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IBM、全く新しいニューロ半導体チップを開発

IBMはこれまで現在のほとんどのコンピューターの動作原理である、ストアードプログラム方式の考案者であるジョン・フォン・ノイマンが考案した「ノイマン型コンピューター」ではない仕組みで人間の頭脳に近い、右脳型のニューロ半導体チップ・ニューロシナプティックチップを開発したそうです。

よく知られているように人間の頭脳は左脳と右脳があり、左脳は論理的な思考を、右脳は感情をつかさどると言われています。従来のノイマン型コンピューターは左脳に相当しますが、左脳だけではコンピューターはいつまで経っても人間に近づけないことになります。そこで感情や雰囲気等を理解し、人間の直感や第六感をつかさどる右脳を担当するコンピューターとして今回の全く新しい仕組みのコンピューターをIBMは生み出したようです。IBMは今回の新しい仕組みのコンピューターのために54億のトランジスタを集積したニューロ半導体(ニューロシナプティック・チップ)を開発し、このチップをさらに16個実装したボードを数枚搭載したコンピューターを作り出しました。

なんと、インテルのマイクロプロセッサよりも多くのトランジスタを集積しながら、このチップの消費電力はわずか70mWしかなく、これはインテルのマイクロプロセッサよりも2桁以上も小さい消費電力です。

最近は従来のノイマン型コンピューターでも膨大なデータを理解し、整理し、意味を理解して、学習を続けるという作業を行うことはできますが、従来のアーキテクチャーでは消費電力が200~300Wと膨大になり、冷却が欠かせません。人間の頭脳はコンピューターほど熱くはらず、人間の脳の仕組みと同様の神経細胞のネットワークを模倣すれば消費電力を大幅に削減できるのではないかとの発想で、ノイマン型コンピューターとは全く違うアーキテクチャのニューロシナプティック・チップを開発、狙いは成功したようです。

人間の1つの神経細胞(ニューロン)は、電子回路でいえば多入力・1出力の素子として表すことができ、それぞれの入力に様々な電気抵抗を加え、学習によってその抵抗値を変える仕組みになっています。こういった神経細胞が人間の小脳だけで1000億個も含まれているといいます。IBMが開発したニューロ半導体チップには100万個のニューロンが集積(その接続ノードとなるシナプスは2億5600万個相当)されているため、これを16個並べたボードは1600万個のニューロンに相当します。このユニットを6個接続すると約1億ニューロンとなります。IBMは今後100億個のニューロンを持つコンピューターを作ることを目標としているそうです。

おそらく、IBMが狙いとしているのは、このニューロモーフィック技術を用いたコンピューターの支配下に従来のノイマン型コンピューターを置いて(それは別に遠いネットワークの先でもOK)、効率的かつ計算能力も高く、人間の感情をも理解し、人間の直感を越えた優れた超高性能の人工知能コンピューターを作ることにある、そう自分は考えます。

ただし、その先にあるものは人間がよく考える必要があります。そう、まさに映画、ターミネーターが描き出した、超高性能な人工知能のコンピューターの反乱によって、コンピューターに人間が完全に支配される社会です。そうならないようにするために、今から人工知能コンピューターとの付き合い方やそのコントロールの仕方をよくよく考える、そんな時代に突入し始めていると思いますね。

参考URL(日本IBM、図も含む) : http://www.ibm.com/smarterplanet/jp/ja/brainpower/

ニュースソース(Yahoo! JAPAN、図も) : http://bylines.news.yahoo.co.jp/tsudakenji/20160408-00056397/

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