TATAMI ReFAB PROJECT  株式会社HONOKA.lab 横山さんインタビュー

こんにちは!洞口苗子研究室 4年渡邊です。今回初投稿のため、不慣れな部分があるかと存じますが、大目に見ていただければ幸いです…!現在卒業論文の制作真っ最中なのですが、まだまだ提出は先だと思っていた提出期限もかなり近づいてきました…。提出期限に余裕を持てるよう、今後コツコツ進めて参ります…!

インタビューに至るまでの経緯

私の卒業論文についてですが、「リサイクル素材」「3Dプリンター」がカギになっています。リサイクル素材とは、本来廃棄予定であったものを、素材として生まれ変わらせるものです。調べていく中で、株式会社HONOKA.labの「TATAMI ReFAB PROJECT」を発見しました。実店舗がない会社であり、展示会等のイベントでしか閲覧できないとのことだった。しかし、実際に見てみたいという気持ちと、直接お話を伺いたいと思い、問い合わせたところ対応してくれるとのことで、今回実現することができました。横浜高島屋にて開催されていたHONOKA×TAKASHIMAYA  TSUNAGU ACTION POP-UPに伺い、インタビューを行いました。貴重なお話を聞かせていただきましたので、1人でも多くの方に読んでいただけるとうれしいです…!

”HONOKA”とは

多様な専門領域を持つデザイナーが集まり、素材・技術・文化の持続可能な体制を目指すデザインラボ。イタリア・ミラノで開催された世界的なデザインの祭典「ミラノサローネ国際家具見本市2023」において、審査に通過した約600組のデザイナーの中から選出されるグランプリ「 Salone Satellite Award 1st Prize 」を受賞し、現在国内外問わず注目される取り組みとなっている。今年10月に「株式会社HONOKA.lab」を設立した。

"素材の魅力っていうものを視覚化して、古き良き日本の素材を美しく消化することで、次世代に繋げていくプロジェクト"

横山さん:今回取り組んだ「TATAMIリファプロジェクト」は、畳を使用して作りました。日本古来から使われている畳は、廃棄されるものとかあったりしますし、現代では畳自体あまり使われていませんが、そういったものを現代の生活にマッチするような形に素材からアップデートして、プロダクトとして現在の使えるモダンな家具にすることで、次世代の素材の魅力をつないぐプロジェクトやりました。それを2023年のミラノサローネに出して、 運のいいことにグランプリになり、現在高島屋さんに展示させていただいたり、他イベントに参加させてもらったりしています。家具にはイグサが使われているのですが、イグサとは畳が作られる前のものです。染色したりとか、刈り取りとか、畳のサイズを揃えたりする工程で、切られた端っこが廃棄され、イグサが絶対出ます。全工程の約40%廃棄されるもので、 プラスでその廃棄されるイグサが実はこの世の中には存在していて、割と畳屋さんの倉庫とかに眠っていました。実はその畳の樹脂を最初に作ったのが僕です。きっかけとしては、畳屋さんの目の前にあるゴミ捨て場に大量に畳が捨てられていたっていうのが結構衝撃的でした。なぜ畳を捨てているのか聞くと、もうカビが生えていていらないと。使い道がなくて、結構もったいない。なぜもったいないかというのは、これだけ日本の伝統を象徴するような形がぽいっと、この展示している家具のレベルぐらいに捨てられていて、 本当に他の使い道はないのかなというところと、なんとなくその畳そのもの自体が廃れているイメージがありました。違う形でリサイクルすることで、現代に復興・復刻じゃないけれど、もっと再燃できるようなことができないかなというきっかけで始めました。その頃は全然まだHONOKAのようなプロジェクト等はなくて、僕が個人的にデザインコンペのように作っていました。この畳と樹脂を混ぜた謎の素材を、全然色もこんな感じの綺麗な色ではなくて、すごく茶色っぽいものです。これが最初に作りました。(画像①)これ自体は本当にもう廃棄されるこういう畳をもらって、それをミキサーで粉砕して、エポキシ樹脂っていう、混ぜると固まる樹脂と混ぜて、3Dプリンターに型作って流し込んで成形しました。これは、3Dプリンターで型作っているから、積層痕とか転写されています。最初は作ってみてどんな感じになるかな、こんな感じか。光にかざすとこれだけでもちょっとランプシェードっぽくなりそうだ、というのをやって、これはおもしろいなと。その後、デザインコンペに出して、結構いいところまで行きました。でも落ちてしまって。もうダメかなと思って、しばらく心の片隅においていたのですが、ある時にミラノサローネの方に個人的に出していたHONOKAのメンバーのハラダが、この畳樹脂素材を見つけて、これおもしろいねと。これをミラノで出したら絶対ウケるよねと話をして。で、HONOKAという組織ができました。
そこに色々とメンバー集まって、それぞれメンバーの強さというか、強みみたいなのがあるんですけど、空間作ったりとかプロダクト作ったりという強みを活かして、ミラノサローネに出しました。

画像①

HONOKAに使用している素材について

僕たちが作っている家具には、畳樹脂が使われています。畳樹脂には、この廃棄されるイグサと、この廃棄された畳の2種類を使って作っています。使う樹脂にもこだわろうということで、使っている樹脂は酢酸セルロースというものを使用しています。どんな樹脂かというと土の中に埋めておくと、土の中にいるバクテリアが食べてくれるような樹脂で要は、100%自然に還る樹脂です。ただ、まだ自然に還るかどうかは確認できていません。
で、実際に廃棄される畳をパウダー状に粉々にしたものと、酢酸セルロースを混ぜて、 リペレッターという米粒みたいなやつを作る機械があります。(画像②)その中に、粉砕したイグサと、このペレットを同時に塗ると混ざります。イグサが含まれた樹脂がこの状態で出てくるんですよ。その中に新しい高感を出したいっていうので、ちょっと緑色を追加してこれができました。今の色味に挑戦するのも結構時間かかりました。材料開発っていう点では、そういう感じの流れです。ポイントとしては、イグサと酢酸セルロースを混ぜるだけだと、この緑にさっき言ったようにならないです。イグサと酢酸セルロースを混ぜた状態のものが、この茶色になります。実際今ここにあるものって、世の中にこういう可能性がありますよねって提示しているコンセプトプロダクトの段階です。それをいかに今から仕上げていくかを考えています。それこそその畳屋さんとかの業界を活性化させたいじゃないですか。そういう仕組みを作るにはどうすればいいかって、そこまでやって初めてこのプロジェクトは完成なので、それをちょっと引き続きやっていきたいなと思っています。

画像②

素材の色について

緑色ではないけど、これはこれで良いなと。透明感のある茶色ですよね、どこかちょっと金色っぽいというか。この色を活かして、実は最近トロフィー作ったというお仕事をしました。(画像③)WWDさんというアパレル系のお仕事をしている会社さんのトロフィーを作りました。あれは木とこの畳樹脂を合わせました。最初は緑の色味でやりたいと、WWDさんは言っていたので試してみたらサボテンっぽい見た目でした。それなら、もうこっちの茶色の方がちょっとゴージャスなのではと。話をしたらWWDさんも合意してもらえたのでそれで出しました。なので、色味も割とこだわって作っています。

画像③


Q この緑色は自然由来のものなのか?
横山さん:鋭いご指摘ですが、実は使ってないです。でもできれば自然由来のものを使いたいです。なので、天然由来の顔料を我々実は開発しようとしています。そういう意味ではこのプロジェクトってまだ終わっていないです。だからこのプロジェクトは未完成です。

Q 3Dプリンターを使用するまでの経緯は?
横山さん:今回その形の編み直すっていうコンセプトやっていますが、編み直すって色々な解釈ができますよね。この家具の形自体が編み物っぽい構造だと思います。それと親和性の高い 現代の製造手法を組み合わせて新しく取り直したら面白いのではないかっていうところも実は考えています。それで3Dプリンターを使いました。ちょうど僕の方がデザインコンペの方に出してからしばらくして、謎に3Dプリンターに興味が出た時、もっと可能性あるんじゃないかと。 ただ小型の3Dプリンターだったら多分よく使われると思うんですけど、それだと満足できなくなるため、素材から作ってみました。むしろ、この畳の樹脂を3Dプリンターとかやったら絶対面白いだろうなと思って、素材から作って出力できるメーカーがないのかなっていうのを調べてみたら、たまたまそういうことをやられている会社さんがありました。これまた面白いのが、僕の個人にその会社さんからうちで研究してみないかと、偶然誘われました。だから、そこに弟子入りして、その素材開発について勉強して、こういう作り方を勉強して、今のプロジェクトに繋がっています。 そこの会社が持たれている大型3Dプリンターは、本当にこの店舗の敷地ぐらいの大きなサイズです。そのプリンターから出力したのが、この家具たちです。

Q イグサと酢酸セルロースの樹脂によって、自然に還る家具であるとのことでしたが、この家具が今後広まることでどれぐらい環境に配慮できるかは検証済みでしょうか。

それはやっていないです。ただ、基本的にプラスチック問題は、やっぱりそのまま素材として地球上に残ってしまうところだと思います。だから作れば作るほど環境へのゴミが増えます。この素材自体が自然に還ることでプラスチック問題のアドバンテージになると言われています。プラスチックは消えると仮定しましょう。要は作れば作るほど消えるのです。 基本的には環境負荷という点で、地球上にゴミを残さないっていうところが1番のアドバンテージだと思います。普通の石油性プラスチックや、plaって言われる3Dプリンターとかで使っているものもあります。Plaは実はトウモロコシなどを使った原料なので、あれも植物性プラスチックです。 ただ、植物性プラスチックと生分解性プラスチックは、厳密にいうと違います。植物性プラシックも分解されるのは200年ぐらいかかります。だから、実は環境に優しくないです。原料に石油が使われてないからまだ環境に優しいというだけです。ただ、生分解性プラスチックのいいところは、土に埋めておくと、そこの中にいるバクテリアが全部食べてくれるのでなくなります。 環境に優しいですよっていうロジックです。だから環境にいいだろうみたいな言われています。石油性プラスチックは石油性プラスチックで環境に優しくすることが実はあります。私たちも新作に取り組んで、この畳プロジェクト以外にTRACE OF WATERという新しいプロジェクトをしました。あれは色が結構綺麗ですが、石油性プラスチックです。だからプラスチックの面では、矛盾しています。 でもそれはそれで考えています。こうすれば環境に優しいよねという考え方があります。今少しだけ話すと、石油性プラスチックは結局地球に残りますよね。消せないプラスチックです。どうしたらいいかというと、捨てずに長く使い倒せばいいなと。建材っていう建築に使われるような曲を作ることでより長く使う。普通のこういう花瓶とかだとぶっちゃけすぐ捨てるかもしれないし、なかなか捨てないものに消化することで、できるだけ長く使っていっていうのがまず1つあって、健在をしました。その健在すらも、例えば壊れたら何回も砕いて、もう1回整形して使いまく。それだけにもまずリサイクルで、その樹脂で再利用できる回数は上限。樹脂として使えるは失う瞬間があります。で、そこからゴミになりますよね。それは良くないので、まだ使う。それを粉砕して粉にして、例えばこういうモルタルみたいなのと混ぜて壁に塗る。顕材として使えば第2の人生があるので、理論上は得意倒しますっていうことにして、エコです っていう感じです。苦しいけど、一応理論的にはできているという話です。


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