見出し画像

サカナクション『夜の東側』を聴くと思い出す事

2009年、初めて付き合うことになった彼女にクリスマスプレゼントを買いに行くために、山形市内から仙台に向かうバスに乗っていた。

田舎モンの俺が知ってるオシャレアイテムが入手できるところは、仙台駅前にあるロフトしかなかった。


で、プレゼントは目星をつけていた。黒い筐体に青いデジタル表示の数字が光る、ヴィレバンとかでよく見るあの置き時計。あれをプレゼントにしようと思っていた。

今思うとめちゃくちゃにセンスがない。

それを買って、帰りのバスの中で暗闇を眺めながら聴いていたのが『夜の東側』だった。


クリスマス当日、俺はバイトが終わったあと、彼女に電話をかけた。
が、出ない。
バイトまだ長引いてんのかな、くらいに思っていた。
でも、そこから2〜3時間経っても電話は繋がらず、俺はパニックになった。


彼女の友達に、「電話が繋がらないんだけど!!」と相談したら、「私からもかけてみる!」。
その後その友達から、「なんか男の声が聞こえてすぐ切れちゃった!」と涙声で言われ、俺はさらにパニックになった。


…で、単純にこれは浮気されていたって話なんだけど、そんなもん恋愛経験の少ない俺にはわからんことだった。


なんか事件に巻き込まれたんじゃ…と思い、警察に電話した。マジで警察に電話した。対応した警官はそっけない対応で軽くあしらわれた。(そりゃそうだ)
なにがなんだかわからずに、彼女のアパートの前でずっと待ってた。


何時か忘れたが、日はまたいでいたような気がする。彼女がタクシーで帰ってきた。俺が内心期待していた「ごめんなさい!ずっと待っていてくれたんだね!」とかいうのはなく、「なにやってんの?」みたいな、そっけない言葉しかなかった。


俺はなんて言っていいのかわからずに、自分の原付を思いっきり蹴って、ケータイを地面に叩きつけてそのまま歩いて帰った。


翌日、彼女が家に来て、別れを告げられた。

時計は渡した。彼女からはケーキを貰った。


その後、原付を取りに行って、割れたフェンダーを見てまた気持ちが沈み、ケータイもぶっ壊れて、ケーキの味も覚えていない。

彼女は大学を休学して、いつの間にか退学していた。


そんなことを『夜の東側』を聴くたびに思い出してる。

いいなと思ったら応援しよう!