『Wind of Gold』(L'Arc〜en〜Cielの楽曲をひたすら語っていくシリーズ)
次は『Tierra』の4曲目、『Wind of Gold』。
この曲は別アレンジバージョンが後にリリースされたシングル『Blurry Eyes』のカップリングにも収録されています。
初期L'Arc〜en〜Cielのアルバムには、アルバムごとに「そんな曲できるのかい!」という楽曲がそれぞれ収録されていますが、『Tierra』でいうとこの曲がそれです。
そして意外とこのアルバムでは初登場のKen作曲楽曲。
この楽曲の基礎となるジャンルは、何というんでしょうか、レゲエなんでしょうかね。
このタイプの楽曲、普段筆者が手を伸ばす範囲にはないタイプなので、今聴いても新鮮な印象を残してくれます。
初めて聴いた時からそうなのですが、筆者がこの曲を聴いて思い浮かべるのは砂漠をラクダがトボトボと歩いている風景です。
そう感じる大きな要因はドラムのリズムパターンで、バスドラが四分のリズムで繰り返される中にハットが裏にアクセントを付けて入ってくるこのパターンを聴くとそんな情景を想起してしまいます。
あとは何処となくRPGゲームのサントラにある、辺境の街で流れるBGMのような雰囲気も感じるんですが、共感してくれる人いないでしょうか。
いませんよね。
作曲者でもあるKenはこの楽曲ではガットギターを全編通して使用しており、そこにエレキのフレーズが重なるようなアレンジになっています。
やはりこのガットギターの淡々としたバッキングからも異国感が溢れていますよね。
こういった、必ずしも際立って目立つわけではないアレンジの中でも個性を出すことのできるKenのギターセンスには脱帽の一言です。
Tetsuyaのベースはスライド多めでロー成分多めの粘りのある演奏が印象的で、いわゆる代名詞的なプレーとは一線を画した、これまた違った側面を堪能できる仕上がりになっています。
一オクターブ上からスライドで降りてくるフレーズは弾いていてとても気持ちが良いので、ベーシストの方にはぜひコピーしてこのフレーズの素晴らしさを堪能してもらいたいところ。
そういえば今思い出したのですが、かつてアルバム『SMILE』が発表された辺りの時期にTETSUYAが巻頭に掲載された雑誌Bass Magazineが発売されていて、その時にこの『Wind of Gold』のフレーズのTab譜が少しだけ掲載されていた気がします。
なかなかBass Magazineも渋いチョイスをしたものだと、今になって思うもんです。
ドラムは前述したようなリズムが印象的で、最後のサビの切り替わりのところで入ってくるリズムをずらしたようなフィルインがとても素晴らしいのでここも聴いていただきたい。
この曲はボーカルが比較的低めの一定した音程で進んでいくので、Hydeの歌も落ち着いた、優しく語るような歌い方になっており、他曲とはかなり違った印象を受けます。
そうした歌い方によって歌詞の物語性がより際立ってくるようにも感じられますよね。
この曲もそうそうライブで演奏されるような曲ではないのですが、なんと2015年のラルカジノにて披露されるというサプライズがありました。
現場ではコアなファンが感涙して喜んだことだと思います。
大都会大阪にある人工島の上にある会場でこの異国情緒溢れる楽曲を聴くというのも味があるものだったでしょう。
ただただ羨ましい‥