『Cynical』Extreme(思い入れのある曲シリーズ)

今日は初の洋楽、Extremeを取り上げたい。

Extremeを初めて聴いたのは大学生になった頃で、当時はゴリゴリのヘビーメタルに没頭していたこともあり、あまり良さがわかっていなかった。

ヘビーなのか軽快なのかよくわからないバンドだなあという印象を覚えたような気がする。

Extremeと言えばファンクとメタルの融合という文脈で語られることが多く、特に初期の楽曲、2ndアルバムの『Pornogaffitti』まではホーンも取り入れたパーティーロック感のあるものが多い。

当時はその雰囲気があまり好みではなかったのだけれど、少し間を置いてから改めて聴いた時には、細かく作り込まれたギターフレーズ、コーラスワークの多彩さ、ギターとのユニゾンとアウトするところをうまく使い分けているベース等の魅力に気づくことができ、後になんばHatchで行われた『Pornograffitti』再現ライブにも足を運ぶほどに好きなバンドになった。

今回取り上げる『Cynical』が収録されているのは4枚目の『Waiting for the Punchline』というアルバムなのだが、このアルバムは2枚目の『Pornograffitti』とはかなり様子が違う。

2枚目までのパーティーロック感は3枚目の『III Sides to Every Story』ではかなり薄れ、4枚目では当時流行していたであろうグランジ、オルタナ的な世界観が強く広がっているように感じられる。

ただ、このアルバムが他のグランジ、オルタナ界隈のアーティストの作品と明らかに違うのは、ファンクとメタルの融合という要素がこの頃になってもしっかりと残っていることだ。

ファンクとメタルを融合させようとしていたバンドがグランジ、オルタナに手を出した‥そのことによる魅力がこのアルバムの中でも最も凝縮されているのが『Cynical』だと思う。

まずイントロから入ってくるギターのリフについて。

このリフのリズムだけ見ると、休符を細かく挟んだ軽快なものになっているが、半音下げプラス6弦はそこから更に一音下げのドロップC#のチューニングから繰り出される音は非常にヘビーである。

このリフだけでご飯が食べられるレベルだ。

イントロからリフに入る箇所のギターとベースのユニゾンも、ドロップチューニングならではのヘビーさが堪らない。

Aメロはイントロのリフの音数を少なくしたようなフレーズで、その隙間を音符長めのボーカルが埋めていくような展開。

Bメロはいわゆるファンク要素が感じられるような7th系のコード進行が現れ、バンドの初期を彷彿とさせるようなパーティー感が少し見られる。

サビはボーカルがどちらかというと地味な方のフレーズを歌い、ギターとベースのコーラスが耳につきやすい方のフレーズを歌うというExtremeに時々見られる構成。
ここではギターはザクッとした大きめのノリのフレーズを弾いているが、一方でベースは休符と4弦開放を交えた細かめのフレーズを弾いており、このフレーズを弾きつつコーラスを兼務するのはなかなか至難の業だと思う。

この後のブリッジ部分ではドロップC#のヘビーさが曲中で最も強く感じられるユニゾンフレーズが登場する。

2回し目のサビの後はギターソロに展開するかと思いきや、またしてもヘビーなギターとベースのユニゾンフレーズに突入する。若干クロマチック的でポリリズム要素もあるこのフレーズは弾いていると拍子がわからなくなってくるが、聴いている分にはヘビーなのに不思議な浮遊感も感じられる。

ひと段落してメインのリフを挟んだ後には短めのギターソロのようなセクションがある。ここもベースとドラムのリズムが少し変則的な中で、ギターが大きなノリでチョーキングをしているのが浮遊感があり、初期には無かったような展開だ。

と行った流れでエンディングとなる。

個人的にはこの曲『Cynical』はアルバムを象徴するような曲だと思っているので、アルバムを通して聴くのが億劫だという人にもこの曲は体感してもらいたい。

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