80年代のヒット曲の意外なオリジナルを聴こう
音楽の趣味を広げるのに有用な手段の一つがカバー曲。好きなアーティストのルーツが知られたりもします。今回はバナナラマの「ヴィーナス」(ショッキング・ブルー)などの有名曲ではないものをいくつかチョイスしてみました。
If You Don't Know Me by Now
「二人の絆」の邦題で知られるシンプリー・レッドによる89年の大ヒットカバー(英2位・米1位)。ミックのソウルフルな歌声が沁みます。
オリジナルはフィリー・ソウルのハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ。72年に米3位、英9位を記録。作曲はフィリー・ソウルといえばこの人たち、ギャンブル&ハフの2人。
Heart and Soul
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの大ヒットアルバム"Sports"からの先行シングル。83年米8位、イギリスは遅れて85年に61位を記録。
オリジナルはエグザイルによる81年のシングルで、ヒットしなかったらしい。こちらもポップな出来でいいんですけどね。作曲はスウィートやスージー・クワトロなどでヒットを連発したチン=チャップマンのコンビ。なるほど、曲作りが上手い。
ちなみにこの曲、ヒューイたちがカバーする前にバスボーイズ(映画「ゴーストバスターズ」にも曲を提供していた)も82年にカバーしていたようです。こちらはファンク色も感じられる出来。
I Love Rock'n'Roll
ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツのによる82年のカバーで、米1位・英4位を記録。80年代初頭の代表的なヒット曲ですね。
オリジナルはこちらのアロウズによる75年の作品。こちらもノンヒットらしいですが、これを聴くとジョーン・ジェットはストレートにカバーしていることがわかります。驚いたのはアロウズってイギリスのバンドなんですよね。アメリカだと思ってました。どうやらジョーンがラナウェイズの頃にイギリスツアーしていたときに知った曲だそう。
意外なところでは、松岡秀明もこの曲をカバー。彼らしいなかなかかっこいいカバーです。
Harlem Shuffle
ローリング・ストーンズによる86年のカバー。米5位・英13位を記録。アニメのMVと合わせて結構好きでした。険悪な時期のカバーだけにファンからはあまり評判がよくないようですが。
オリジナルはボブ&アールの63年のダンスチューン。米44位、イギリスは遅れて69年に7位を記録。ストーンズはどっちの時期に知ったんでしょうね。イントロの古色蒼然としたホーン部分をストーンズはギターに変えたのは正解。歌本編になると割とストレートにカバーしています。YouTubeで簡単に聴くことができる時代って幸せだなとこの曲を調べたときに思いました。
All Through The Night
シンディ・ローパーのデビュー・アルバムからのシングルカット曲。84年に米6位・英64位を記録。私はこのアルバムからのこの曲が当時一番好きでした。いい曲です。
オリジナルはバングルズの"If She Knew What She Wants"などの作者としても知られるジュールズ・シアーによるノンヒット・シングルから。で、これは驚き。オリジナルはバラッドではなく、こんなレゲエタッチのポップソングだったんですね。これはこれで全然あり。
ということでいかがでした?Harlem Shuffleでも書きましたが、80年代当時は知識としては知っていてもなかなかオリジナルを聴く機会なんてなかったんで、今は本当にいい時代だなと思います。