弁護士自転車雑記帖|出会いとはじまり
自己紹介にもちらっと書きましたが、最近、自転車通勤をしています。弁護士になってから、自転車に乗るのは旅行先のレンタサイクルくらいでした。そんな私が、6月には距離にして400kmくらい、時間にして35時間くらい自転車に乗るようになりました。一体何があったのか。
コロナ・ブルー
2020年4月の終わり頃。世は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の真っ只中、私もご多分に漏れず在宅ワークの日々を送っていました。
ほとんど準備なく緊急事態宣言を迎えた私は、業務効率の低下にあえぎ、同僚とのコミュニケーションの停滞に悩み、待ちわびるプロ野球は開幕せず、趣味の麻雀もできず(している偉い人もいたようですが)、鬱々とした気持ちになっていました。
このままじゃまずい。何か変えないと。
思いついたのが、自転車でした。
在宅ワークの運動不足を解消しようとウォーキングをしていましたが、自宅の周辺1時間圏内はだいたい歩き尽くし、新鮮さがなくなりつつありました。
行動範囲を広げたい。だけど、あくまでも在宅「ワーク」なので歩く時間を延ばすにも限度がある。自転車なら、気軽にちょっと遠出ができるなあ。最初はそんな考えでした。
どれにする?どこで買う?
自転車選びが始まりました。せっかく買うなら、「密」回避と運動のため通勤にも使えるやつがいい。自宅から私の事務所までは約10kmで、高低差もそれなりにある。なら電動アシスト付きがいいか。そういえば、事務所が入っているビルには駐輪場がない。折り畳みなら何とか置けるか。
しばらくインターネットで探していましたが、自分にメンテナンス能力がないことに気づき、そうすると、オンライン通販ではなく、点検整備修理などのアフターフォローがある店頭で買うべきか。
出会いとはじまり
だんだんリアリティが出てきました。
ある日のウォーキングの際、近くの自転車店に入り、相談してみました。
「ありますよ。これどうですか?」
「!!」
決して安いものではありませんでしたので、妻に相談して一晩熟慮。翌日決意して購入しました。
それがこれです。
OUTRUNKという製品で、本来は、キャンプのとき車のトランクに乗せて持っていくとかの使い方が推奨されているようです。
山を走れるなら街を走れないはずがありません。最近めっきりご無沙汰ですが、いつかキャンプもするかもしれないし、車は持っていませんが、いつか買うかもしれないし。かくして、私の自転車ライフが始まったのでした。
何これ。楽しい。超楽しい。
速い。めっちゃ速い。楽だし爽快だしすいすい。まるでステマですが、最初の感想は正直にこんな感じでした。振り返ると、自転車に乗るのは約8年ぶり。子供の頃、初めて自転車に乗ったときのような万能感。こげば進む。どこまででも行ける。
いつもの景色はふだんと違う彩りを持って、弾むように私の前を流れていきます。わくわくが止まらない感覚。電動アシスト付き自転車に乗るは人生初でしたが、ちょっとした坂道でこぐとグッと押される感覚はたまりませんでした。毎日合間を縫っては自転車でお出かけするのが日課になりました。
「チャリ通」への道
自転車通勤を始めるためには、多少準備が必要でした。
まず安全対策です。「密」回避とか運動とかいっても、事故に遭ったら元も子もありません。ヘルメット、点滅型のヘッドライト(白色)、テールライト(赤色)を買いました。加害者になることも十分あり得るので、もちろん賠償責任保険にも加入。
次にカバンです。通勤には主にトートバッグを使っていたのですが、自転車には向きません。ビジネスっぽいリュックサックを買いました。飲み物や財布の出し入れがしにくいので、さらにウエストポーチを買いました。
あとは服装です。私の持っている服は、スーツか私服かの二択、という感じでした。スーツは自転車に向かず、私服は勤務に向きません。ちょうどクールビズが始まる時期でもあり、機能的で、かつビジネスシーンにも耐える服を整えるため、ユニクロに通いました。感動パンツ、いいですね。靴も底がラバーのものを準備しました。
いざ出勤!
ここまで資本投下したら、もう自転車通勤をしないわけにはいきません。スマホに自転車アプリSTRAVAを入れ、いざ。
約10km、時間にして約50分のライドは、発見の連続でした。知らない道、知らない店、知らない風景。ちょっと路地に入ってみたり、思い出のあるところに寄ってみたり。フレッシュな気持ちで事務所に着くと、無機質なオフィスがいつもと違って見えます。自然と意欲がわき、集中力が高まり、仕事がはかどります。これこれ。これがやりたかったんだ、私は。
電話、メール対応や文書作成を次々とこなし、終業後はまたお楽しみの50分。途中でお土産にお菓子を買ったり、行きとは道を変えてみたり。家に帰ると、いつも以上にご飯がうまい、ビールがうまい。世界が変わりました。
自転車での通勤時間として、50分というのは短くありません。ただ、電車通勤でもドアtoドアで最短約40分かかります。待ち時間がなく、常に近づき続けているという体感があるので、時間の長さはさほど感じません。事務所を起点にした移動でも、たとえば霞が関の裁判所までは20分強で電車移動とあまり変わらず(タイミングによってはむしろ早い)、快適さがある分自転車が勝る感じです。千鳥ヶ淵を望みながら走る坂道は、都心の絶景といえます。
ひそかに期待していたダイエット効果ですが、自転車デビューから約1か月後に受けた健康診断では、腹囲、体重ともに残念な結果…。ん、ま、まあ、これからこれから!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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