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【初めての今ドキ登山】暑っつい! 立山へ行こう!(@富山県立山) その3


 2023年8月12日、立山に登った。その模様はすでに動画でこちらに公開してある。↓

 noteでは、動画で表現できなかったことを書こう。つまり、
 1.撮影しなかった、できなかったこと。
 2.AV、視覚聴覚以外の感覚のこと。
 3.映像や現象の裏にある、理由、感情、背景、歴史。
 4.なぜ山に登るのか、山に登るとは自分にとって何なのか。

以上、前置き終わり。その2から、まだ続いています。


 立山駅からケーブルカーで美女平(標高977m)へ、すぐ乗り換えて立山高原バスで室堂(標高2,450m)へ向かう。立山高原バスは、日本で一番高いところを走るバスだ。7時スタート。
 曲がりくねった道をバスはゆっくりと登っていく。この道、天空ロードはマイカー進入禁止なので、高原バスしか走っていない。車内の空調が少し寒い。外気を取り入れているからだろうか、それとも最終目的地・室堂の気温に慣れるため、わざと寒い温度に調整しているのだろうか。

【立山高原バス バス停】
 美女平 - ブナ坂 - 滝見台 - 上ノ小平 - 弘法 - 追分 - 弥陀ヶ原 - 美松 - 天狗口 - 天狗平 - 室堂

 この立山高原バスのコースの名称をずらりと並べただけでも、共通の匂いがしませんか?

 美女平は美女杉という巨大な立山杉に、ブナ坂はブナの原生林にちなんでいるが、滝見台は、日本一の落差(350m)の称名滝が真正面に見えるビューポイントだから。称名滝の「称名」は称名念仏から取っている。
 弘法バス停は、弘法大師・空海が錫杖を差したら清水が湧きだした、という伝説から。
 弥陀ヶ原は、標高1,600mから2,000mまでの高山に広がる、広大な高原であり湿原で、その雄大さ、夏の緑の平原もすばらしいが、そして高山植物が咲き乱れる春秋の美しさは、まさに極楽浄土に見えるだろうな。弥陀ヶ原の「弥陀」は、もちろん阿弥陀仏のことだ。この弥陀ヶ原の湿原には、あちこちに小さな池が点在しているのだけど、これは「餓鬼田」と呼ばれていて、死者が餓鬼道に落ちて空腹に苦しんで、その空腹を癒すために田圃をしているという言い伝えがある。
 この天空ロードと向かい合うように迫ってくる山塊は大日連山で、「大日」は大日如来、北アルプスのなかに薬師岳があるがこれは薬師如来から来ているし、最終目的地の「室堂」という地名自体が「修験者が宿泊したり祈祷を行ったりする堂であり、山岳信仰や神奈備がある神体山では建立されることが多い」だそうだ。

 つまり、ここらの地名は極めて仏教的、仏教テーマパークに来たような感じなんだ。室堂のそばには、地獄谷という活火山の噴火口から煙と硫黄の匂いが吹き出しているし、立山連峰には、そのものズバリの浄土山という山がある。
 立山とは、生きたまま極楽と地獄を体験できるテーマパーク、それが立山信仰の肝です。

 自作の小説「神保長住」でも立山信仰に触れたんだけど、知らない人にはぴんと来なかったみたい。
 だから、改めて「立山信仰」とは何か、と記しておきたい。立山は江戸時代以前は、日本全国知らない人はいない霊山だった、信仰の山だった。

まずはWikipediaから引用してみます。 立山修験 - Wikipedia
「立山は霊山として古くから山岳信仰の対象となってきた。仏教では、立山の雄山などを極楽浄土地獄谷地獄に見立て絵解きした『立山曼荼羅』を携えた芦峅寺御師が、江戸時代日本各地を回って参詣を勧め、広まった。

(中略)

立山信仰の背景には山上他界が存在するという信仰があり、立山の山域の各所は、開山伝説に基づき、浄土地獄にそれぞれ比定された。立山を巡拝することで死後の世界を擬似体験し、形式上「他界」に入り「死」から戻ってくるという修行を積むことができ、超常的な力(法力)を身に付けることができると考えられるようになった。

立山浄土としては、立山三山、なかでも雄山は仏そのものであり、阿弥陀如来の仏国土である極楽浄土の象徴とされた。

立山地獄は、現在の地名にも残る地獄谷であり、硫黄臭ただよう場所である。その近くのみくりヶ池は、血の池として、また、剱岳は針山地獄であるとされた。」

立山曼荼羅とは、こんな絵図です。

立山曼荼羅・吉祥坊本

 立山信仰の世界観を如実に語るのが、この立山曼荼羅です。

そして、立山信仰について展示物を見るだけでなく、体験できるのが、立山衆徒の本拠地のひとつ、芦峅寺という町で、ここに立山博物館があります。

《……to be continued》

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