📍松村北斗が薦める小説を読んでみた話

前回から松村北斗ばかりになっていますが、約半年前、松村北斗のエッセイを読んでいて出会った恩田陸さんの作品「木漏れ日に泳ぐ魚」を読んだ時の話をしてみようかなと思います。

何の前触れもなく、突然「松村北斗がエッセイを書いていた」という衝撃に出会ってからまあそれは色々と読み漁り、どこかの回で紹介していたこの作品に心惹かれ、前のめりになりながら読んでみました。
読んでいたことがありますと言った方がいいくらい、読んでいたのは昔の話になりますが、iPhoneのメモを開いて見たら変な感想文が出てきたので、これを機に振り返ってみようと思い今回に至りました。

今でも忘れられない、読んだ後真っ先に浮かんだ衝撃の感想
「そうか、松村北斗もこの本の重みを知っているのか」

変なんですよね昔から。作品の読み方が。
物語に素直に入り込めばいいものを、この作者は一体日本語という道具を使って何を魅せてくれるのか、何を考えて生活していたらこんなストーリーが浮かぶのか、といった具合に、偉そうな態度で斜めから読む自分、相変わらず変だなと何かを読む度に思っています。

"本"というものを、そこに示された物語に触れる媒体として認識している自分と、作者の心とリズムに触れられる物質として認識している自分がいます。漫画も紙で読むのが好きなのは、その物語の束が出来上がるまでにかかった作者の時間と思いが、どこか質量として受け取れている気がして、いつまでも紙で読む作品が大好きです。電子書籍も大変便利だけど、紙も素敵です。なくならないといいな。

松村北斗が一体何を語ってこの小説を薦めていたのかも思い出せないのですが、とにかく同じ分の質量を握りしめながらこの物語に魅了されていたんだなと思ったら、少しだけ嬉しかったのを覚えています。

この文字を同じ順に同じだけ追ったのだと思うとロマンを感じたし、何がそんなに魅了させたんだろうかと、終始完全にfeat.松村北斗で読み進めてしまいました。
でもこの作品、映画「シックスセンス」ではありませんが、初めて読む時と二度目に読む時、そして少し忘れた頃に読む時できっと見える景色が違うんだろうなとも思っていたので、今読んでいる小説が読み終わってから再読しようかと思っているところです。

心に余裕がある時は、少しでも本に触れていたいと格好つけながら生きているので、気付けば色々な作品に手を出しては潜心していますが、恩田陸さんの作品、とても女性らしく妖麗で、水の流れを感じさせるような艶のある素敵な文章でした。そして、時間とはこんなにも長く、重くて、簡単に人を支配するんだなと。

こんなに女性らしさを感じさせる物語が今まであっただろうかと思うくらい、一度に読み切ってしまうには勿体無いくらい読む人を惹きつける作品でした。

仕事をしている松村北斗しか知らないし、ファンの皆様が知っている松村北斗の1割も知らないような気がしていますが、何かこう捻くれているというか、不器用というか、思慮深く、信じられないほど澄んだ純粋さを兼ね備えた人なのではないかなと、もしも私が松村北斗を説明するならこう答えると思います。

そしてきっとそれは自覚出来ている半分と、本人も周りも知らない未知の半分、両方が共存しているようにも思う。何となく。
とにかく松村北斗を見かける度に、割れないといいなとか、誰の投げた石も当たらないといいなとかそんな風に思うことがあります。

話を戻して、とにかくこれを読んだ松村北斗は「このセリフを言ってみたい」と思うらしい。表現する仕事って凄いと思うと同時に、戦隊ヒーローに憧れる少年のようだなとも思ったことを覚えています。いつかこれを叶える日が来たら、松村北斗の描く「木漏れ日に泳ぐ魚」を観に行きたい。難しくて純粋で、あまりに人間らしい、少年松村北斗の夢が叶いますように。

2023.08.16