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「初めて」の今ドキ登山~低山トレーニング編

わたしの2023年の目標は「初心者になり、新しいスキルを習得する」 こと。いろいろな「初めて」に挑戦しよう。発見もあるだろう、うまく行かないこともあるだろう、落ち込むこともあるだろう。それを全部書いていこう。それが「初めて」シリーズ。

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 3月12日(日曜日)の朝。
 出発点となる神社は想像より立派だった。鮮やかな朱色の鳥居をくぐると、長い参道に灯篭がならび、手水場は清水があふれている。参道のどん詰まりにある社殿の前で、撮影用の三脚を立てて準備していると、中年の夫婦が現れて、手を合わせていく。

 「初めての今ドキ登山」企画スタート。登山のためのボディになるために、今の自分に何が必要か。知るには低山を上ってみるのが一番だ。

 今9時、社殿の横から遊歩道が始まる。

スタート地点

 垂直にのびる杉林が茂り、日をさえぎるなかの登山道。かなり急だ。丸太で作った階段がしっかりしているから、まだ歩ける。

登山道

 五分もしないうちに足が上がらなくなる。息が上がる。こんなに体力が低下しているなんて。道の途中に椿が咲いている。上から降りてくる人がいる。ジャージに普通の靴。地元住人なのか、朝の散歩感覚だろうか。

 急坂を上りきると、広い砂利道に出た。車も通れそうだ。丸太の登山道より歩きやすいが、時々傾斜がきつくなり、一歩一歩地面を踏みしめる。

 山中を高圧電線が走り、道のそばの鉄塔につながる。鉄塔から谷へ伸びた電線を追いかけて視線をむけると、そこだけ斜面の木々がなくて、下界がよく見えた。
 山を囲むように流れる川の輝き、まだ農作業が始っていない田畑の枯葉色の中に、小さな屋根が並ぶ。真ん中の工場の煙突から白煙が宙にたなびいている。

唯一のビューポイント

 砂利道の遊歩道を歩くと、時々人に出会う。マスクを着けている人、着けていない人。
 道のメルクマールである悪王子社という神社の前に「山頂まであと25分」という標識が立つ。トイレがしたくなる。自然のまん中だから、いざという時は何とでもなるが、太陽光パネルを屋根に載せたECOトイレを見つける。

ECOトイレ

 ドアに駆け寄りノブをつかむが……開かない。「今年の営業は終了しました。 2022年12月」の紙がドアに貼ってある。もう再開しろよ。

 ECOトイレのすぐ上に、アスファルトの道路が走っている。車で山頂下まで来られるわけだ。そこから山頂までどの道を行くか、迷った。目の前に上り道の入口がある。しかし、登山計画を作ったyamapアプリの道は、左に行け、と指示している。

yamap登山地図(スマホ)

 yamapというのは、登山地図とGPSを合わせて、自分が地図上のどこにいるか、道を外れていないか、あとどれくらいか、と教えてくれる、スマホのアプリだ。例えるなら登山のカーナビ。今回初めて使ったけどスゴイ。技術の進歩が凄い。

 指示通り左に自動車道路を進む。

自動車道

 右に曲がって、ヤセ尾根の道を上る。景色が一変する。細い道の両側は深い谷。転げ落ちるとヤバい。白樺だろうか、銀色の樹皮の木が増えた。植生が変ったのだろうか。

ヤセ尾根道


 尾根道を上りきると、広場になっていて、ここが山頂だった。標高274メートルの標識も立っていた。見晴らしが今いち。ベンチはあったものの休憩したい場所ではなかった。展望台が近くにあるはずだ。

山頂

 しかし展望台はどこだ。山頂から降りると、また自動車道。さっきは右に行ったから、左に進んでみよう。
 yamapの地図には展望台が表示されない。不安ながら歩くと、ほどなくコンクリの建造物が見えてきた。

展望台

 今度こそ景色を楽しもうと展望台の二階に上るが、木々の枝が茂っていてよく見えない。
 下の階には、テーブルとベンチがある。ここで休憩しよう。

 ストップウォッチを見ると、登山口からここまで52分かかっていた。標準時間45分をオーバーしたのは、道迷いのせいだから、ほぼ標準時間でのぼれた。いつのまにか息切れも足の重さもなくなっている。体が山登りモードを思い出したようだ。体の記憶が開きだす。
 初めての休憩。まずザックからお茶のペットボトルを出す。お茶の一口飲むと、はあ、生き返るー。

風が爽やか

 さてお楽しみタイム! ザックから水筒を出し、さらにカップコーヒーも出す。紙カップに、インスタントコーヒー、クリーム、砂糖の粉を入れ、今朝詰めてきたお湯を水筒から注げば、ほぼ山頂で熱いコーヒーが飲める!
 持ってきたドーナツと一緒に味わえば、美味ーい! 天国の味! これはオーバーじゃなくて、本当に最高でした。柔らかく爽やかな風が時々吹いて、汗ばんだ体に気持ちいい。鳥の鳴き声が遠くに聞こえる。思い出すと、道中まったく虫がいなかった。これも爽やかさの理由かもしれない。夏だとやぶ蚊が出る。

 朝詰めたお湯が使えるのは応用が効く。今回はカップコーヒーだったが、インスタントみそ汁やミニラーメンを山頂で作る可能性も広がる。山のベテランになると、ガスコンロとクッカーを持って行って自由に調理するところだが、そこまで投資しなくても、山頂でご飯を楽しめそうなのがいい。

 10時’20分ごろ展望台を出て、下山する。途中また道迷いしたものの、元の神社の社殿前に11時に着いた。体はまだ余裕がある。明日筋肉痛にはならないだろう。
 帰り道で銭湯に寄って汗を流そう。反省点はあるものの、いい経験になった。さあ、来月はどんな山に登ろうか。
<FIN>

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