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10mm
昔付き合っていた人がたばこを吸っていた。
たばこを吸っているのは付き合う前から知っていたから、同じフィールドに立ちたくて、友達が吸っているたばこを海辺で吸わせてもらった。何が良いのかは分からなかったけど、これで同じフィールドに立てたかなと思った。辞書の言葉の説明に使ってほしいくらい文字通りの若気の至り。
付き合った後、結局彼の前ではたばこを吸うことはなかった。吸わせてほしいとお願いしたことはあるけど、彼は体に悪いからダメだと言って私の目の前で吸い続けた。
副流煙の方が体に害があるのは周知の事実なのに、目の前で吸ってるのに、体を気遣って吸わせないという、矛盾に満ちた行動が理解できなくて、理解できないから好きだった。究極の若気の至り。鳥肌で大根おろせるわ。
彼と別れて、喫煙者と仲よくなるたびになんとなく彼のことを思い出しては、自分で振ったくせにセンチメンタルになって、なんとなく吸いたくなっては自制してを繰り返してるんだけど、結局吸ったところでどうにもならないのは分かってるのに、なんでそういう衝動に駆られるんだろうね。たばこ買うお金もったいないし、彼のことは全く好きではないし、会いたいとも思わないんだけど。
喫煙者相手だとどうしてもその時付き合ってた彼がちらついて、当時叶わなかったことをなぜか相手に求めてメンヘラ化してしまって関係をぶっ壊し続けた。
いつかこういう気持ちは年を重ねれば消えていくと思っていたけど、結局ずっと残ったまま、もう30年も生きてるのに、早く大人になりたいなと思ってしまう自分が痛すぎる。何科に行けばいいのかも分からないから、シンガーソングライターになって、この時の思い出だけで100曲作って成仏させるしかないなと思い始めた。