パパどうしてイスラム国は残酷なの?
ポンちゃん(娘。小学校5年生)に教えるパパ(昭和生まれ)のシリーズ。
今回は「イスラム国の残虐性について」です。
「ねえパパ、どうしてイスラム国は残酷に人を殺したりするの?しかもネットに動画を発表して喜んでるし」
「うーん、それは日本人の感覚で、イスラム国の人たちは特に残酷なことをしようと思ってやってるじゃないんだよね」
「そうなの?だって学校の先生は『世界の多くのイスラム教の人たちは、イスラム国がやっていることには反対です』って言ってるよ。イスラム国だけが悪いことしてるんじゃないの?」
「ポンちゃんはサウジアラビアとか、イランとかイラクって国を知ってる?」
「うん、聞いたことがある」
「実はサウジアラビア・イラン・イラクは斬首刑が大好きで、罪人の首を刀やでっかいノコギリでゴリゴリ切って首チョンパして、しかもネットに流しちゃうんだよね。そういう文化がもともとあってイスラム国はそれと同じことしているだけなんだよね」
「えええええ、そうなの!」
「あとは死ぬまで石を投げる『石投げの刑』とかね。でもやっぱり斬首刑が多いな。映像的にも短時間でハデでウケがいしね。一応裁判はあるらしいけど形式だけで、無実の人もいっぱい殺されてる。大喜びしている公衆の面前でね。今のはサウジアラビアの話で、イスラム国じゃない。しかもサウジアラビアでは今年の1月にも47人が一度に残酷に処刑される処刑ショーがあったばかりで、サウジアラビア国民は大喜び。自国民だけでなくて、イランの偉い人も適当に処刑しちゃったので、イラン人は大激怒。子供は見ちゃいけないけど『47人処刑ショー』のインパクトがあまりに強烈だったので、今後はイスラム国の斬首ムービーが学芸会みたいに見えちゃうから逆に減っていいかもね?」
イスラム国の何倍も斬首刑をする国
「そうなの?でも先生はイスラム国だけが残酷なことしてるって…」
「まあイスラム国は今のところ世界の敵だからね。その方が都合がいいんだ。でもサウジアラビアやイラン・パキスタンはイスラム国の何倍も斬首刑をしている。本質的にやってることは同じなんだ。国の名前が違うだけでね。アムネスティという団体があって世界の死刑の状況について報告しているんだけど、2015年ではイランは977人以上、パキスタンは326人、サウジアラビアは158人以上処刑している。多くが斬首刑だね。ネットに流れている斬首ムービーはイスラム国より他のイスラム諸国の方がよっぽど多いよ」
「あたしイスラム教の人と、友達になれそうにないかも…」
「国によって違うけど、斬首は良くないことだと思っているイスラムの国もあるよ」
「どうやって見分けるの?」
「斬首、女性の奴隷化、子供以外の捕虜の皆殺し、幼女結婚、異教徒の迫害はシャリーアというイスラム法に基づいている。イスラム教の人たちにとっての基本的な法律だね。要はこのシャリーアを『国の法律』にしている国が首チョンパするヤバイ国だね」
「具体的には?」
「大きい国だとサウジアラビア、イラン・イラク・パキスタンだな。アフガニスタンとか他にもいっぱいある。逆にいうとイスラム教の国家はほかにもトルコやエジプト、インドネシアとかいろいろあるけど、こういった国はシャリーアを法律にしていないから国際常識が通じるんだ。簡単にまとめるとイスラム教徒は『できるだけイスラム教に忠実にありたい』と願う元祖イスラム派と、『でも国際社会に見捨てられるのはイヤだ』というナウなイスラム派に分かれるんだよね」
「ナウな?パパ、昭和臭い言葉使われてもわかんない」
「ああ、ごめん。じゃあ『三代目イスラムブラザーズ』でとうかな?」
「それも古いけど、まあいいや」
「うん、学校の先生がインドネシアが世界最大のイスラム教徒の国だっていってた。そこは大丈夫なんだね!」
「まあ今はね。イランもアフガニスタンも前は『三代目』のほうに入っていたんだけどね」
「えっ?」
「簡単にいうと革命が起きて、コロッと元祖イスラム派に変わっちゃったんだ。だからインドネシアも将来そうなる可能性はゼロじゃない」
「えええええ!」
「やっぱりイスラム教徒の人は心のどこかで『やっぱりシャリーアを守るのが正しいのでは?』と思っているんだよね。それを裏付けるいい調査がある。2013年4月発表だから新しい調査とは言えないけど、2008年から4年かけて39カ国3万8千人のイスラム教徒に対面でインタビューした内容の濃い調査だから信頼できるだろう。これによるとナイジェリアは71%、インドネシア74%、モロッコ83%、パキスタン84%、パレスチナ89%、イラク91%がシャリーア適用を支持している。ここの日本語記事も興味深いよ」
シャリーアを変えることはできない?
「パパ、それって恐ろしい数字じゃない?インドネシア人の74%が実は首チョンパ・幼女結婚・女性の奴隷化・異教徒の迫害に賛成なの?だってインドネシアって2億人以上いるんでしょう?」
「まあシャリーアってそれだけじゃないけどね。法律より規範という意味が大きい。それに『どれくらい忠実にシャリーア』を守るべきか、というのには個人差がある。パパたちみたいに神社には正月しか行かない人もいれば、毎日お参りを欠かさず行動すべてに神様のお伺いを立てる人もいる…ような感じかな」
「じゃあ国際社会に受け入れられるように、イスラム教徒のみんなでシャリーアを変えればいいんじゃない?」
「そんなことできないよ、ポンちゃん」
「なんで?」
「だってシャリーアってないからさ。存在しないから、変えようがないんだ」
「待ってパパ!ポンちゃん意味がわからないよう。シャリーアって法律じゃないの?」
「ごめん説明が足りなかったね。シャリーアって日本の法律みたいに文章があるわけじゃない。『正しいイスラム教徒はこれはやっていい・やってはいけない』という単なる概念なんだ。そしてイスラム世界では、権力者ではない特別な学者だけがシャリーアに適っているかどうかを判断できるんだ」
「だからある国では首チョンパやっちゃえ、別の国では絶対ダメ!になるの?」
「まあね」
「それって当たりはずれがとても大きくない?」
「そうだね。でも一番確実なのは、イスラム教で一番偉い『預言者』がやったことは、正しいイスラム教徒はやっていい、と思われていることだね」
「預言者がやったことはいいことなの?」
「そう。これはハディースという予言者の言行集にまとめられている。これは実在する。そして幼女結婚・男性成人捕虜皆殺し・斬首・女子供の奴隷化--このあたりはディースにバッチリ書いてあるので、『正しいイスラム教徒はやっていい』と判断されています。サウジアラビアやイランやイスラム国でね」
パパからポンちゃんたちへのアドバイス
「書いてあるから残酷じゃないんだね。やりきれないけどね。じゃあ最後にポンちゃんにアドバイスはある?」
「うん、イスラム教徒の男性とは絶対に結婚しちゃダメ」
「なんで?パパがイスラム教が嫌いだから?」
「それは違う。イスラム教徒と結婚すると、100%イスラム教徒に改宗する必要がある」
「うん」
「でもポンちゃんがその男性と離婚することになると、まず子供の親権は確実に男性側になる。あと一夫多妻だから、他の奥さんとポンちゃんが仲良くできるとは思えない。女性には人権もないしね」
「えええ!奥さんを何人も持てるの?それもシャリーア?」
「そう。そしてポンちゃんが次にキリスト教の男性と結婚するために、イスラム教を捨ててキリスト教に改宗すると処刑される」
「え、なんで?キリスト教だから悪いの?」
「いや、一度イスラム教徒になると死ぬまでイスラム教なんだ。やめるときは死ぬ時だけだ。相手がサウジアラビア・パキスタンの男性だと、殺される確率が高いね。」
「でも、結婚した相手は人殺しが嫌な優しい人かもしれない…」
「そうだよ。温厚なイスラム教徒の国でも、結婚相手の家長が相手が隠れ元祖イスラム派の可能性だってあるんだ。特にそのファミリーの家長が『ポンちゃんは反イスラムだ。生かしておくと一族の名誉にかかわる。殺せ』と命令すると、誰も逆らえない。家長の命令は絶対なんだ。でもラッキーにも国際常識が通じる相手かもしれない。それは単に確率の問題だ。実際、イスラム教徒と結婚している日本人女性もたくさんいるしね。でも理不尽に殺される確率がある危険ことは最初からしない方がいいよ、というのがパパのアドバイスです。『好き好んでビルの3階から飛び降りるようなことはするな。死ぬ確率が高いぞ』ってことだね」
「…あたし殺されるのはいやだから、イスラム教徒とは結婚しない。じゃあ、ピン助(弟)にアドバイスは?」
「パキスタン系のイスラム教徒の女のことは恋愛するな、だね」
「結婚じゃなくて恋愛なんだ。なんで?」
「女の子がピン助のことを好きになっちゃうと、二人とも殺されるからさ」
「誰に!?」
「その女の子の父親かおじいさん、もしくはその人たちが命令した女の子の家族だね」
「どうして?」
「パキスタンでは女の子の結婚相手は父親が決める。勝手に恋愛する女の子は『反イスラム的で、一族の恥だから殺す』というのがルールなんだ。これは名誉殺人と呼ばれていて、パキスタンではごく普通のことなんだよ」
「ここは日本だよ!」
「パキスタンの人、いやイスラム教徒にとってはどこに住んでていても関係がない。だから海外で名誉殺人が起きることもよくあることなんだ」
「捕まっちゃうんじゃないの?」
「バレたら捕まるね。でも名誉殺人をする人たちは正しい行いだと思っているので平気だ」
「それがジハードってやつ?」
「そうだね。よくそんな言葉知ってるね。ジハードは『イスラム教徒の努力・義務』とかを意味するんだ。よく言われる宗教のための闘いじゃない」
「最後に聞きたいのだけど、パパはイスラム教徒が嫌いなの?」
「そんなことないよ。だって数が多いしね。世界人類の1/3はイスラム教徒だしポンちゃんが大人になる頃には、大きなビジネスパートナーやいいお客さんになっているかもしれない。実際、パパもドバイの人と取引したことあるし、ロンドンの新しい市長はイスラム教徒だ」
「えええ、そうなの!」
「だからポンちゃんもイスラム教徒の人を嫌いにならず、上手に付き合ってね。相手の宗教を刺激しないこと、斬首の伝統も認めてあげることが大事だね」
「はーい」