僕と、魔物と、ちいさいやつ。
「お前、何者?」
えっ。え……?
「お前、何者だ?」
…………。
人に名前を尋ねるときは、
自分から名乗れってんだい!
・・・・・・えーっと。
私、株式会社○×商事の狩菜と申します。
株式会社?○×商事?
○×商事ではナンタラサービスをどうたらで。
知らんし。
どこそこ大学出身で。
新卒で○×商事に入社して。
年収うんたら万円で。
会社無くなったら お前 どうなる。
XX万人にフォローされてて。
誰々にフォローしてもらってて。
誰それさんのサロンに参加してて。
オンライン じゃないと
お前は お前じゃなくなるのか
誰かが 居なくなったら
お前は お前じゃなくなるのか
えーっと、えーっと……。
お前が お前である ことを
証明できるか?
僕は、僕だ。
その僕って なんだ。
もしかして。
お前が 急に 居なくなっても
誰も 気づかないんじゃ ないか?
なあ
お前は 価値ある人間?
・・・・・・。
稲永です。
最近、言葉の企画という講義に参加していて、
そこで出された課題について考えています。
「あなたは、何をする人になりますか?」
これをA4のPDFにまとめる。
何から考えていけばいいやら……。
未来のことなんて、当然分からないし。
何をしたい。
ではなくて、
何をする。
という言葉の違いは、
決定的に【重さ】が違いそうだなぁ。
ん?
あ、おい!!
なんだよ、これ!!
ぜんぜん違う質問じゃないか!!
どうせ お前は いっつも
この質問に たどりつくだろ
…………。
何をしていく人間になるのか?
何がお前の生き甲斐なんだ?
お前にとって かけがえのないものは なんだ
お前が お前である 必要は あるのか
そんなものあるのか
なんだ、お前、誰だ。
俺?
俺は お前らの
不安……。
で どうしたい?
お前に 何が出来る?
……。
僕は、何をしたいんだろう。
僕は、何が出来るんだろう。
あ。
人に笑顔をプレゼントするのが好きだ。
そうだ、僕は、絵を少しだけ書ける。
同級生の全員の似顔絵を書こう。
そうしたら、みんな喜んでくれるだろうし。
よし。よし。やってみよう。
お前よりも 絵が上手いやつなんて
死ぬほどいるんだぜ
お前である 必要なんて ないんじゃないか。
どうせ下手くそって思われる。
やめとけ、やめとけ
そうだ、また馬鹿にされる。
どうせ、また。
やめよう。
どうせ、また報われないし。
「んなわけ無いだろ!!」
おわっ!!
いつものパーカーに、ニット帽……。
いなながくん!ジェラート!!
「いつまでグジグジやってるんだよ!!」
だって、どうせまた。
「うるせえ!!!
ジェラート先輩!
言ってやってください!」
「…………な!!!!」
え、どういうこと…。
「そういうことだ!!!」
どういうこと……。
「おい、リク!!
お前、講義受けてきてから、
何やってきた???」
ええと……。
全裸になったり
カクヨコのビジュアル作ったり
日本中にドミノ送ったり
ラジオやったり
似顔絵書いたり
「いっぱい
やってきてるじゃねえか!!!
いっぱい
挑戦してきたじゃねえか!!!」
「濃っ!!!!!!
なんていうか、俺ながら
濃っ!!!!!!!!!」
「拙くてもな!!
バカにされてもな!!
挑戦している今この瞬間は!!
誰にも否定できねぇんだぞ!!」
「もう十分だろ!!
あとは、お前の足で行けよ!!
お前の手で、書き続けろよ!!」
「湧き上がる不安には、勝てない!!
絶対に無理!!!キリがない!!」
「どんなにやばい状況になっても、
つらい状態になっても、
この瞬間に戻ってこい!!!」
「作ったものは、
俺は、絶対に裏切らない!!」
「書こうぜ!」
(後日談に続く。)