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観戦歴内で最長の試合を闘う人たちを見た日(2025年2月15日、雪妃真矢10周年記念自主興行を観て思ったこと)

 プロレスの試合時間には限りがある。

 たとえ時間無制限1本勝負となっていても、3カウントなりギブアップなりの決着がつけば、試合は終わる。

 30分を超えたら長い方だなというのが、3年ほどプロレスを見てきた私の持つ感覚だ。

 この日はそれが覆された。

 第2試合、8選手によるバトルロイヤル。時間無制限、場外カウントなし、オーバーザトップロープルール採用のこの試合、決着がつくまでにかかった時間はなんと107分。

 一癖あるどころか、癖しかない面々によるバトルロイヤルは、開始十数分で場外乱闘へと展開した。リング内に戻れと叫ぶ石黒淳士レフェリーに、佐藤光留選手が声を張る。

「お前1月誕生日だっただろう? 何歳になった?」
「 41歳です」
「おめでとう!」

 拍手が巻き起こりハッピーバースデーコールが湧く中、レフェリーは祝福の胴上げを受け、されるがままに選手陣もろともワッショイワッショイとバックヤードへ 退場してしまった。 

 決着つかずにノーコンテストかと思った刹那、リングアナウンサーの落ち着いた説明が入る。

「バトルロイヤルは続行中ですが、選手レフェリー 全員退場してしまったため 次の試合に移ります」

 もう笑うしかない状態で第3試合の6人タッグマッチが始まり、青木いつ希選手と梶トマト選手のハイテンション対決や、加藤園子選手と水波綾選手のパワースポットぶりや、今成夢人選手の職人ムーブやアントーニオ本多選手の創作昔話「雪妃真矢物語」(!!)を堪能した。

 第4試合は3Wayタッグマッチ。偽羅りさ&雪ペ真矢の衝(笑?)撃的インパクトに負けず劣らずのスピード感もあるタッグ攻防が見られた。
 この試合の終盤にバトルロイヤルチームがリングサイドに乱入。「バトルロイヤル 45分経過」と冷静なアナウンスが入るも、バトルロイヤルの決着はつかないまま第5試合が始まった。
 石川修司 vs 松本浩代という本当にぶつけちゃうんだ、という感のある破壊王 男女対決。一歩も引かない 松本選手の姿が印象深かった。

 続く第6試合は私にとっては推し祭りな6人タッグマッチ。DASH・チサコ選手の疾走感と攻め手の鋭さと、並び立つジャガー選手の熟練技との対比も楽しく、 ハードコア風味の加わった桜井麻衣選手も新たな一面を見られた気がする。その対角にヒールモードの翔選手、私がプロレスにはまったきっかけの林下詩美選手、青髪のハードコア&デスマッチの巫女・世羅りさ選手!
 眼福で満腹なこの試合の終盤にもリングサイドにバトルロイヤルチームが乱入。休憩時間を告げるアナウンスが入ってもバトルロイヤルは進行し、ロビーや 客席での場外というかほぼ路上プロレス の様相を呈していた。この時点で「バトルロイヤル 95分経過」。

 休憩が終わりセミファイナルが始まると思いきや、バトルロイヤルの面々にいつの間にか加わっていたバナナ千賀選手とツトム・オースギ選手も交えて乱戦が加速。ようやくオーバーザトップ ロープでの失格者が出始めると、一旦協力するしないの駆け引き等を経て、107分続いたバトルロイヤルの決着がついた(勝者は退場のたびに雪妃選手のコスチュームを着替えて登場した安納サオリ選手)。

 ずっとこの試合を見ていたいなと思うことがある。決着がつくと、その勝敗に喜んだり悔しくなったりという感動もありつつ、ああ試合が終わっちゃった、という寂しさも感じる(だからこそ、プロレスをまた見たい、と思い通うことになるのだが)。

 このバトルロイヤルに関しては、試合が終わってしまったという寂しさよりも、よくぞこの試合をまとめてくれた、という感動の方が優る決着だった。

 やっぱりプロレスは面白い。

 さて、次はどんな試合を観られるかな。

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