aurora ark
初めてBUMPを見たのは高2の夏のライジングサンロックフェスティバルだった。もう10年以上経つけど、夜の野外で聴いたプラネタリウムは今でも忘れられない。それから数回ライブには足を運んだ。アリーナ規模のものが多かったけど、一度だけライブハウスで見た。ほんとーにほんとーに近くて泣いた。神さまだから。わたしにとってBUMP OF CHICKENは。好きすぎて神格化されてるんだと思う。特別なバンドだ。ただの好きじゃない。特別な好きだ。
だからこそ、彼らの変化が受け入れられなかった。だんだんライブの演出が凝ったものに変わっていって、曲も打ち込みが増えたりとかキラキラしたサウンドに変わっていって、「もう昔のBUMPとは違うんだな」って思って、気持ちが離れ始めたのが、RAYやButterfliesの頃だった。昔の曲は変わらず聴いていたけど、ライブもRAYのリリースツアー以来行かなくなった。
だから今回は5年ぶりのBUMP OF CHICKENだった。
久しぶりに行くか、ってなんとなくな気持ちでとったチケット。ここ一年でライブビッチと化していたので(いろんなライブに1人でも行っちゃうやつ)、ライブに行くハードルが下がってたんだと思うのと、新しく出来た友達がBUMP好きだったから影響を受けた。ライブに対する期待値はそんなに高くはなくて、でも行けば楽しいだろうなって軽い気持ちだった。
でも、それが、アルバム「aurora arc」のリリースによって覆された。すごいアルバムだった。アルバムになることで曲がぐっと違うものに聴こえた。なんの力なんだろうか。バラバラな時期に発表された曲がひとつにまとまって、今のBUMP OF CHICKENはこれなんだっていうのがすごくよくわかった。キラキラしたサウンドの中に、昔のギターロックな音も聴こえてきて、「なんだよ!悪くないじゃん!てかめちゃいいじゃん!」って思って期待値爆上げされた。アルバムの感想はまた後日。
今回、チケットが取れたのはメットライフドームの公演だった。これも、期待値が低くなる理由の一つだった。過去に一度ライブハウスでの近さを体感してからあれに勝るものはないって思っていて、だからどんどん規模が大きくなるライブに行く気がしなかったのだ。
開演時間は18時。平日なのに早い時間設定ではある。メットライフドームは屋根と客席の間に吹き抜けがある。直接、外の光や風を受ける。野外ライブのような空気感の会場だった。それだけでなんだかテンションが上がった自分がいた。一緒にいった先輩もテンションが上がっていたので、より影響された。
時間が15分ほどすぎた頃、「aurora arc」が流れだして、会場は光に包まれた。ドームという会場の構造上、客席は円形に配置されていて、そこにたくさんの光のレーザーが弧を描いて光る様は、まさにオーロラだった。大きなスクリーンにはメンバーがオーロラを見に行ったときの様子が映し出されていた。かと思えばリアルタイムのステージ裏の、円陣を組むメンバー、ステージに向かうメンバーも映し出されて、「あ、はじまる」という不思議な高揚感があった。一気にaurora arkツアーの世界観に引き込まれた。その流れのまま演奏された「Aurora」。キラキラ光るオーロラ色の照明がとても綺麗で、キラキラのバンドサウンドにとても似合っていた。
以下、セトリ
01.Aurora
02.虹を待つ人
03.天体観測
04.月虹
05.プラネタリウム
06.Butterfly
07.記念撮影
08.話がしたいよ
09.ダイヤモンド
10.リボン
11.aurora arc
12.望遠のマーチ
13.アリア
14.Spica
15.ray
16.新世界
17.supernova
18.流れ星の正体
<アンコール>
19.宝石になった日
20.ガラスのブルース
曲の印象をダラダラ書いて行く。
天体観測は好きになったきっかけの曲。もう十数年前だ。だけど、だからこそ、あのイントロを聴いただけで何度でも気持ちがあがる。ここまで飽きない曲って他にない。
月虹はライブ映えする曲で、演奏がとにかくめちゃくちゃかっこよかった。え、BUMPってロックじゃん!って感じ。今の若い子たちにも聴いてほしい〜。フェスとかでも、BUMPすげーってなれる曲だと思う。そして、藤君の歌唱力のすごさも感じた。この曲歌いこなすのめちゃ難しいと思う。
プラネタリウムは同行者の先輩が開演前に聴きたい曲だと言っていた曲。二人で「いやでも絶対やらんでしょ」とか話していたので、あのイントロが流れた瞬間に先輩が「うぉおおおーー」って叫んだのが印象に残りすぎている。でも、この辺りから外の日が落ちて段々薄暗くなり始めていて、ドーム状の屋根がまさにプラネタリウム感があって、「まさかこの演出をねらって、メットライフドームで、あの開演時間なのか…!?」と震えた。
ライブで聴いて印象が変わった曲No1は「Butterfly」だと断言できる。前述したように、リリース当時はバリバリ打ち込みサウンドなこの曲に「これはもう昔のBUMPじゃない」と落胆していたんだけど、今回ライブで光の演出と一緒に聴く「Butterfly」が格好良すぎて、何より楽しすぎた。自分が曲に近づいたのか、曲が自分に近づいてきてくれたのか、こんなに印象って変わるのかって本当にびっくりしている。
「ダイヤモンド」「リボン」は、アリーナ後方のミニステージに移動してくれたので少し近くなったし、それだけで、わああ〜ってなった。アコーステッィク編成じゃなくてバンド編成だったのもまたうれしい。そして「ダイヤモンド」は本当にいつ聴いたって歌のパワーが強すぎる曲。とてつもなくくさいことを言っている歌詞なんだけど、藤くんが歌うと大事なお守りのような歌になる。歌い始めるときにマイクが高かったみたいで、「たけえな」と言ってマイク位置を調節する行為すら、今だけの特別な瞬間のような感じがしてぐっと来たな。
そしてまたメインステージに戻ってからの「望遠のマーチ」の演出がまたよかった。スクリーンに歌詞が映し出されるっていうありきたりなものではあって、私的にあまり好きじゃなかった演出なんだけど、たぶん、きっと、「望遠のマーチ」をさらっとしか聴いていなくって、だから余計に「こんなことを歌っていたんだ…!」とアホみたいな感動の仕方をしたんだと思う。ポップな今のBUMPって感じの歌なんだけど、でも歌っていることは孤独とか、迷いとか、でもそこにいる人を励ましてくれるいつもの藤君の歌詞で、「え、なにこれめちゃくちゃわたしの知ってるBUMP OF CHICKENじゃん…」と思って泣きそうになった。変わっちゃったって思ってたけど、本質は何も変わってないって思えた一曲だった。
「supernova」は今まで行ったライブでわりとよく聴いていた曲だけど、隣通路のずっと座りっぱなしで聴いていたおじさんが、この曲のときだけ立ち上がって嬉しそうに幸せそうにしていて、「ああ、この曲はこの人の大事な曲なんだな」と思ってなんか一緒に幸せな気持ちをもらった気がしたよな。きっとみんなそれぞれそういう想いを抱えてライブに来てるってことが、当たり前なんだけどとても尊いことのような気がした。
本編ラストは「流れ星の正体」。この曲は藤君からファンへのメッセージだと思って受けとってる。こんな気持ちで歌を届けてくれていたんだ、と思うとそれだけで泣ける。おおげさじゃなく、BUMPの曲にすくわれたって思える気持ちが自分の中にいくつかあって、だからこそ二番のサビの歌詞がとてつもなく響く。そしてアルバム収録版で増えた最後の歌詞が、まさに今のわたしとBUMPの関係というか、BUMPを好きになった時の状況と、気持ちが離れてしまったときの状況と、でもまたここで「aurora arc」っていうアルバムがきっかけでBUMPが好きってことを再認識できたっていうことが全部どんぴしゃで重なって、ちゃんとまたわたしに届いたんだなってそんな気持ちになれる曲。ライブでは、最後の4人が音をかき鳴らしながら藤君が情感こめて歌う様子がスクリーンに映し出されていたのだけど、照明の感じとか、立ち姿とか、歌う声とか、なぜだか天体観測のMVがフラッシュバックしてきて、不思議な感覚だった。
アンコールラストは「ガラスのブルース」。いつ聴いても、何度聴いても、色あせない。「FLAME VEIN」を再生したときの感覚が蘇るんだ。
曲以外に印象に残ったのは、チャマがいつもグッズ紹介をするんだけど、グッズのコンセプトを教えてくれるときに「オーロラを見に行ったときに訪れたイエローストーンにありそうなグッズをデザインした。4人で見に行ったオーロラが本当にすごかった。だから今回のツアーでは、みんなでまた疑似体験ができたらと思った」という趣旨の話をしていて、テーマが一貫していることもそうだし、メンバーが見てきてすごいと思った体験にわたしたちも混ぜてもらっているんだ、ということを感じてとてつもなく感激してしまった。もうこのコンセプトがあるだけで強い。最強。ライブって体験なんだって強く思った。だから、この会場も、光の演出も意味がすごくある。ただのキャパを広げるための会場じゃないし、派手にするためのレーザーじゃない。円形の会場はオーロラの光を表現するのにぴったりだし、くるくるまわる色とりどりの光はまさにオーロラだった。メットライフドームの吹き抜けがある構造も本当に外にいる感覚で、だからこそより自然の空気を感じながらオーロラ体験をしているような気持ちになった。もうそう思えただけで、最高に素敵で特別なライブだった。
今回はツアー初日っていうこともあって、内容もそういうMCが何度かあったけど、最後にメンバーが捌けて、藤君が一人になったときのMCが本当によかったから、Twitterでまとめてくれた人のツイートを張っておきたい。
とてつもなくいいMCだった。初日に来れてよかった。この藤君の気持ちを聞けてよかった。たぶん全然わかってないんだってちょっと笑っていったあとの、それでもいいから聴いてほしい、聴かない日があったっていい、時々時間を曲達に分けてあげてほしいって、ずっと歌うから、って言ってくれたことが、勝手だけどわたし宛のメッセージだって思った。わたしが人生で初めて好きになった音楽は、バンドは、変わらないでちゃんといてくれたんだってことを実感できことがただただ嬉しいと思えて、そしてこれからもいてくれるんだって思えたことが本当に幸せで、心強くて、大好きだった思えた。
もしかしたらいつかまた「なんか違うな」って思って離れる時もあるかもしれない。それでもまた、BUMPの歌はきっと届くんだろうなって思うし、また帰って来るんだろうなって思う。やっぱりわたしの原点はBUMP OF CHICKENだ。