Live goes on!!(経緯編)
Introduction
はじめましての方ははじめまして。
そうでない方は平素よりお世話になっております。
西片瑞樹です。
楽曲を解説するためだけにnoteを開設しました。
初投稿ということで軽い自己紹介でも…
楽曲を提供する度にnoteを更新していけたらと思います。
まずは定期的にどなたかに提供できるように頑張っていこうね。
さて、早速ではございますが2024年8月21日、歌手/声優として活躍する小林愛香さんが2nd Album「Illumination Collection」をリリースされました。
やった〜〜〜おめでとうございます!
自分はその中の8曲目「Live goes on!!」
作詞・作曲・編曲 Guitar, Bass & Other Instruments
を担当させていただきました。
一体なぜこんなことになったのか、Live goes on!!とは何者なのか、
今回は経緯と楽曲解説の2部構成でお届けします。長いよ〜
アニソン派!的楽曲コンペ
アニソン派!projectとは
近現代のアニソンを語る上で欠かせないクリエイターの方たちが夜な夜な語り合い、キュレーションを行い、毎クール良質なプレイリストを提供してくれる素敵なプロジェクトです。もちろん自分も存じ上げておりました。
2023年7月、そんなアニソン派!projectが主催となってコンペ企画が開催されることが発表されました。
いち早く友人にこの存在を教えてもらったのですが、突然ですが自分は以下の要素を兼ね備えております。
深夜アニメ、アニソン原体験が涼宮ハルヒの憂鬱と灼眼のシャナ
15年来のUNISON SQUARE GARDENのファン
ラブライブ!シリーズに人生を捻じ曲げられた
この企画、「俺じゃん…」といつの間にか声を漏らしていました。
その上、小林愛香さんのアーティスト活動は作曲家・田代智一さんが音楽プロデュース、プロデュースチームQ-MHzが表題曲を手掛けるプロジェクトということもあり、いち早く聴いておりました。ご本人の歌声がAqoursでデビューした頃からとても好きだったので、この布陣でのデビューはめっちゃ嬉しかったですね…
というわけで二つ返事でコンペへの参加を決めることにしました。
当時はまぁ応募者めちゃ多そうだし事務所所属のプロも参加できるからコテンパンのボロ雑巾にされそう〜〜〜ダメだったら仕方ないね〜の精神でした。
曲のコンセプト決め
コンペにおいて、いちばん大事なんじゃないかなと思うのがこの部分です。
アーティストのファン層や過去の音源などを踏まえた上で他者と違ったアプローチを提案するのもよし、ど真ん中ストレートで刺すのもよし、とにかく絶対的な正解が存在しません。
アニソン派!的楽曲コンペは応募テーマが3つあったのですが、その中のライブで盛り上がる曲で勝負を仕掛けることにしました。
コンセプトを考える中で、今回アドバンテージになってくれた部分が「普段からアーティスト:小林愛香のリスナーだった」という点です。就活の企業研究と一緒でまずはアーティストを知るところでだいぶ時間がかかっちゃうのですがそこは免除となりました。やったね〜。
小林さんのライブで盛り上がる曲、そうなるとQ-MHzが手掛けるBPM185前後のパワーポップ調な楽曲群が筆頭に上がるなーとすぐに浮かびました。
Q. Q-MHzって?
A.
…はい、ここに真っ向から戦いを挑むのはやめました。
同じ方向性で出しても本家を上回ることはなさそうだしそもそも企画のコンテクストとして適切ではないと判断し、別の方向で盛り上がる曲を画策しました。
そうした中でざっと小林さんのインタビュー記事を読み漁っていた時、ひとつの記事が目に留まりました。
あ、これかも!
Lorem Ipsum、Tough Heartのカップリングですね。ファニーでわちゃわちゃした遊び心満点の一曲です。タイトルがもう既に遊び心の塊…
このテンポ感の曲ってありそうであんまりなかったからもっとライブ映え方面にチューニングしたらなんか新しいアンセム生まれるかも!と思い立った勢いそのままで制作を開始しました。
祝誕生
そうした中で生まれたのが「Live goes on!!」でした。コンペは基本ワンコーラス分での提出が基本で今回もそれでオッケー、しかも今回歌はシンセメロでも問題なし!なのですが勢い余ってフルサイズ仮歌付きで制作をしてしまいました。時間に余裕があったとはいえ勢いって怖い。
無事締め切り12時間前に提出し、のほほんと過ごしておりました。
そんな中9月上旬、一通のメールが。
以下、メール文要約↓
マージ?
朝一番にメール開いて飛び起きました。
全159曲?というか本人も全部聴いたの?というか一旦絞るんだ。というかイベントで最終発表??!?
流石にコンペとして聞いたことない展開に驚きつつ、これもしかしてもしかしたらもしかする??????と一気に希望と緊張感が生まれました。
コンペ企画ファイナル
そうして迎えた10月11日、イベントの詳細は下記となります。
最終選考の12曲に残った面々は会場の別室に招待いただいていたので、ドギマギしながら現地に向かいました。
別室に案内されるやいなや、オーガナイザーの田代さんと田淵さんにご挨拶をし(緊張した)、その後続々と来られた他のファイナリストの方々とも軽く交流をし、本編を見届けました。(名の知れた作家さんやついこないだアニソン派!ラジオのゲストに出てた人らが次々とやってきた段階で頭の中で「あ〜〜〜〜〜つよいつよい終わり終わり、解散解散!」となっていたのは内緒)(今ではみんななかよし)
本編で一曲一曲流した上で批評していただき、本編のラストに小林さんご本人がスクリーンに写った12曲の内どれかを指差すことでグランプリが決定!
群雄割拠の中、Live goes on!!は見事選ばれました。
ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜!
自分は大人なので叫び声を上げず、その場で顔だけで満面の驚きを表現しました。
クリムゾン・キングの宮殿とほぼ同じ顔だったと思う。
その後、1曲だけ採用の予定が急遽追加で2曲が内定となり、計3曲の採用に!
こうしてイベントは大盛況で幕を閉じたのであった。
↑少しだけその模様が見れます。
本格的な制作へ
興奮冷めやらぬ中、早速本格的な制作へ。
ということで音楽プロデューサーの田代さんを中心とした打ち合わせがイベント終了後しばらくして行われました。こちらで決まったのが
作詞作曲編曲全てお願いします。
デモの音が既に好感触なので演奏打ち込みも一任します。
基本既に作られているフルサイズの尺から大まかな変更はありません。
です。いいんですか?って打ち合わせの中で7回くらい言った気がします。RADWIMPSか?
特に歌詞に関しては、コンペ企画ファイナルを観ていた方なら思ったかも知れませんが2行くらいしか変更がなく、あとは全てfixとなりました。歌詞も個人的に思い入れが強かったので、そこを汲み取っていただけたのはとても嬉しかったです。
勿論細かな部分の修正はあったため、その場でご指示いただき修正の作業に入ることになりました。そこから修正→確認→指示→修正…のラリーが数回続き、楽曲自体もfixとなりました。どんどん曲が良くなっていくのを肌で感じましたね…
本当に無駄のない的確な指示と柔軟な発想力を目の当たりにし、音楽プロデューサーのお仕事の凄みを噛み締めておりました。自分もこうなりたい…
プリプロ、そして完成
楽曲がある程度fixしたということで、他に採用となったメキメキ地蔵さん、パリで食べたカマボコさんの楽曲と共にプリプロ(※“プリプロダクション”の略称。レコーディングを行うにあたって、それをスムーズに進めるための事前の準備)が行われました。
プリプロの様子は下記にてご覧いただけます。プリプロの様子が動画になってるのって業界全体で見てもレアかも。
制作中に常に念頭にあった「この人に歌ってもらいたい!」が現実になった瞬間でした。人は感動し過ぎるとこうなります。自分以外の採用された2組やチームの方々ともここで交流することができ、貴重な機会でございました。
今見ても動画内の俺の語彙力、終わってんな!!
上記のプリプロを踏まえ、楽曲のさらなるブラッシュアップ、歌の本Rec、トラックダウン作業を終え、Live goes on!!は無事完成に至りました。
トラックダウンは自分も立ち会いをさせていただいたのですが、実は自分の曲を他の方にMixしていただくこと自体初めてだったので、とーっても新鮮でした。俺の曲がどんどんバキバキにかっこよくなっていく…という流れがたまりませんでした。クセになりそう〜
祝リリース
こうしてアニソン派!的楽曲コンペで採用となった3曲を含む全12曲で構成された2nd Album「Illumination Collection」がリリースとなりました。
少しだけクリエイターからリスナーの顔つきに戻りますが、このアルバム、めっちゃ完成度高くないですか??
1曲目のLonely Flightから強い"意思"みたいなものを感じるしその次のBUMMER, BUMMERでいきなり今までにないラテン調へ。この曲は歌唱力とメロディセンスが爆発していますね。続く3曲目でシティポップ風のサウンドが流れた時点で「このアルバムは1stとはなんか違うぞ」と確信。その破壊力は4曲目のメキメキ地蔵さんのアミュレットメモリーで特大のエモとなって聴覚に訴えかけてきます。アミュレットメモリー、ストリングスが入って一層マジの泣き曲になったね… 5,6,7曲目では少し肩の力を抜きつつ、それでも細部の作り込みに舌を巻きっぱなし。身近なもの、コトをテーマにすると所謂ネタ曲っぽくなりがちなんですがどれもオシャレでメリハリがしっかりしているのも魅力の一つなんだよなぁと。そこから8曲目のLive goes on!!で超クラウチングスタート!4分駆け抜けたあとはAs Oneで一気にあたたかい気持ちに。小林さんの表現力とカミカオルさんの重厚なコーラスが本当に神々しい一曲。続くKANPAIではオシャ乾杯ソングという新たなジャンルを開拓されており、やっぱり田代さん佐伯さんの黄金コンビなんだよなぁと思わせてくれます。11曲目にしてやっと完全既存曲のOriginal My Life。この流れで聴くと余計歌詞が刺さる気がする…盛り上がりながら泣ける曲。最後はパリカマさんのだれも知らないんだ。圧倒的音数とセンスで一気に世界に引き込まれ、駆け抜け、このアルバムは幕を閉じます。アルバムにおいて特に"読了感"みたいなのって大事だと思っているんですがこれ以上ふさわしい曲はないでしょう。ありがとうございました。
その時々によってお気に入りの曲が変動するタイプですが、今はAs Oneが刺さりまくってます。
…あまりにいいアルバムだったので、聴きながら自分の曲が収録されてるのってもしかしてなんかのバグ?と錯覚してしまいました。
こんなに素敵な作品の一部を担えて本当に光栄です。というか今回が初の商業作品への楽曲提供だったため、こんなに贅沢な初めてがあってええんかという気持ちでいっぱいです。たくさん聴いてください。10月にはライブツアーもあるのでそちらも是非是非…絶対楽しい…
おまけ:アコースティック版
ここで終わらないのがアニソン派!絡みのプロジェクト。
なんと実は8/23(金)開催のアニソン派!Vol.15@新宿ロフトプラスワンに小林愛香さんとサプライズ登壇し、自分がアコギ、小林さんが歌のユニット形式でLive goes on!!のアコースティックバージョンを披露しました。
(˙˘˙*)?
改めて文章にするとオタクの妄言Lv.999みたいなエピソードですが、大マジです。一年前の自分に言っても「嘘乙!w」と一蹴されそう。
アニソン派!、最後まで夢のあるイベント… もうロフトプラスワンの位置する歌舞伎町に足を向けて寝られません。
今ならまだ配信のアーカイブでその模様をしっかり確認できます。自分も見直しましたが結構いい画角と音質で収録されているので是非ご覧ください。本当に関係各所がYesと言ってくれたから実現できた激レアな機会なので、視聴してお友達に差をつけよう!9/2追記:アーカイブ期間終わっちゃいました。見てくれた方に特大のThanksを…
アーカイブはこちら(9/1の23:59までなので注意)
嬉しい時間でした。
Outroduction
Outroductionって造語らしいですね。
ということで締めです。ここまで書いて楽曲解説に行き着いてないのヤバすぎる!!!なので2部に分けようと思います。
楽曲解説では各セクションごとに細々と解説できればと思います。このままだと累計一万文字いきそう。思い入れとエピソードがデカすぎる…
というわけで後半へ続く↓