外部送信規律に関する覚書
1.外部送信規律導入の経緯
令和4年6月13日、電通法の一部を改正する法律が可決・成立し、同月17日に公布された。令和5年1月16日には、電通法施行規則等の一部を改正する省令が公布された。
そして、改正電通法等は令和5年6月16日に施行された。
この改正により新たに外部送信規律が導入された(電通法27条の12)。外部送信規律はCookie規制と称されることが多いが、規制対象はCookieの場面に限定されない。
2.外部送信規律の趣旨
スマートフォン等を介したSNS、動画共有、ニュース配信、検索サービス等の普及により、プラットフォーム事業者が利用者の情報を取得・集積する傾向が強まっている。
利用者の利便性向上の側面もあるが、利用者の端末から第三者へ情報が送信され、例えば広告配信のカスタマイズ等、利用者が知らない間に、当該第三者によって利用者が目にする情報が選別される等の影響を受けている状況がある。
この問題に対処するために、事業者は利用者にこれらのプラクティスを理解してもらい、サービスを安心して利用できるように透明性を高める必要がある。
そこで、利用者の情報を外部に送信する際の透明性を確保するための規律が新設された。
3.対象者
次の要件を充足する者(電通法27条の12、電通法施行規則22条の2の27)。
ただし、②の送信指令通信の対象の情報が次の(a)~(d)のいずれかに該当する場合は、外部送信規律が適用されない(電通法27条の12各号、電通法施行規則22条の2の30)。
(a) サービス提供にあたって必要な情報
(例)文字や画像を適正に表示するためのOS情報、画面設定情報、ブラウザ情報、言語設定情報、入力した情報の保持等に必要な情報、ユーザー認証に必要な情報、サービス提供者のセキュリティに関するセキュリティ対策に必要な情報、ネットワーク管理に必要な情報等(b) サービス提供者が利用者に送信した識別符号
(例)ファーストパーティクッキーに保存されたID等(c) 利用者が同意した情報
(d) 一定の事項(後記エ参照)を利用者の容易に知り得る状態に置いた上で、オプトアウト措置を講じていて、利用者がオプトアウト措置の適用を求めていない情報
4.対応事項
第3項の対象者に該当する場合は、次の①~③のいずれかの措置をとる必要がある。
①あらかじめ少なくとも以下の事項を当該利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置く。
(a) 送信されることとなる利用者に関する情報の内容
(b) 情報の送信先として、当該情報を取り扱う者の氏名又は名称
(c) 電気通信事業者の利用目的
(d) 情報の送信先となる者の利用目的②少なくとも上記①の(a)~(d)の事項を利用者に示した上で、利用者から同意を取得する。
③一定の事項を利用者の容易に知り得る状態に置いた上で、オプトアウト措置を講じる。
(a) オプトアウト措置を講じているという事実
(b) オプトアウト措置が情報の送信と利用のどちらを停止するものか
(c) オプトアウト措置の申込みを受け付ける方法
(d) オプトアウト措置を適用した場合、サービス利用が制限される場合は、その内容
(e) 送信されることとなる利用者に関する情報の内容
(f) (e)の情報を取り扱うこととなる者の氏名又は名称
(g) (e)の情報の利用目的
なお、通知等(①)にあたっては、次の点に留意する必要がある。