借りは次に返して 3

部下2人の体が、爆風に巻かれて、浮き上がった。私は次にシイ隊員と、A隊員の部隊を確認した。なんとか爆発には巻き込まれない位置だった。私は、狙撃兵に援護を指示し、ジャングルの真ん中を走り出した。
シイ隊員は私に気付き、私の動向を注視した。
私は右手を揃えて、待ての動作をした。
シイ隊員は頷き、私は左に位置するA隊員にも同様の指示を出した。
建物の目前に迫った時に、地面に倒れていた先遣隊の1人が、わずかに体を動かしたのを私は見逃さなかった。
私は近寄り、体を仰向けにして、膝の上に頭を置いた。
「うう、う。」
ゴフッ、隊員の口から血が吹き出していた
「大丈夫、大丈夫」
声をかけながら、何が大丈夫なのかわからないが、私はポケットからモルヒネの注射器を出し、隊員の腹に突き刺した。
「もう大丈夫だ」
隊員の呼吸は徐々に浅くなって、最後は聞こえなくなっていた。
私は、両手で、そっと頭を持ち上げ、ゆっくりと地面に置き、ごめんよ、と呟いた。
辺りを見回し、敵がいないのを確認し、ほふく前進で、右方向に移動していった。
左から銃声が聞こえた。
A隊員の部隊が敵の姿を捉えて、撃ち始めたのだった。
シイ隊員の所で合流した私は「先遣隊2人がやられた。建物の向こうにいる。A隊員がやりやっている。右から回り込もう」とシイ隊員に伝えた。
現在13人の部隊員だ。
生き残れるか不安だ。
                つづく

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