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【初めての今ドキ登山】暑っつい! 立山へ行こう!(@富山県立山) その4
2023年8月12日、立山に登った。その模様はすでに動画でこちらに公開してある。↓
noteでは、動画で表現できなかったことを書こう。つまり、
1.撮影しなかった、できなかったこと。
2.AV、視覚聴覚以外の感覚のこと。
3.映像や現象の裏にある、理由、感情、背景、歴史。
4.なぜ山に登るのか、山に登るとは自分にとって何なのか。
以上、前置き終わりです。
表紙の写真は、立山高原バスの終点、室堂ターミナルの中です。2,450mの下に貼りだされているのは、クタベという立山地域に伝わる妖怪で、疫病を防ぐと言われています。
さて、室堂に着いてからの登山の様子は、上の動画をご覧いただきたい。ここで書きたいのは、動画、AV、Audio音声、Visual映像だけでは伝わらない。他の感覚でも感じたこと。
動画中にもあるが、立山登山のスタート地点、室堂平は硫黄くさかった。立山三山にカメラを向けている背中側に、地獄谷という活火山の噴火口があって、有毒ガスが出ているから火口には入れなくなっている。同じ方向には、みくりが池温泉という日本一標高の高いところで営業している温泉がある。時間があれば入りたかったな。
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それから整備された登山道、石畳みたいで歩きやすそうに見えますよね。しかし、これは多分その辺の火山岩を切って並べているだけで、表面がやたらゴツゴツしていて、足を下ろしたときに衝撃がやたら来る。歩いているうちに、足が痛くなりそうな気がする。意外と傾斜が急なこともあって、一の越に着くまでには息があがります。
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一の越から雄山までは、まるではしごを上るような急角度、ほぼ垂直の世界。
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そして、光が風景にあふれている。気温は低いのに、日差しは下界よりも強く、眩しい。高山は下界よりも紫外線が強いそうで、私も紫外線対策でサングラスをかけ、長袖Tシャツを着てきた。それにしても、この眩しさは。
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大気圏の上層にいる。宇宙に近い感じ。山に登るだけなのに、宇宙へ向かうロケットに乗っているかのようだ。
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嗅覚、触覚と来て、残る五感は味覚。
雄山の頂上で食べたカップヌードルはおいしかった。スープの塩分を、汗で塩分を流しだした体が率直に欲している。
雄大な景色を見下ろしながらカップ麺を食べる。時おり爽やかな風が吹いて、私の体の汗を乾かせていく。山脈と向かいあう崖に腰をおろし、足をぶらぶらと谷にぶらさげて食べていると、足元千メートル下まで何もない、ということは、こんなに怖いのか。股間が持ち上がるようだ。
山の天気は変わりやすい、というけれど。
登りはこんなに晴れ渡っていた空が、雄山から大汝山、そして富士ノ折立まで行って雄山に戻ろうとした時には、下からガスが上ってきて、さっきまで見えていた室堂が見えなくなっている。
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ガスと登山者は言うが、下界から見れば山頂を覆う雲ですよ。わたしは、そして全登山者は雲のなかにいるんです。
湿気を含んだ空気が山脈にぶち当たると、高度を上がるごとに気温が下がるので、空気中に湿気を含んでいられなくなり、水滴が析出する。その微細な水滴の集まりが雲だ。雲の中の微細な水滴がさらに集まって水滴になり、重さに耐え切れず落ちれば、それが雨。当たり前の気象現象だが、自分の目の前で、そのプロセスが進行するのを見ると、頭の中で考えていたのは全くイメージが変わる。
晴天の下では楽しい山歩きも、雨の中では地獄に変わる。地獄はイヤだ。ストイックなアルピニズムは求めていない。だったら、雨に降られる前に下山しよう。
《……to be continued》