DQⅤ 「花嫁論争」のすべて
はじめに
1992/9/27のSFC版発売以降、30年以上も続く「花嫁論争」を今一度紐解き、論点を整理してみます。(全ての記述はDS版準拠です。)
*花嫁論争:DQⅤで結婚相手に以下の3者の内の誰を選ぶか、という問い.
Ⅰ.基礎事情の列挙
ⅰ.花嫁候補の比較
結婚迄に強制発生のイベント又はフラグ対象の発言限定で描写を纏めます。
(任意の会話=見逃し得る=重要度低い、と言えそうなため。周回は特に)
【ビアンカ】 ルドマンと共に、花嫁で唯一結婚前夜にフラグ(&面識)有
・「暫く会えないかもだし(リボンを)あげる」=レヌール城攻略後の約束
・「又冒険しようと約束したから生きていると信じていた」=村での再会時
・ダンカン「幸せにしたいが体が悪いので、一緒に暮らしてくれたら安心」
・ルドマン「リング入手とは気に入った。娘を選ばずとも結婚式は任せて」
・「フローラと結婚した方が良い。今迄も一人でやって来たし、心配無用」
・「もう少し夜風に当たっているわ、なんだか眠れなくて…。」=共に前夜
【フローラ】 *【デボラ】:OPのビスタ港&条件提示時に邂逅も非重要
サラボナ初訪問時・結婚条件提示時・水のリング入手後に其々以下の発言有
・「リリアンが私以外に懐くなんて初めて」/「名前も聞かずにボーッと」
・「夫は自分で決めたい」〜「それではあなたも私の結婚相手に?まぁ…」
(・アンディ「お金も宝も欲しくない、彼女が妻になってくれるなら… 」)
・「主人公が相手なら文句ない」(〜「主人公・ビアンカは両想いでは」)
ⅱ.既存論点の分類
以下3点に分類。太字は言及を見かけないが重要な筈だと感じた論点です。
(⑵・⑶の詳細は, Ⅰ ー ⅰ の各キャラ名に挿入のDQ大辞典のリンクに譲る)
⑴「結婚前の事情」重視派閥
ビアンカ派:「幼馴染だから」「お化け退治したから」「ダンカンのため」
フローラ派:「父の遺志に従い探すべき天空の盾を貰うための縁談だから」
⑵「結婚後の事情」重視派閥
ビアンカ派:「フローラにはアンディがいるがビアンカは独身の儘だから」
⑶「戦闘面の性能」重視派閥
ビアンカ派:幼年時代+10という高い加入Lv(他2人はLv8/10)
=低くてLv16程(親分ゴーストが割と強い)+滝の洞窟分
フローラ派:イオナズン デボラ派:魔神の金槌 共通)ルドマン夫妻支援
Ⅱ.考察材料の分析
ⅰ.作中描写の示唆
a.恋愛感情の描写
・主人公がビアンカを好きな描写:フローラの発言のみ=慮っての方便かも
・主人公をフローラが好きな描写:サラボナで一目惚れ &デボラも好意有
=「花嫁側の片想いは確実だが、主人公側に好意があるか不明」という点で
ビアンカとフローラ(とデボラ)は対等:「愛の無い結婚」は存在しない
b.結婚目的の描写
・パパスの手紙:マーサ奪還に必要な天空の防具の収集を遺言(必須イベ)
・ルドマンの触れ状:フローラの結婚相手に家宝の天空の盾を譲る(任意)
=本来の対立軸は「ビアンカとパパスどちらを優先するか」:価値観の問題
(任意ながらヘンリーの「親も子の幸せを願う」発言=本対立軸の解消?)
ⅱ.本件特有の特徴
a.人格否定の散見
・単なる好みの問題に加え、物語上の事情に対する価値観の差も存在のため
・デボラ派が穏健なのは物語上の事情が無く、選定基準が好みしかないため
b.論点の単調増加
・発売から30年で記憶が風化+この手の議論はエアプが跋扈=誤情報存在
・「今なら〇〇」と言い易い+周回も可=完全初見時の情報以上の論点存在
c.プレイスタイル
作中の人物とプレイヤーどちらの視点でRPGを遊ぶか、という論点です。
上記2点の特徴双方に関連するため、重要な争点として新たに提唱します。
・本作は3つの時代を通じて主人公の半生を描くため、ある出来事に対する作中の人物とプレイヤーとの時間的離隔が大きい=結論に差異 :aに関連
・DQ主人公は喋らないため、作中の人物視点で遊ぶスタイルであっても、その意思の解釈・確定にはプレイヤー視点が入る=主張に差異 :bに関連
ⅲ.現存諸説の反駁
A.価値観の相違に基づく議論
⒈「幼馴染で冒険も色々した」説
⒈ー1 「幼馴染」説の否定
「サンタローズで会った時パパスが『そちらの娘さんは?』と言う程度」説
⒈ー2 冒険の優位性の否定
冒険先は短時間で攻略可+再会迄に強ボス3体&パパス死亡・遺書発見イベ
*Lv上げで時間費消・特徴的な強敵多数の死の火山から同行なら違った?
⒉「道具のための愛なき結婚」説
⒉ー1 財産目当て説の否定
天空の盾は自分が人質でなければ倒せる敵の攻撃で死んだ父の遺言=印象的
*遺言の問題であり、実際には天空装備が(前作と違い)不要な点は無関係
⒉ー2 愛無き結婚説の否定
ルドマンが縁談提示・フローラも一目惚れ=両者納得(前述) + ⒊・⒋
B.ビアンカ固有の事情の議論
⒊「ビアンカと結婚する流れ」説
「天空の盾が貰えると聞いてフローラの婿に立候補、条件の2つのリングの入手過程でビアンカと再会」なのだからフローラと結婚する流れな筈です。天空の盾情報はフラグではないとはいえ、この主張だけは理解出来ません。他の主張は理解した上で検討しているので、何故こうなるか教えて欲しい。
⒋「独身のビアンカが可哀想」説
主人公に未練の描写の存在から「独身でも幸せ」という一般論は適用不可。
そして、「愛があるからこそ可哀想だと思う」という意見の納得度に鑑み、憐憫の情で結婚するのかとの反論は失当、本争点はビアンカ派が正しそう。
「憐憫の情」の「情」は『同情の情』ではなく『愛情の情』だったんですね
Ⅲ.本記事内の主張
ⅰ.論理展開と結論
一.論点の限定
・花嫁は長期離脱する上、以降のボスは強くなく仕送り不要=性能考慮不要
・論点の散逸で混迷&「アンディがいる」は乱暴=結婚前の事情に絞るべき
・ビアンカに優位性不在(幼馴染:⒈ー1 冒険:⒈ー2 愛情:⒉ー2)
二.花嫁の選定
以下2つの価値観の選択次第(前者はフローラ・後者はビアンカに親和的)
Ⅱ ー ⅱ ーc:プレイスタイル(作中の人物:⒉ー1 プレイヤー:⒈ー2)
同ー ⅰ ーb:友達か、家族か(友達:⒋ 家族:⒊ 但しヘンリーの発言)
ⅱ.立場表明と総括
一.立場
冒険の書3つで分ける、マイルドなフローラ派 =以上の議論は「後付け」
理由)性格に惹かれたから(滝の洞窟以降のビアンカが案外あざとかった)
ゲーム的にフローラ選択が自然だし、パパスの遺志も尊重したいから
*ダンカンの願い・非結婚時の帰趨・初期Lvの高さはビアンカ派に分あり
( Ⅰ ー ⅱ の3分類共にビアンカ選択理由有=難解) 只、これも後付け。
二.総括
花嫁論争=2つの価値観の対立で苛烈(3人対等より事実立脚の判断不可)
・友達か、家族か :花嫁論争の本質である以下の命題 =ビアンカ派有利
主人公に大きな未練有のビアンカか、パパスの遺言を叶える鍵のフローラか
・プレイスタイル :作中で時間経過より結論に差発生 =フローラ派有利
作中の人物視点か、プレイヤー視点か *デボラは非重要な性能・性格のみ
おわりに
前提/事実確認及び下準備たる考察を前記したため、主張部分と論拠部分が一定数分離しています。言及箇所の明示や重要事項の反復にも努めましたが適宜立ち返って頂けたら幸いです。最後迄お読み頂き有難うございました。
*自己紹介記事はコチラ(https://note.com/n0te_1d_/n/neb121f846940)
攻略備忘録を纏めています。先に全て遊んでから纏めて放流する予定なので投稿は大分先なのですが、記事のストックは既に複数あるので完遂します。
(その一環として本作を改めて遊んだことが、本記事を書いた端緒です。)