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歌の力、魂が呼応するとき。
先日、何気なくテレビを見ていたところ、こんな企画がやっていた。
それは、アーティストが路上ライブをしたら投げ銭でいくら稼げるかというもの。
スタジオのパネラーの方はチームを組んで、アーティストが路上ライブでいくら稼ぐかを予想し合っていた。
路上ライブを稼ぐ目的にして、その金額を当てるのだからゲスイといえばゲスイ企画。
だが、VTRで生のライブを前に、お客さんが手拍子をしたり、笑顔になったり、どこか自分の思い出の曲の向こうに懐かしい目をしている姿には画面越しにグッとくるものがあった。
番組を途中から見出した僕は、ちょうど大江裕が路上ライブをする時だった。
大江裕を初めて知ったのは、たしか「さんまのからくりTV」で中学生ながら演歌を歌えるというキャラクターでフューチャーされた。
中学生とは思えない風貌とそのキャラクターと歌唱力。どれもが吹っ切れていたので印象的だった。
近年でも度々バラエティ番組に出ているが、キャラクターをフューチャーされることが多い。
しかし、先日見た路上ライブの企画では、歌手としての本意気が見れた。
札幌の路上の行き交う人の足を止める歌唱力。表現力。
ギターが一本、マイクが一本。誤魔化すことができない。
テレビ画面越しでも伝わる歌の力。
時に優しく。時に力強く表現する歌声はテレビを通じてでも感動した。
お客さんがいろんな表情をしているのを察するに、生のライブではこの数倍の歌の力があると感じた。
音楽番組で見るアーティスト。
演奏も歌唱力も上手い人が多い。
でも、テレビの画面越しでも本当に伝わるアーティストはそう多くないと感じている。
それは単純に上手いから伝わるというのではない。
最低限の歌唱力は必要かもしれないが、ただ上手いだけでは、聴く人の心は掴めないと思う。
それが、ライブなら尚更。画面越しなら尚更だ。
有名、無名など関係ない。
人の心を動かす歌の力はもっと別のところにある。
ある日、インスタのタイムラインに1組のアーティストのライブ映像が流れてきた。
のっぺらの小棚木もみじを聞いた時、衝撃が走った。
スマホに映し出される、のっぺらのライブ映像。
ショート動画でほんの数十秒の中に、小棚木もみじの歌の力に圧倒された。
名前も知らない初めて見るバンド。
スマホの縦型の小さな画面からでも伝わる歌唱力。
歌唱力という言葉で収めるにはあまりにも足りなかった。
バンド名を調べて、youtubeを見て、曲をダウンロードして、それだけでは飽き足らず、小棚木もみじのソロ名義の曲をダウンロードして、ズザズザズの曲も聞いた。
小棚木もみじのソロ名義の曲も素敵だし、数年前のライブ映像も好きなんだけど、インスタの投稿で流れた今年のライブ映像がやはり一番好きだった。
なぜ、こんなにも自分の心を魅了するのか、なぜ、ショート動画にも関わらず何回聞いても震えるのか、その理由をうまく形容できる言葉をずっと考えていた。
そして、ようやくその言葉がわかった。
それが、魂の震えだった。
小さな体から最大限に魂を震わせて歌いじゃくる姿に、僕の魂が呼応したのだ。
スマホというポケットに入るだけの小さな画面から伝わる魂に、僕の魂も震えたのだ。
僕が今、一番好きなアーティストで、ライブを見たいアーティスト。
のっぺらの魅力を語れば、まだまだ足りないし、好きな曲を語れば、うそなき、キャベツ、ごみくず、あのよ、部屋なし、、、など語り尽くせないのでそこら辺はまた今度に。
言いたいことは山ほどあるけれど、今日はこのへんで。