腕木式信号機について
腕木式信号機は日本に鉄道が伝わったころにはほぼ完成していた信号機です。国鉄時代の地方路線では見ることのできた信号機ですが、さすがに現在はもうないだろう、と思っていましたが、今でも現役で使われている所が日本にまだ僅かながらあるらしいです!
今でも現役で残っている腕木式信号機の1つが、津軽鉄道が運営する津軽鉄道線の津軽五所川原駅にある腕木式信号機です。
腕木式信号機の動作
腕木が水平になっているのが「停止」で、
腕木が45度傾いた状態が「進行」です。上の動画をよく見ると分かるのですが、灯火がつくのは実は夜間のみで 昼間はついていません。
操作は人の手による場合が大部分で、駅や信号所にある「信号てこ」という大きなレバーを操作し、ここから伸びるワイヤーで 信号機本体の腕木の位置を変える仕組みです。なお、1つの「信号てこ」が1つの腕木式信号機に1対1で対応します。信号機本体には万一このワイヤーが切れたときのためにおもりがつけてあり、 ワイヤーが切れても信号機が進行とならないようにされていました。所謂fale safeです。単純な機構ながら、良く出来た仕組みです。なお、腕木式信号機が設置されている路線は通常非自動閉塞で、これまた昔ながらの「タブレット」が使用されています。
分かりにくいかも知れませんが、上の写真のわっかみたいなのがタブレットです。なお、赤いのはタブレット閉塞機(通称お稲荷さん^^;)と言われるものです。これを駅員から運転士は受け取って列車を運行します。このタブレットが駅に無いということはその駅と駅の間は列車が走っていると言う訳です。
腕木式信号機のその後
列車の本数が増え、複線、複々線など駅の構造が複雑になると人手に頼っていた腕木式信号機に限界が生じ、明治の末期には現在よく使用されている色灯式信号機が輸入され、昭和の初めには主要路線で腕木式信号機は姿を消し始めました。また、人の操作によるミスが大きな事故につながることもあり、昭和31年 (1956年) の参宮線六軒事故をきっかけに地方路線でも色灯式信号機への置き換えが本格的に始まりました。国鉄がJRになった後もいくつかの路線で残っていましたが、信号を操作する人員が必要なことや安全保安上の観点から次々に廃止され、2005年八戸線での使用を最後にJR線上から腕木式信号機は消滅し、ついに現役の腕木式信号機は津軽鉄道が運営する津軽鉄道線の津軽五所川原駅と金木駅を残すのみとなりました。せっかくの貴重な鉄道遺産ですから、このまま是非動態保存して頂きたいですね!