「モノ」から「コト」、そして「トキ」へ
最近、消費傾向が「モノ」から「コト」に変化をしているという話をよく聞きます。記事などを見てみるとその通りなのですが、モノを超えるコトというのは結構難しいなぁと思ったりしています。
今日はその辺を書いてみたいと思います。
いわゆる「モノ」から「コト」へとは?
まず初めに「モノ消費」と「コト消費」の定義を抑えておきましょう。経済産業省の公開している資料に以下のような記載があります。
ざっくりいうと、購入する商品そのものに価値があると考えることを”モノ消費”、商品やサービスを購入してて得られる体験に価値があると捉えること向を”コト消費”と言います。
「モノ」に対する変化
”モノ消費”から”コト消費”に変わっていった背景の1つは、豊かになってモノが手に入りやすくなったことがあげられます。昔はテレビがすべての世帯になく、みんなで集まってみていたようです。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のワンシーンで商店街の仲間たちがテレビを見に鈴木モーターズに集まってきている、あんな感じだったんだと思います。
このような生活を豊かにするいわゆる3C(カラーテレビ ・クーラー・自動車)のようなモノは、国内には行き渡ってそのものの価値だけでは消費されなくなってきている、これが「モノ」の消費に対する変化です。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の時代まで遡らなくても、「モノ」に対する捉え方は年代によって違っている気がします。あくまで私見ですが、私よりも上の世代の方に比べて、30代以下の世代は何かモノが欲しいといったことを強く思わないみたいです。ちょうど私の世代が間くらいなんですかね。こういった体感からも、”モノ消費”が変化していっているんだと思います。
「コト」=体験
ある意味「モノ」の価値が下がってしまった代わりに、購入した際に得られる経験や体験に価値を感じるようになった、これが”コト消費”です。様々な企業が「モノ」から「コト」への転換を進めています。以下のサイトにいくつか例が挙げられていました。
この中でタニタさんの例は確かに変化しているのを感じました。
確かに体重計のイメージが強かったですが、今は「タニタ食堂」や「タニタ社員食堂レシピ」などをよく見ますし、「健康をつくる」というイメージが定着していると思います。ぼくも参考にさせてもらってます笑
ソフトウェアという観点では、ZoomやTeamsが”コト消費”で成功した例だと思います。コロナ禍になってテレワークが普及したタイミングも相まってWeb会議という体験の価値が急上昇しました。ある種、強制的に行われた面もあったとは思いますが、ここでの体験があって今では様々なWebinerが行われて、今では当たり前になっています。
「コト」に昇華させる
ぼくは、IT系の仕事をしているので、ビジネスを考えるとソフトウェアが最も関係が深いです。ソフトウェアに関しても機能を提供するという面では「モノ」になりますが、例えばソフトウェアやソフトウェアが提供する情報によって直接的に行動を促すとか、事象に対する考え方や捉え方が変わる(間接的に行動が促される)というようなことができれば、「コト」の消費にできるんじゃないかと思っています。つまり、「モノ」を超える価値を提供できるんじゃないかと。
ですが、ですが、です。
実際は、そう簡単ではないというのが感じているところです。
最近まで半導体不足でPCを初めてとして、ネットワーク機器や様々なモノの納期が遅れてしまいました。これは仕方がないです。
そんなとき、ソフトウェアの開発ってハードウェアの納期の遅れ分を考慮されないことがある気がします(完全に私見です。。。)。つまり、
「ハードの納期が遅れちゃったけど、契約の納期は変えずにお願いね」
みたいなことを言われたりします。こんなときにこれまでは、こう思ってました。
「やっぱりコトよりもモノなんだなぁって」
ですが、今回色々調べてみて、そうではなかったかなと感じています。それは単純な話で、”コト消費”と呼べるだけの体験を自分たちのソフトウェアが与えられていないんだなと。まだ「コト」に昇華できていないんだなと。
今後は、使ってもらえる人に「使ってよかった!」「今後も使いたい!」というような体験を与えられるようなソフトウェアやサービスを考えていきたいなと思ってます。
そして「トキ」へ
そして、最近は”トキ消費”という傾向にさらに変化していっているようです。”トキ消費”とは、博報堂生活総合研究所が提唱した概念だそうで「その日」「その場所」「その時間」でしか体験できない消費行動のことだそうです。ライブ配信やWebセミナーなどオンラインのイベントも”トキ消費”に含まれるそうで、まさに先ほど”コト消費”で例に挙げたZoomやTeamsの発展形ですね。”トキ消費”には以下の特徴があります
非再現性・限定性
参加性
貢献性
なるほどな感じです。個人的にも参加性、貢献性には興味が惹かれるところです。
結局のところ、市場がどのように変化していっているのか、そういったことを敏感に感じていかないといけないということですね。すべては現場にあり!だと思うので、常に意識をしながら取り組んでいきたいと思います。