闘う人を見て魂が揺さぶられた日(2023年5月28日、新日本プロレスを観戦して思ったこと)
揺さぶれ、魂!
『BEST OF THE SUPER Jr. 30』優勝決定戦のこの日、メインイベントに至るまでの試合も非常に濃くて熱かった。
ヤングライオンを可愛がってねじ伏せる真壁刀義選手、ちびっこの声援が飛んだTMDK、まさかのUE乱入によるノーコンテスト、オカダ選手に突っかかる海野翔太選手と成田蓮選手の張り合い、ちびっこの熱い声援を受けるマイク・ベイリー選手と笑いながら叩き合うエル・デスペラード選手……面白くて、びっくりして、イラッときて、スカッとして、気がついたらメインイベントの時間になっていた。
マスター・ワト vs ティタン。
青髪、猫好き、と聞いて気になっていたワト選手は、私の推し選手の一人。BEST OF THE SUPER Jr. 30決勝戦の晴れ舞台、テンションは上がるし応援にも力が入る。
入場の時点で、私の心は完全にワト選手に傾いた。
ティタン選手のセコンドはLIJメンバー勢揃いで、ワト選手のセコンドには天山広吉選手ただ一人。
その景色に、うっ、と胸を打たれた気がした。
チーム支援のないワト選手と、強い絆を持つ仲間を伴うティタン選手。孤高vs群れ。そう見えてしまった。ワト選手に勝ってほしい。心の底から思い、声援を送っていた。
なぜかといえば
群れる者が必ずしも悪い存在ではないにしても、私個人の過去の記憶において、私は群れに馴染めず孤立気味で、群れる者から攻撃を受けた。孤立しても立ち向かえる武器を何とか見出してやり過ごしてきたから今の私自身がある。
それに、孤立して虚しさに呆然としていても、実は孤独ではなかったことに気づいた。だからここまで生きてこれた。
両選手入場後の景色に、そんな感傷が重なったのだ。
「ワトー!!」と叫ぶ(ヴィジュアル系ライブに通っていた昔日以来かも)。
ワト選手が絞められたら、鷹木選手が天山選手にタオル投げたら? とちょっかい出したのを見て、反射的に「ふざけんな」と呟く。群れてるチームへの反発が増してよりいっそうワト選手の応援に力が入る。
カウント3つ入っただろ! と絡んでくる高橋ヒロム選手たちに、肩上げたから! と身振り交えて応じるレッドシューズ海野レフェリー。私は「海野さんありがとう!」と思わず口にしていた。
ワト選手が勝ち、私の苦い感傷は癒やされた。
プロレスに魂を揺さぶられた瞬間だった。
不思議なことに、試合が終わるとLIJに感じた苛立ちはスーッと引いていた。感傷が癒やされたからなのか、プロレスの力なのか。これもまた、「プロレスを観ると元気になれる」現象の一つなのだろう。
さて、次はどんな試合を観られるかな。