『夕立の庭』GARNET CROW(思い入れのある曲シリーズ)
今日はGARNET CROWを取り上げたい。
GARNET CROWはバンドという印象はなく、どちらかというとグループといった感じの不思議なアーティストだった。
キーボードが2人いるのもそうだし、ボーカルが元々は歌う予定の人ではなかったことも、ビーイング系のギタリスト的な派手さがないギターも、何だか色んなところでツッコミどころの多いアーティストだという印象がある。
大抵の人がそうだと思うけれど、筆者もアニメ名探偵コナンきっかけでGARNET CROWに出会った。
主題歌に起用されていたデビューシングル『Mysterious Eyes』が入り口である。
この曲最初はそこまでピンと来なかったし、数ヶ月後に今度はエンディングテーマとして起用される『夏の幻』についても正直あまり印象に残らなかった。
魅力に気付いたのはその後に発売されたシングル『flying』であった。
『flying』はテイルズオブエターニアというゲームの主題歌に起用されており、ゲームを始めるとまずオープニングで『flying』が流れるのだけど、これが映像ともマッチしていてとても良かった。
特にサビの部分のボーカルの歌唱が何か北欧っぽいというか。
それまでは癖が強くてあまり受け入れられなかった由利さんのボーカルが突然ツボにハマった瞬間だったので非常に印象深い。
そこから解散まではほぼほぼリアルタイムで音源を聴いて追っかけていたと思う。
名曲には枚挙にいとまが無いのだが、個人的に推したいのはファンの中でも人気のこの曲、『夕立の庭』だ。
GARNET CROWの中ではかなり有名な部類であろうシングル『スパイラル』のカップリングに収録されている曲である。
この曲はとても味わい深い。
GARNET CROWの二枚看板として、七さんの書く歌詞と由利さんの作るメロディがあるのだが、この曲はそのどちらもに聴きどころが満載である。
まず歌詞について。
この『夕立の庭』というタイトルからして詩的な感性をくすぐる表現だと思う。
といってもこの曲は『夕立の庭』という光景について長く語るような内容の歌詞にはなっていない。
どちらかと言えば哲学的な命題のようなものが主たるテーマになっていて、それについて考えている主人公がいる『夕立の庭』という場所がその命題とリンクしてくるといったような、不思議な流れになっている。
特に印象深いのは「唐突に出会う運命と重ねてきた毎日を秤にかけ眺めてるバランス」という箇所だ。
この歌詞凄くないですかね。
現世をこの世と読ませる表現もTHE七さんといった感じで、何だか仏教的な世界観も感じられてしまう。
そしてメロディ、作曲について。
この曲転調の鬼である。
Aメロ、Bメロ、サビ全て入りのキーが異なっており(Bメロは途中でAメロと同じキーに戻るが)、特にサビに入る所の転調は四度下がるような変化になっており珍しい。
聴き馴染みのいいメロディながら、実は非常に凝った構成になっているのが非常に興味深い。
『スパイラル』や『夢みたあとで』も良いが、この『夕立の庭』も是非聴いてみてもらいたい。