側の人間で、容姿も声も美しい上に歌も上手く、要領もいい。
僻まれて当たり前のスペックだ。描き方次第では、画面の向こう側の視聴者さえも劣等感を抱きかねないし、シンデレラの幸運と幸福を喜べないかもしれない。
ただ、ここで継母と姉2人のヤバさが良い仕事をしている。
ギャンギャンうるさくて幼い姉、一応それらしい理由をつけて冷静に、時に大胆に虐待する継母、気持ちの良いほどの外道。
フィジカルにもメンタルにも確実にダメージを与えてくる理不尽な嫌がらせの数々は、否が応でも観客をシンデレラの味方にするパワーがある。
シンデレラの味方である動物たちがイマイチ報われないながらもその能力を最大限活かして奮闘するのも、ご都合主義感が薄くなって良い。ちょっと可哀想ではあるけど。
ガラスの靴が片方だけ脱げてしまうのも、良い伏線になっている。
原作はうろ覚えだけど、原作の残虐なラスト(というか継母姉妹の末路)はさすがにカットされているとはいえ、子ども向けにチープにしたとは思われない出来になっていると思う。名作だ。正直ちょっと泣いちゃった。展開知ってるのに。
途中から隣かその周辺からかなりすすり泣きが聞こえて気になったけど、同時に自分の涙腺だけが鬼雑魚なわけではないんだなと安心した。
歌も良かったから29日のファンタジアも楽しみ。変な席だけどな。