サナトリウムに居た頃

高校3年生の冬 
再検査で陽性となりサナトリウムに入院した
そこは海辺の高台にあって、病棟の横の草原は
庭のように整備されていて、松林から続いている
病室には沢山の陽の光が入っていて、キラキラしているけど
みんな笑いながら静かに泣いているような感じ
同部屋の少し年上の子、中学生の子
色々なおばさん、色々なおじさん、元気なおじいさん
再検査の日はみんな元気だけど
その結果が出た日は、無口になる
みんなこの日々を終わらせたい
自由に起きて寝て、好きなことをして、人に会いたい
何度も吐血したおじさんもいたし
そのおじさんを愛していた女性もいた
彼はいちごに牛乳を入れて少しつぶして食べるのが好きなの
そういって笑っていた
みんな私より随分長い間、入院していた
そのサナトリウムは
右前方に海が見えたところを右に曲がって登りきったところ
曲がり角には雰囲気のいい喫茶店はチョコレートケーキが美味しかった
病室で読んだ参考書のマーカー
電話した夜中の待合室
看護婦見習いの怖い話
沢山の笑顔
静かな悲しみ
高校三年生の冬から
7か月の青春

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