Ubieの1人目デザインリサーチャーになりました
こんにちは、2024年3月1日付でUbie株式会社にデザインリサーチャーとして入社したawa(@n_awamura)です。
タイトルの通り、1人目デザインリサーチャーになりました。
2月末まではフリー株式会社 (以降、freeeとします)に在籍しておりました。
カタカナの母音が「ウイー」な会社が潜在的に好きな可能性があります。
両社ともあだ名文化なので、引き続きawaです。
この記事は、いわゆる転職 or 入社エントリです。
デジタルプロダクトを持つスタートアップ〜メガベンチャー事業会社で、プロダクトマネジメントにおけるデザインリサーチに重心があるキャリアを歩んでいる人の絶対数は、国内におそらくそう多くないと思います。
ましてや、40代の人間となるとさらに少ないでしょう。
「そんな人と働く」あるいは「そんな人として働く」ことに興味がある方には、「へー、こんなこと考えるんだー」のケーススタディとして、なんらかの関心を持って読んでいただけることもあるのかもしれません。
自己紹介
15年ほど、パロアルト研究所 (PARC)にてエスノグラフィを起点とした人間中心イノベーションのクライアントワークをした後、ここ5年ほどはスタートアップ〜メガベンチャーの事業会社でプロダクトマネジメントに関わっています。
よく、応用エスノグラファ、と自称します。
ざっくりと言えば、大手企業の新規事業検討における未来洞察のクライアントワークの文脈から、スタートアップ〜メガベンチャーの事業会社におけるプロダクトマネジメントの文脈に移行しました。
この道20年になろうとしてます。早いものですね。
どのように転職を検討したか
Research Conference 2023でひと段落する
freeeでは本当にいろんな機会をいただきました。
その様子の一部はfreee Design Magazineにいろいろ書きました。
そんな中、カンファレンスという形でも成果をまとめる機会に恵まれたので、次の記事のように発表しました。
カンファレンスで話したように、リサーチを元に着想した企画がいくつか世に出て、定量的な成果も出ました (言うまでもありませんが、チームの成果です)。
ひと段落した、というわけです。
環境を変えるかー、などと思う
ひと段落のタイミングで、人はいろいろ振り返るもののようです。
数年前を思い返すに、freeeを志望したのは大きく2つの理由でした。
デザイン組織がしっかりしていて、自分がスキルを発揮できそうな会社で仕事がしたい
「スモールビジネスを、世界の主役へ」というミッションに強く共感できる
振り返りの中で、それだけでは足りなくなった、ということに気づくことになります。
freeeは、上記ミッションへのアプローチとしてバックオフィスに現時点でフォーカスしています。
それに対し、ひと段落して数ヶ月の間に深まっていった思いは、「スモールビジネスには引き続き関心を深めていけるけれど、現時点でバックオフィスにこれまで以上の関心は持てないな」ということでした。
副業も個人事業主(法人ではなく)として行なってきたし、それ以上の複雑なバックオフィス業務はいま一つ自分ごとになってこなかったのです。
「ある程度進んでいくとミッション共感だけではまだ足りなくなり、当事者性が持てることが必要」は、freeeで存分に機会をいただき、デザインリサーチャーとしてはひと区切りのところまでやり切れたからこそ体感を持って気づけたことです。
感謝。
次の環境のイメージが形作られる
数ヶ月、折りに触れ考える中で、以下のような「次の環境に求めること」ができていきました。
これまでと変わらないこと
プロダクトを持っている事業会社
エスノグラフィが明確に求められていること。かつ、リサーチのレポーティングに終わらず、プロダクト化に参加できること
デザイン組織がしっかりしていること
ミッション共感できること
付け加わったこと
toCができること。toBもできれば尚良
↑ toCの仕事を事業会社でしたことがないので、40代以降を見据えて経験しておきたい
ドメインの輪郭がニッチ過ぎず、実践の幅が持てそうなこと。かつ、当事者としての関心を深めていけそうなこと
↑ 上記のバックオフィスの下り
これからデザインリサーチ体制を本格化するタイミングの、freeeよりフェイズの若い、有望なスタートアップ
↑ freeeでは、仮説検証について体制が整っている段階で、仮説探索を導入・推進する期待値で入ったので、いまの経験値でその前から構想したら面白そうだな、という思い
カルチャー投資がある会社
↑ カルチャーがめちゃくちゃ重要、は、freeeで一番学んだことの一つ
ABW(Activity Based Working)が許容されている
↑ 働き方は自分で決めたいし、会社にもそれを信頼してほしい
そんな都合のいい会社あるんかい、みたいな、めちゃくちゃピンポイントな仕上がりです。
Ubieが思い浮かび、連絡を取って、1ヶ月ほどで決まる
ところが、可能性がありそう?と思い当たる会社が1社ありました。
Ubieでした。
Research Conference 2023、Ubieも発表していました。
会場にいた3284さん(@3284_m)、satoruさん(@smurakos)と話す機会がありました。
「ユーザーリサーチの需要が高まってて、エスノグラフィにも興味があるんです」というようなことを聞きました。
その場は、また連絡取りましょうねー、くらいのノリでした。
その後、gaoさん(@masashin、当時Ubie)の話を聞く機会もあり、ホラクラシー面白そうだなーと思いました。
ちょうど、30代後半から40歳を過ぎ、「健康や病と向き合うこと」が自分にとってリアルになってきていたタイミングでした。
健康診断の項目は増えるし、身体の変化もいろいろと感じるようになったためです。
現時点までは幸い大筋で健康でいられていますが、予防も含めた医療への興味は今後どんどん増していくでしょう。
「Ubie、もしかしたらなんかあればいいな」と思い、X(Twitter)でその後ふんわりと交流があったsatoruさんに、「それっぽいポジションないっすかね?」という主旨のDMを送りました。
「実はいま、デザインリサーチャーを開けようという話をしてるんです」という主旨のDMが返ってきました。
そこから1ヶ月ほどでオファーでした。
結果として、転職活動先は1社のみでした。
つくづく、職とはタイミングとご縁、です。
なお、freeeについてはこんな思いです。
今後は、「スモールビジネスを、世界の主役に」の基盤である心身の健やかさに貢献できればいいですね。
現時点までのUbieへの印象
全社
潜在意識に改善や変化がナチュラルに刷り込まれているメンバーの集まり
「アップデートしていかないと先はない」とどこかで思っている人たちの集まり、とも言い換えられます。
それぞれの人が成長痛的なものを経験的に知っているため、コミュニケーションとしても、率直でオープンだがウェット、という感じです。
チームワークとして議論すべきこと、フィードバックすべきことはするが、個別になんらかフォローもある、という感じ。
オープンさについて言えば、DMは、個人情報とプレゼント手配のやり取りのみにしか使ったことがないです。
DMがしばしば有害になることをこれまでに経験している人には、納得感のある環境かと思います。
スタートアップ感たっぷり
数年ぶりに上場前のスタートアップに来て、「あーこんな感じだよなー」という感じです笑
いろいろ整ってないし、組織の雰囲気として、高気圧で上昇気流な基調で、カオスでもあります。
その中で適切にポジションやペースを調整しつつ「気流」を読んだり作ったり、ギアを上げるときもあれば、ときに休んだり、素直に助けを求められもする、ということが必要な素養なのだろうと思います。
創業者と社員の距離が近く、求心力が働いている
Ubieは200人台の規模なのですが、現時点ではほんとにそこら辺で創業者が社員に囲まれています。
創業者の体温みたいなものを感じられる、というのは、実は結構大事なんじゃないかな、と思います。
錨が体感できない組織は瓦解するような気がするためです。
とても感覚的なことを言っている気はしますが・・。
組織の拡大は宿命である以上、この状況がいつまで続くのだろうか、とは思いつつも、できるだけ続くといいですね。
プロダクトの企画にエンジニアがふつうに入っている
入社以来、エンジニアと一緒のチームでスプリントを進めています。
僕はスキルセット的にいわゆる超上流、機会領域探索寄りで動きがちだったので、こういう状況は初めてです。
スクラムPOをエンジニアがしているケースも複数あります。
「(いわゆる)上流からデザイナーやエンジニアが入るべきで・・」みたいな話がしばしばされますが、Ubieにおいてはそのテーマ自体が存在していないように見えます。
専門性はタグのような感じ
チームでの活動があって、そこですべきことをメンバーで分担して行なう、という感じです。
いまのところ、デザインリサーチャーというか、「デザインリサーチのドメインエキスパートなPM、みたいな動き方だなー」と感じています。
デザインリサーチ
もうかなり個別実践はあり、これから体系化・民主化していく段階
「1人めデザインリサーチャー」と書いてはみたものの、実はデザインリサーチが得意なプロダクトデザイナー(に限らない)が何人もいます。
なろうと思えばリサーチャーにもなれる、隠れリサーチャー的な人々に囲まれて働くのはシンプルにプレッシャーで笑、どう自分としての価値を出そうかなーと日々考えています。
たぶんリサーチのプレイヤーとしてのみだと大した違いも価値も出せないので、Opsも見越した体系化とか民主化とかといった編集やファシリテーション的な活動で価値を出していくのかなー、というのが現時点の仮説です。
前職とはデザインリサーチの「形」が違う
面白いくらい違うなと。
まず、Ubieではユーザーインタビューの普及が先行していて、素直に驚きました。
前々職で自分が行なった活動、前職、お聞きするいろいろな組織の例をベースに、まずユーザビリティテストによってデザインリサーチの有効性を示し、そしてユーザーインタビューを・・というのが一つの「定石」だと思っていたので。
ではユーザビリティの改善がなされていないかというとそんなことはなくて、実利用ログベースでの分析を中心に進められています。
少なくともリリース後の改善サイクルが回っている、ということが示されていると言えます。
似たような話題として、リサーチテーマにおける機会領域探索の比重が大きいな、という感じがします。
ドメインの解像度をかっちりと上げていく、ということに加えて、どこを機会領域(そしてその先の問題領域)として輪郭付けしていくか、ということが、シリーズCのtoCプロダクトを持っているプロダクトの会社だと大事になってくるんだろうな、という現時点理解です。
こんな感じで、各組織におけるデザインリサーチの「形」というものは、組織とプロダクトのフェイズやドメインを複雑に反映するんだな、というのが、複数社の経験を経てどんどん見えてくるのが面白い昨今です。
過度にフレームワーク化したり、1社での経験を一般化したり、1つの変数で説明したりすると、いろいろ見誤るな、と・・。
・・と書いてきましたが、実はこのあたりを学んでいっている様子について、5月終わりにResearch Conference 2024で話します。
2年連続登壇している珍しい人になってしまった、所属は去年と別の会社ですけれど。
5分程度ではありますが、お時間ある方、ご笑覧くださいませ。
「いま」を、なるべくありのままにお話するつもりです。
最後に恒例のあれを。
Ubieメンバーと転職的な意味で話してみたいな、と思った方はお気軽にDMください。
僕も話せますし、やり取りの中で僕が適任ではないかもなと思った場合には然るべき相手にリダイレクトできます。
参考までにの募集要項(Job Description)の一覧は以下ですが、まああまり考え込まずに話しかけてもらえればと。
それではまた。
B面
freeeからUbieの間にお休みをいただき、台湾一周の旅行に行ってきました。
旅行記的なものを書きまして、この記事に書いたことのB面みたいになってると思います。
旅しながらいろいろ考えてた感じですね。
よろしければご笑覧くださいませ。
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