第1話 量子の夜明け
時は1900年頃、ベルリン大学のマックス・プランクは未解決のある問題に挑んでいた。
良く知られているように鉄に熱を加えると次第に赤くなりやがては黄白色に輝きやがて融解する。問題はこの普通の現象(輻射と光の振動数の関係)が式として導くことが出来ない事だった。
当時は既に力学、電磁気学などがまとまりもう残された問題は僅かでこれらが解明されるのは時間の問題と思われていたのだが...物理学者達の挑戦にもかかわらずこの問題の解決には誰も成功しなかった。
プランクの当時の心境は想像するしかないが、プランクはとりあえず実験結果に合う式をパズルを合わせる様に作ってそれから理論的な解釈を後追いで考えようとした。そして運良く?そのような式をプランクは手に入れたのだった。この式に関しては実は生徒が見つけてプランクに「こんなのでどう?」といった感じで手に入れたという説もあるがとにかくその式を手に入れたのだ。そしてこの式は完全に実験結果を説明できるものだった。
ここでhは実験結果から求められた決まった値(定数)、vは電磁波の周波数、Eはエネルギー量である。しかしプランクはこの式を説明出来ずにいた。というより説明する案はあったが到底受け入れがたい説明だった。それはエネルギーが連続な形ではなくある単位の整数倍で存在しなければならなかったからだ。通常の理解ではあるエネルギーEに対してその0.5倍のエネルギー0.5E とか0.123E とか連続な値を取るというのは当然で整数倍といった飛び飛びの値しか許されない世界は考えづらい。少なくとも当時完成まじかと思われた理論を根底から揺るがす考え方だったのである。
プランクはこの単位に関係する定数をhと置いた。これは今日プランク定数と呼ばれる値である。そして、この飛び飛びの単位(塊を)「量子」と名づけたのである。
第2話につづく...