アッシュ・レイダーは何故生まれてしまったのか
こんにちは、墓地です。
皆さん、ハイパーエナジー、してますか?
ゴールドオブハイパーエンジェル、今弾は面白いデッキがそこそこ組めるだけでなく、足回りや受け面でのパワーの底上げがすごい弾ですよね。
ギャクポのテキスト変更やアナマルルが凄いこととかが話題で、今となってはもう旬は過ぎましたが先週あたりでネット上で良くも悪くも大きな話題となったこのカード
ボルシャックの名を冠し、イラストも「ザ・カードゲーム」って感じがして素晴らしいカード。
しかしご存知の通りあまりにも調理が難しく、巷では「七英雄候補」だの「少なくとも令和ではない」だの「53円」だの散々な評価を受けていましたよね?
今まで性能の低いハズレアが数多く出ている中、Twitter上でも今までに類を見ないレベルで盛り上がっていたと思います。
ぶっちゃけ、栄光から3→6で繋いでハンドが切れないミッドレンジ❗️みたいな感じの使い方が思いつく分言われてるほど弱くはないカードではある。
言われてるほど弱くはない、でも強くないから弱い。
それはそれとして皆このカードを見て思ったことがあると思います。
「こいつカードとしてどういうデザイン?」
ビートダウンで使おうにも戦略と噛み合わない軽減効果、前のシリーズでプッシュされたアーマードの基盤に入れようとしてもメクレイド5で出なかったり、ちぐはぐなスペックで能力をフルで活用するのが困難な歯がゆさのあるカード。
そんなアッシュ・レイダーを公式はどういう意図で刷ったのか考察していこうと思います。
収録カードの特徴
アッシュ・レイダー本人について触れる前に少しパックの特徴についての話をしようと思います。
GoA以降のパックは、背景ストーリー上の各勢力に戦略は違うもののメインとなるギミックには同じものが配布されているため、それを活かすため文明が違っても収録されるカードの方向性は似ているという特徴があります。
十王篇と比べると違いがわかりやすいと思います。
十王篇は各勢力ごとにキリフダッシュ、鬼タイム等の固有能力が配布されていて、収録カードはそれぞれの所属する勢力のサポートカードが多い傾向にあります。
一方でGoA以降は各勢力にシビルカウント、メクレイド等同じギミックが配布されているため、文明ごとに収録カードの能力自体の方向性は違くとも、タマシードが多い、小型クリーチャーが多い等、収録カードの方向性は似ているわけです。
各シリーズごとにまとめていくと
GoA(伝説の邪神,轟炎の竜皇)
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目玉ギミックはシビルカウントとACEクリーチャー
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盤面を作り、強力なシビルカウントやACEクリーチャーを起動してそれぞれの戦法で戦う単色のデザイナーズデッキを想定している
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場持ちのいいタマシードがたくさん登場、全体的にコストも低め、新種族、新勢力の登場ということでそれぞれの足回りになるカードも多数収録
ARev前半(双竜戦記,忍邪乱武)
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メクレイド(あとニンジャ・チェンジ)
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メクレイドを駆使して強力なクリーチャーを早期に展開する戦略
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メクレイドの発動条件を達成するためのサポートカード、メクレイドの出力先になる5コスト帯、8コスト帯のパワーカードが多い
ARev後半(魔覇革命,竜皇神爆輝)
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革命チェンジ(あと終極宣言)
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前半でプッシュされたメクレイド戦略に革命チェンジギミックを組み込んだ、より幅広い戦い方ができるデッキが組める
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優秀な小型だったり即時攻撃できたりと革命チェンジと相性の良いカード、メクレイドから出して強い5及び8コスト帯のパワーカードも数多く追加
ARev番外編(邪神と水晶の華)
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水晶マナギミック
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専用ギミックの水晶マナを作るカードを駆使してゼニスやアンノウンで戦う戦略
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水晶マナを作るカードや、水晶マナがあることで強化されるカードが収録カードのほとんどを占める
王道編前半(デーモンオブハイパームーン,カイザーオブハイパードラゴン)
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超化獣
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どの勢力もハイパーモードを活かしてゲームを有利に進めていく戦い方が基本のデッキになる
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タップすることで能力を発動するような超化獣と相性の良いカードや、タップしやすい軽量クリーチャーが多く収録
と、このようにパックごとに収録カードの方向性が決まってるいることがわかりますね。
もちろん全てのカードがプッシュされたテーマと相性の良いカードというわけでもなく、
ファンサービス的に収録された過去カードのリメイクカードだったり、シンプルな汎用カードだったり、戦略と関係ないメタカードだったり、前のシリーズの戦略や人気のデッキの強化になるカードも毎弾収録されています。
こいつとか
こいつとか
こいつとか
余談にはなるんですけどGoAのカードデザイン好きなんですよね。
各勢力にシビルカウントとACEクリーチャーのギミックが配布されて、闇以外はそれらを起動することを目指す戦略をとっている中、アビスだけはアビスベル=ジャシン帝の着地を目指し、シビルカウントとACEクリーチャーはジャシン帝によるフィニッシュの過程で勝手に達成されるデザインになってるんですよね。
カードイラストだけじゃなく戦略面でもアビスは他とは異質な存在ということが強調されてて好きです。
それでは、今弾の特徴を見ていきましょう。
今弾の目玉ギミックはまあご存知の通りハイパーエナジー。
コストの異なるコストのクリーチャーを展開することで真価を発揮する能力で、同じくコストの異なるカードが並ぶことで発動するバラバラエティや、1枚からコストの異なるクリーチャーを2体展開できるヨビニオンも登場していることから、
今弾のデザイナーズデッキのコンセプトは、ハイパーエナジーとバラバラエティを起動するためにコストの異なるクリーチャーを効率よく展開して切札の着地を目指すことだとわかります。
したがって今弾の収録カードの傾向は、
ハイパーエナジーのコストにしやすい優秀な低コストクリーチャーやヨビニオン持ち、高コストSTだったり軽減持ちだったり、特定条件の元出せるコストの被りにくいクリーチャーが多い
となりますね。逆転撃を持った汎用カードが各文明に配布されたり、汎用カードがシンプルに強かったりとかなり革命的なパックだと思います。SRで強いカードは少ないですが。
アッシュ・レイダーの分析
改めてアッシュ・レイダーくんの性能を見てみましょう。
・相手に盾を2枚増やす権利を与えるかわりに自前で2軽減される
・SA2点
・味方が盾を割るたびに1ドロー(一応自分の盾を割った時にも引ける)
自分は王来篇からデュエマを本格的に始めて今に至るまで発売前から産廃産廃と言われたSRは数多く登場しましたがここまでネタにされた奴はいなかったと思います。
その要因の一つとして、やはり能力の噛み合いの悪さが気になりますね。
GODZAとかアブライゼとかは何をしたいカードかまあわかるけど、こいつに関してはぶっちゃけ何したいかわかんないデザインしてるもん。
なんで「ドンドンせめていけ❗️」って能力なのに相手の盾2枚も増やすねん。
そのまま使ったら4マナでトリガー踏むリスクを背負った上で相手に2ドローあげて自分も2ドローしてるようなもんだもん。
スペックをフルで活かすには能力を極力使わないほうがいいってなんだよ、ガノンドロフの上強か何かか?
さて、今弾ではアッシュ・レイダーとよく似たテキストを持つクリーチャーがいますね。
こいつらです。
デメリットを背負うことで名目コストより軽く召喚できる5コストアンコモンサイクルですね。
今弾のテーマを考えると「コスト被りにくいからハイパーエナジーのコストにしやすいよ❗️」ってデザインで、スカルシュームを除いて各文明でプッシュされてる種族を持っているので革命チェンジにも使えるよ〜っという開発の意図も伝わってきますね。
着地しなかったらデメリットは発生しないからセガーレケアもできるよ❗️やったね❗️
ぶっちゃけそれぞれのマナ域で普通に強いクリーチャーを召喚すればハイパーエナジーのコストとしては十分なのでわざわざデメリットを背負ってまでこいつらを使う意味は構築難易度を上げてチェンジ先を入れるくらいしないとないですがそこはアンコモンのサイクルなのでいいとしましょう。
本題に戻って、こいつらはハイパーエナジーのコスト兼革命チェンジ元にするというコンセプトカードです。
しかし似たテキストを持っているからといってアッシュ・レイダーも同じコンセプトでデザインされたカードかと考えるとかなり違和感があります。
どういうことか、火文明のハイパーエナジー持ちのカードを見てみましょう。
現時点の火のハイパーエナジー戦略の中心となるアゲブロム。
唯一のハイパーエナジーとヨビニオン両方持ち、理論上最高出力のヨビニオンが可能なボルカノドン。
ハイパーエナジー持ち汎用トリガーサイクルのティラノス。
ハイパーエナジーがおまけ程度についているだけのティラノスは考えないとして、注目すべきはアゲブロムとの相性。
アゲブロムもアッシュ・レイダーも攻めに関連する能力なのは同じですがアゲブロムのデザインは
1Tから盤面を展開していき3,4T目の着地を目指し、除去耐性と攻撃時効果を活かして一気に攻める
というかなり前のめりなものです。
アグロして早期のフィニッシュを狙うアゲブロムに対して4T目に相手にトリガーのチャンスを与えるリスクを背負いながら後続を確保するアッシュ・レイダーの相性は頗る悪いと言えますね。
4T目以降の着地が主になるボルカノドンと相性が良いかというとやはりそんなことはなく、ボルカノドンの着地でクリーチャーがタップされることで打点が減ってアッシュ・レイダーのバリューが下がる、ヨビニオンでアッシュ・レイダーを捲るとデメリットを無視できてそれなりに強いけどボルカノドン自身がSAを持っていないのでやっぱり噛み合わせが悪い。
そもそもアッシュ・レイダーがハイパーエナジーのコストとしての適性が薄く、
ハンドを稼いでハイパーエナジー持ちを引き込みやすいとはいえ同時に除去トリガーで盤面を減らされる、最悪カウンターで普通に殴られて負けるリスクえお背負うことにもなるので使いにくい。
なんならハイパーエナジー持ちクリーチャー側にアッシュ・レイダーと相性の良いカードがほとんどいないんですよね。
せいぜいフミビロムのバウンス効果を使いやすくなるくらい、別にそれも水のドロソ使えばいいだけだし。
以上のことからアッシュ・レイダーは今弾のカードと組み合わせることは考えられていないのではないでしょうか。
ではなんなのか、既存のデッキの強化でデザインされたのか、単体で強いパワーカードとしてデザインされたのか、4つほど考えてみました。
ドギラゴンのチェンジ元説
まずはアッシュ・レイダーはドギラゴン閃の強化パッチとしてデザインされたけど調整された結果よくわかんなくなった説です。
ニヤリーゲットが帰ってきたジョーカーズと違ってドギラゴンに龍装チュリスはまだ返せないので、チュリスの枠のリペア案の1つとしてデザインされたとします。
第一弾でドギラゴン超が出たとはいえドギ書発売の次の通常弾でジョーカーズばっかり強化もらってドギラゴンに強化来ないとさびしいし。
チェンジ元として運用する上でライバルには
多色デッキ相手にはチュリスすら圧倒的に上回るパフォーマンスを"魅"せる鬼丸「終斗」
王道ドギラゴンと同じ色でマナ基盤として強くしかも受けになり、鬼丸と違い相手を選ばず使える、ついでに一定条件下でドローできる、ドギラゴンから出ない多色カードという点しか目立った欠点がない4コストのチュリスことパラキン8th
ドギラゴンと組み合わせるなら多色ということ以外ほとんどの点でアッシュ・レイダーの上位互換、サンブレードNEX
と錚々たるメンツが揃っています。
対してアッシュ・レイダー
チェンジする前提だとほぼ活かせないドロソとしての能力。チュリスの強みの1つであった、チェンジすることで低コストのSAがハンドに返ってくるという事象、この強みも軽減して出してもそのターン中の打点は増えない、むしろGSやSTで減るデメリットで打ち消されてしまっている。
今のアッシュ・レイダーはチェンジ元としてあまりにも弱すぎるので開発段階では
・相手の盾2枚追加するかわりに3コストになる、もしくは自分の盾2枚焼却のかわりに4コストになる感じの軽減能力
・味方が攻撃するたびに1ドロー
みたいな感じだったけど「チュリス4投時代よりノヴァの出力上がってるから相手選ばず3コストは無理〜」とか「自分の盾減らせたら赤黒邪王門がヤバい〜」とか話した結果今のテキストになったのではないでしょうか?
しつこいようですが、兄弟でそれぞれドギ書とジョ書買ってもらって遊ぶってことも容易に想像できる中ドギラゴンの強化カード追加されないと寂しいし、鬼丸はジョーカーズ対面活躍しづらいし。
ちなみに皆さんは【王道の革命 ドギラゴン】をなんと呼んでいますか?
おうどん?
おかくご?
おうドギ?
おかめゴン?
自分はメイドラゴン派です。
アーマードの強化説
次はアッシュ・レイダーはアーマードデッキの強化パッチとしてデザインされたという説です。
自分はアーマードのデッキと聞くとメクレイド5が主軸の赤白アーマードか、バクテラスが主軸の赤白ボルシャックを連想し、それらのデッキとは噛み合いが悪いため最初はアッシュ・レイダーはアーマードのカードではないと思っていました。
そもそもメクレイド5から出なかったり、メクレイド8から出そうとすると普通に他のやつのほうが強かったり、バクテラスとの噛み合いも薄かったり、既存のアーマードとのテーマとはどれとも噛み合いが悪いと思っている中、
僕も皆も大好きな某チャンネルで紹介されたこのデッキ。
既存のメクレイドに頼った構築ではなく2T目に軽減持ち、3T目にフレイムバーンから更に軽減持ちを展開することでアッシュ・レイダーを自前の軽減に頼らずとも召喚が可能。軽減して出しても浮いたマナでハイパードラゴンとかアークゼオスNEXで打点増強できる。
2T目に出したクリーチャーがチャラだった場合、3T目に軽減持ち2体+フレイムバーン+アッシュ・レイダー、と相手に盾2枚を与えるデメリットを差し引いても強い盤面の構築も可能。
相手の盾を増やしてトリガーのチャンスを増やしてしまうデメリットは引き込んだシロフェシーのトリガーケアとヴァル・ボルシャックの打点増強で融和できる。
とアッシュ・レイダーの強みを活かした綺麗な構築になっています。
メクレイドに頼らなくても高い展開力を発揮できているのはフレイムバーンのおかげだからすごいのはフレイムバーンなんじゃね?って話はともかく、
ほぼほぼ直近のカードだけで構成されていてデザイナーズデッキ感もあるので開発もこのデッキで使うことを考えてたんじゃないですかね。
アッシュ・レイダーを引けなくてハイパードラゴンで攻めていく展開になったときはハイパーボルジャアクを入れられなかったりアークゼオスが無かったり、アッシュ・レイダーが捲りのハズレになってたりと、さすがに既存のアーマードよりも出力は大幅に下がるものの、新しい形のアーマードを組めという示唆なのかもしれません。
アッシュ・レイダーのコストが6なのは「メクレイドばかりに頼るな」という運営からのメッセージだった…?
背景ストーリーの都合説
3つ目は別に何かのデッキで使えるようにするとかはあまり考えてなくてストーリーの都合で登場した説です。
突然ですが火文明のリーダーのボルシャック・ハイパードラゴンことボルシャック・カイザーは今弾の背景ストーリー上で死亡が確定してしまいました。
でもってアッシュ・レイダーの前身ことボルシャック・レイダーはスタートデッキのパッケージを飾ってたりボルシャック・カイザーにまたがられてたり、火文明の中でもわりかし上の方のポジションについていることが想像できます。
アッシュ・レイダーのフレーバーテキストにも「ボルシャックの仇は、ボルシャックが討つ」とか書いてあってボルシャック・カイザーの意思をアッシュ・レイダーが継いだ的な捉え方もできるしアッシュ・レイダーが火文明のリーダーになる可能性が微レ存…?
次弾で背景ストーリーでめちゃくちゃ強くなった新しいアッシュ・レイダーの姿を見れるかもしれないし、そのデッキで今のアッシュ・レイダーがめちゃくちゃ強く使えるかもしれない。
いわば今弾のアッシュ・レイダーは伏線として作られたカードという説、あると思います。
デュエパ用のカード説
相手にメリットがある軽減効果、無駄に高い名目コスト、その2つの特性をメリットにできるフォーマットが存在します。
それがデュエパ。
アッシュ・レイダーはコストが5を超えているためパートナーとして採用することができ、しかも置きドロソとして赤単アグロと相性の良い能力。2T目に軽減クリーチャー出して3T目に召喚できたら受けや除去が通常戦より安定しないデュエパだとそりゃ強い。
相手に盾追加をさせるデメリットは多人数戦なため実質本来の三分の一のデメリットに。
なんなら交渉に使え、自分の安全の確保にも使える。
とこのように赤単アグロの統率としてドンピシャな性能をしています。
自分が考えたリストはこちら、一応レベル3想定
赤単レイダー
序盤から展開していき、可能なら2T目に軽減持ちクリーチャーを出す。
軽減持ちを出していたなら3T目、出していなかったら4T目に誰か一人に媚を売って手を組みながらアッシュ・レイダーを召喚し、もうすぐに動きそうな危ない奴に攻撃しながらリソースを確保。
早期に1人を始末し最下位を回避しつつ、引き込んできた我我我や罰怒やアゲブロム・バイオレンス等のフィニッシャーで打点を一気に増やして他のプレイヤーも鏖殺するデッキです。
アポデイ等の全体除去を食らってもかなりの枚数ドローしているので立て直しも容易、とアッシュ・レイダーの強みをかなり活かせているのではないでしょうか。
あまりにもデュエパすぎる能力だったので自分はこの説を推しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
自分は発表された時からデュエパのカードだと考えていたのですが皆さんはどう思いますか?
カード開発のことをほぼ知らない1ユーザーのつぶやきなので「こんな考えもあるんだ」くらいに楽しんでもらえると嬉しいです。
おまけ
今日のイキスギ・ミュージック
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