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生成AI vs 人間の創造性

2023年3月


・ストックフォトの現状とAIに依る作画・デザイン考

 代理店側はどんどん都合の良いように規約を変える。ついには「製品開発への利用に同意」の項をもって、AIソフトの学習教材に利用し、外部には「著作権はクリア済み」と宣伝し始めた。

 しかし、規約に同意した時点では想定外の用途であり、代理店は作者に何の意志確認もしていない。そもそも作家は著作権は譲渡しておらず代理店サイトは権利管理者ではないのです。
 彼らの実態は、画像盗用被害に関しても「著作権者ではないし、対応の義務はない」と何もしない。一方で「自社管理の画像」と恣意的に利用し、まるで作家を下請け扱い。
 学習に利用された作者に報酬を支払うことも検討とのことですが、どれほど微々たる額か想像に難くない。

 創作者を軽視する業界にうんざりして私が辞めたように、今後はAIの学習素材利用を嫌うアーティスト系=個性表現志向の作家が去るでしょう。
 手数料という名目の中抜きで作家の利益を搾取し放題のストックフォト業界のこと、これがとどめとなるのでは。

 その結果、安直な量産型素材提供者のうちAIを使いこなす者だけが残るのかもしれない。
 いや、AIアプリが本当に普及し顧客自身がデザインを内製可能となれば、ストックフォトそのものの需要もなくなるでしょう。そのはずです。

・人間の創造性とは その歴史と創作者の本質

…かつてリアリスティックな絵画が求められた時代、写真の発明があっても絵画という表現行為は別の可能性を開いた
 むしろリアル志向の枷が取れて、ある意味自由になったのです。

 あるいは逆に写真をしのぐエアブラシ活用のハイパーリアルなイラストでファンタジーを表現する流れもあった。
 その後Photoshopの登場でエアブラシ手法は廃れたようですが、人間の創造意欲はデジタルに飲まれはしなかった

 しかし素朴な鑑賞眼しか持たない人々は、
現在でもリアリズム絵画に「写真みたい」と感嘆し評価する傾向があるのではないでしょうか?
 あるいは。既存のアニメやゲーム絵など既知のもの・既存のものが再現されていれば「凄い」と評価してしまう
 
彼らにとってはAIはうってつけの道具でしょう。模倣と再現。
しかし、それが進めばどうなるのか。

 AIが学習する材料もAIが作ったものばかりとなったら?
 似たようなものが量産されるだけで突出したものは出てこない。何と退屈なことか。

 結局のところ「情報量が多過ぎるが無駄な情報も多い」という現状に視覚的要素も加わるというだけです。

 遅かれ早かれ大衆もその飽和状態に飽きがきて、転換点が来るでしょう。

 一般に人々は創作者を表現という行為に駆立てる内的必然性という本質を見落としている。

 技術の進歩に淘汰されるのは、独自の表現欲求を持たない者だけです。
 自己という唯一独自のフィルタを通してものを創り出さざるを得ない人間は新しい技術の存在自体には左右されない。

 私もまたそんな表現者の端くれではあるので(実現できているかはさておき)、AIの進化によって制限されるのは比較的簡単に制作できるイラストで小銭を稼ぐことだけです。

 そしてAIの学習材料にされるまでもなく、これまで十分、他の人間に盗用されてきた。その裾野が広がっただけで、その前に市場から撤退したというわけです。

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