『sky needle』Annabel(思い入れのある曲シリーズ)
今日はAnnabelの『sky needle』について。
Annabelは日本とアルゼンチンのハーフで、とても麗しいルックスのアニソン界隈のアーティストだ。
元々は同人系の音楽に携わっていたようで、そこから『My Heaven』という曲でデビューし、アニメタイアップが増えていく。
アニソンタイアップをしつつ同人系の音楽活動も継続していて、そこで出会ったと思われるschool food punishmentの蓮尾さん、山崎さんらとsiraphというバンドを結成。
この辺りの話は『feedback』の記事でも話題になったので、そちらも宜しければ。
この『sky needle』が収録されているアルバム『TALK』には、siraphのメンバーが参加している『混線と対話』という刺激強めな曲が入っており、前作と比べてだいぶ楽曲の守備範囲が広がったように感じていた。
中でもこの『sky needle』が一番の推し曲だ。
この曲に対して持っているイメージとして、「美しい世界の中に入り込む異物感」というものがある。
イントロから美しいアコースティックギターのフレーズが重なり、そこにボーカルが入ってくる展開は美しい以外の何物でもない。
ただその後入ってくるドラムのサウンドは何やら加工されたような風合いになっており、ここで若干インダストリアルな印象を受ける。
他のパートが非現実的な美しさを持っているとしたら、ドラムは日々暮らしている日常の世界を想起するような音色で、ここの対比が耳に残る。
更に、2番のサビの後の間奏で出てくるギターのカッティングフレーズも加工された不思議な音で、ギターなのに電子音のようにも聴こえるような音色だ。
この辺りのサウンドの対比はどういった狙いがあるんだろうと、歌詞を読みつつ考えてみた。
タイトルの『sky needle』は「広がる二つの空 縫いとめられたら」という歌詞で回収されており、どうやら二つの世界をつなぎ合わせるようなどこでもドア的な(過去と未来という表現も出てくるからタイムマシンの方かも)装置らしい。
そこで曲のサウンドの中でも美しい世界と人工的なインダストリアルな世界を構築して、その二つの世界をつなぎ合わせるようなコンセプトで組み立てていったのではないかと勝手に想像してみた。
とんでもない妄想なのは理解しているけれど、こうやって好き勝手に想像しながら楽しむのも音楽鑑賞の醍醐味の一つだと思う。
楽器ごとの話をすると、まず左右に振られたアコースティックギターの音色がとにかく素晴らしい。
確か弾いていたのはZABADAKの方ではなかったか‥曲のクレジットが今確認できないが、そうだった気がする。
ベースはフレットレスで弾いているであろうサウンドで、初期の坂本真綾さんの作品に登場していた渡辺等さん的なフレージングが素晴らしい。
こちらもクレジットは確認できないが、そもそも渡辺等さん本人が弾いているのでは?という気がする。
Annabelさんのボーカルは声質命で、それほど張り上げて歌うようなタイプではないため、特にこういった落ち着いた雰囲気の曲で真価が発揮されていると思う。
落ち着いた気持ちになりながら曲の世界観を楽しみたい方は是非一聴してもらいたい。