住宅開発経験者が 自宅を購入する時に確認する "14種類" の地図
長引くコロナ禍により、リモートで仕事できる業種の方は、郊外や地方都市へ転居されることも視野に入れているのではないでしょうか?
新たに住もうとする街について、すべてを知ってる訳ではない…
その広い街の、どこに住むのが正解なのか?
通勤のしやすさや物件の価格は一般に語られるものなので、あえて触れません。
住宅を購入するにしろ、賃借するにしろ、安心安全に住めることが大前提!
今回はマンション開発に携わっていた私自身が、自宅を購入する時にリスクを回避するために確認する以下の「地図14種類」「地図以外の4事項」について、まとめてみました。
【地図14種類】
① 住宅地図
② 用途地域図
③ 公図
④ ブルーマップ
⑤ 地震マップ
⑥ 液状化マップ
⑦ 津波マップ
⑧ 洪水ハザードマップ
⑨ 内水ハザードマップ
⑩ 高潮想定区域図
⑪ 土砂災害ハザードマップ
⑫ 活断層マップ
⑬ 木造住宅密集地域図
⑭ 古地図
【地図以外の4事項】
⑮ 過去の空中写真
⑯ 埋蔵文化財包蔵区(まいぞうぶんかざいほうぞうく)
⑰ 地名に「水」に関する漢字や部首が使われている
⑱ タクシーの運転手や地元の店で話しを聞く
① 住宅地図
いわゆる、みなさんが思い浮かべるような「地図」です。
ゼンリンという会社が販売する住宅地図は建物の表札も記載されているので、周辺にどのような建物が建っているか確認する上では役立ちます。
② 用途地域図
各行政は、都市の未来像を描き、
「このエリアには商業施設を立てられるようにしよう」
「このエリアは工場を規制して、住宅を集積させよう」等、
色々な土地の利用方針を地図に色分けします。
この地図を「用途地域図(都市計画図)」と言います。
この地図、かなり重要です!!!
例えば、住みたいと考えている場所の用途地域が住宅をどんどん建てようとするものだったとして
「周りの建物も高くなくて、日当たりも眺望もいいな~」
なんて思っていても、そのすぐ南側の隣の土地が商業施設やオフィスビルを誘導する用途地域、だったりすると自宅の目の前に、急に高い建物が建つことがあります。
町の不動産家さんに聞くと「ここは用途地域が住宅しか立てられないものなので良好な住環境ですよ」なんて言われても、絶対に安心しないで、必ず周辺の用途地域も確認してください!!
③ 公図
土地には住所とは別に「地番」という番号が振られていて、その番号を管理するための地図が公図です。
ただ、この公図という地図は、現実の地図と一致しないことが多い(ほとんど)なので、正直気にしなくて大丈夫です。
※土地・建物を購入したことを登録する(=登記)のも司法書士に任せて良いですし。
④ ブルーマップ
住所 と 用途地域 と 地番 が併記されている地図です。
これまたゼンリンという会社が販売してます。(ゼンリンすごい)
一枚の地図に情報がまとまっているので、必ずゲットしなければならないものではないですが、あると便利です。
いよいよ災害系の地図です。。。
⑤ 地震マップ
私の住む横浜市では、南海トラフや東京湾北部、元禄型関東地震という3パターンに分けて「その土地の揺れやすさ」を示しています。
地震の恐怖は多くの方が経験されていると思いますので、必ず確認しておきたいマップです。
⑥ 液状化マップ
東日本大震災時にも、各地で液状化現象が発生し、道路や住宅地が陥没したり、地下水が吹き出したりしたニュースを記憶されている方もいらっしゃると思います。
「地震が発生したとき、土地の陥没等の災害が発生する可能性」を示したのが液状化マップです。必ず確認しましょう!!
⑦ 津波マップ
東日本大震災後、多くの行政が整備に取り組んだ津波マップ。
「地震による津波が発生した際に浸水する可能性のあるエリア」が記されています。
津波マップには避難場所も必ず併記されてますので、自宅が大丈夫でも、通勤・通学中に被災する可能性も考えて、避難場所も確認しておきましょう。
⑧ 洪水ハザードマップ
「大雨によって、河川の氾濫による浸水リスク」を示した地図です。
ゲリラ豪雨が多発する昨今、河川まで距離があっても念のため確認しておきたいですね。
⑨ 内水ハザードマップ
こちらは「大雨によって、街の下水処理が間に合わず、雨水が溢れ出て浸水するリスク」が示されています。
行政サイトでは、洪水ハザードマップと同じページにあることが多いので、併せてチェックすべき地図です。
⑩ 高潮想定区域図
伊勢湾台風(1959年に発生した日本最大級の台風)等を前提に「海水面が上昇したときに浸水する可能性のあるエリア」が載ってます。
⑪ 土砂災害ハザードマップ
こちらも大雨に関するリスクですね。
「大雨や台風で、がけ崩れが起きる危険性のあるエリア」がまとめられています。
住みたいと思っている土地はもちろんですが、危険性のあるエリアに隣り合っている土地も被害を受ける可能性があるので、よくよく確認が必要です。
⑫ 活断層マップ
日本の地中では、4つの地盤プレートが交わっており、活断層も名前の付いているものだけで約2,000箇所あるそうです。
国の重要施設は活断層の直上を避けて建てられているぐらいですから、私たちもわざわざ住みたいとは思いませんよね。。。
⑬ 木造住宅密集地域図
その名もズバリですが「木造住宅が密集しており、地震等で火災が発生した際に大規模火災となる危険性のあるエリア」です。
下町の懐かしい街並みであることが多いので、そういった街の雰囲気が好きな方はリスクも確認した上で、住む場所を選んだほうが良いですね。
⑭ 古地図
図書館に行くと、小学生の学習用に古地図コーナーがあったりするのでチェックしてみましょう。
住みたいと思っている土地が、昔は池や沼だったりすると液状化の危険性があったりしますし、色々と参考になります。
では、地図以外の確認するポイントを4点お伝えします!!
⑮ 過去の空中写真
国土地理院という機関のサイトで「地図・空中写真閲覧サービス」という、過去の空中写真を見られるページがあります。
古地図と併せて、自分が住みたいと思っている土地が、昔はどのように使われていたのか、ちょっと興味もありますよね。
⑯ 埋蔵文化財包蔵区(まいぞうぶんかざいほうぞうく)
土地に歴史あり、ということで、貴重な文化財等が埋まっている可能性のあるところを各教育委員会で管理しています。
不動産会社や建設会社が調べることではありますが、役所に行く機会があれば窓口に寄って見せてもらいましょう。
⑰ 地名に「水」に関する漢字や部首が使われている
地名の多くは、意味があって付けられたものも多くあります。
中には、昔の人から「ここは水害に気を付けろ」という意味を込めて、水に関する漢字や部首が地名に使われていることも。。。
⑱ タクシーの運転手や地元の店で話しを聞く
近隣トラブルや昔あった災害・事故といった話は、どこにもまとめられていません。
住んでみたい土地の最寄り駅でタクシーを使ってみたり、昔からありそうな近所の定食屋で世間話をすることで、いろいろな情報がゲットできると思います。
※ちなみに、不動産業者としての私も、開発するための土地を視察するときには、同じようなことをやって情報を集めます。
おわりに、、、
ひと昔前のような、朝から晩まで会社に出勤するのが当たり前といった生活スタイル・就労感覚が短期間でガラッと変わりました。
これに伴い、住宅という不動産も「生涯を過ごす夢のマイホーム」「できるだけ通勤時間の少ない都心へ住みたい」という形から変化していくのだろうと思います。
それでも変わらないのは、自然災害リスクや近隣トラブルです。
この記事を活用して、みなさんが少しでも安心・安全に過ごすことが出来る住宅に巡り合ってくれればいいな、と願っています。。。