桜並木の桜
桜並木の中の一本の桜だけ、私と話をする。その桜から、少し行ったところに銀杏がある。
青鼠色のぬめぬめ
茶灰色のがらくた
極彩色のねばねば
息を吸って、息を吐いて、頑張るんだ、息を吸って、吐いて、頑張るんだ、吸って、ああ苦しい 吐いて、吸って、頑張って吸って、ああ、苦しい、
三月兎を呼び出す。
三月兎、三月兎、鬼が来るぞ。
三月兎:はあ、あんた、鬼なんかくるもんか!
:さあ来た、嘘つき鬼が来た、狐に憑かれた嘘つき鬼が来た。
三月兎:ああ、こいつ、餓鬼じゃないか。とっ捕まえて食ってしまえ。煩くってしかたがない。あんた、耳を貸すんじゃないよ。さあ、はやく!さあ、はやく!
:何を急ぐの?鬼が来たぞ。
三月兎:さあ、はやく!さあ、はやく!
:鬼はここぞ。何を急ぐ?
三月兎:はやく、はやく、おくれるぞ!おくれるぞ!
真っ赤なオレンジの皮をナイフで綺麗にむくと、中は空っぽ。あ、息が止まった。
三月兎:はやくはやく!おくれるぞ!