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『虹』(L'Arc〜en〜Cielの楽曲についてひたすら語っていくシリーズ)

今回は『HEART』の五曲目『虹』です。
いやぁ、ついにここまで来たのかといった感じで感慨深いですね。
まだまだ楽曲はあるので先は長いのですが、一つの区切りを迎えたような気になります。
何と言ってもこの曲は、バンドにとってもファンにとってもただならぬ意味合いを持つ楽曲ですからね。
この楽曲が発売された背景等については語り始めるとキリがないと思うので、ここでは触れないでおきます。
ただこの『虹』というタイトルについてはどうしても触れておきたいところ。
L'Arc〜en〜Cielというのは言うまでもなくフランス語で虹という意味であり、そのフランス語の名前を持つバンドが日本語の『虹』というタイトルの曲を出したわけです。
この、バンド名と曲名で同じ意味を表すけれども、使用している言語が違うというところに深い味わいを感じてしまうのは私だけでしょうか。
海外のバンドが自身のバンド名と同じタイトルの曲をリリースすることがありますが、それとはまた違うんですよね。
あり得ない話ですが、伝説的HRバンドRainbowが『L'Arc〜en〜Ciel』というタイトルの楽曲をリリースしたら現地のファンはどう感じるのでしょうか?
この辺りの、表現に使われている言語が違うことによる受け取り方の違いについて興味があるので、もし何か情報を持っている方がいたら教えていただきたいです。
とにかく、この曲のタイトルが『L'Arc〜en〜Ciel』ではなく『虹』だったというところに何とも言えない味わいを感じてしまったという話でした。

冒頭から取り留めなく語ってしまいましたが、曲自体の話に入っていきましょう。
まずは何と言ってもイントロのギターのアルペジオではないでしょうか。
ギターを始めてこのアルペジオを練習し、挫折したという方も多いと思います。
難易度的には、このアルペジオが弾けてようやく『いばらの涙』に挑戦できるくらいですよね。
4弦4フレットのF#音と3弦開放のG音とで隣り合った音が重なって鳴っており、この重なり合いからなんとも言えない響きが生まれているように感じられます。
イントロが終わるとすぐに始まるサビでも一連のアルペジオが続き、後半に行くにつれて徐々にオーソドックスなバッキングに変化していきます。
そのベーシックなバッキングのところどころに単音の印象的なフレーズが散りばめられており、このフレーズからは若干HR的なニュアンスも感じ取れます。
イントロのアルペジオと並んで注目すべきはギターソロです。
音源版も当然素晴らしいのですが、ライブではアドリブ的なアレンジが多く加えられ、毎回どんなフレーズを弾いてくれるかなぁとワクワクしてしまいます。
個人的には、導入の辺りで長めのチョーキングが聴けるバージョンが特に好きなのですが、皆様のお気に入りはどの公演のテイクでしょうか?

この曲のベースといえばグリッサンドと言っていいほどふんだんに使われていて、この粘っこいニュアンスを出すのは非常に難しいです。
公式バンドスコアだとこのグリッサンドやスライドのニュアンスを表現するためにtab譜にうねうねとした線が書き加えられていて、その線を見ながらこうかこうかと思いなが試行錯誤したのを覚えています。
ただ、今になって思うとこれはtab譜に注目するのではなく、音源を聴いてそのニュアンスを研究した方が答えにたどり着くのは早かったのではないかと思いますね。。
ライブ版を見ていても、例えば同じE音を弾くにしても1弦9フレットではなく2弦14フレットを弾いて、そこに行くまでのスライドでうねりを出しているのがよくわかります。
こういったニュアンスって多分好きな人と苦手な人と大きく分かれるところだと思うのですが、当時の自分にはとんでもなく刺さりましたね。
あと、このPVでミリタリー的衣装に身を包んでいるtetsuyaも何だか新鮮で好きです。

この曲がリリースされた時にはまだyukihiroはサポートメンバーという扱いだったんですよね。
ただ、それでもyukihiroらしさは顕著に表れていて、改めてこの曲を聴いて感じたのは、ドラムのいる位置が結構高いなぁということです。
なんとも漠然とした表現なんですが、バスドラがそこまでどしんとローに構えておらず、どちらかというと金物とそれに連動したスネアが表に出てくることからそう感じるような気がします。
そういった印象のドラムなので、この曲のようなどっしりとしたテンポのバラードでももっさりし過ぎないというか…なんとなく、このすっきりとしたドラムとうねうねとしたベースとで上手くバランスが取れているような気がするんですよね。
これが何の試行錯誤もなく生まれたものであれば凄いなぁと思いますし、プロデューサーの岡野さんの策によるものであればそれはそれで流石です。

ボーカルについては言わずもがな素晴らしいです。
Aメロからサビに向けて徐々に高揚していくニュアンスの付け方が素晴らしく、更にライブ版ではそれが如実に感じられるので、ライブ版も視聴していただきたいところ。
あとはやはり歌詞ですよね。
この歌詞、読んでみるとわかるんですが、『虹』という事象については一切触れていないんです。
ただどういうわけか、この曲を聴くと『虹』が空にかかっている景色を思い浮かべてしまうんですよね。
『虹』というものが、雨が降った後に空にかかるものであること、困難を経た後に現れるものであるということが暗喩的に表現されているようなこの歌詞とタイトルのリンク、更にはそのタイトルがバンド名とも言語の枠を超えて繋がっているという事実に感動を覚えずにはいられません。
それは重要な曲になるはずです。
ちなみにこの曲の歌詞で一番好きなのは、ギターソロの裏で聴くことのできる台詞パートです。
非常に味わい深いことを言っているので、ギターソロを注意して聴きたくなる心をグッと抑えて、時には台詞にも注目してみてください。


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