札幌銭湯スタンプラリー2024のこと(その26・文の湯)
2024年9月24日、文の湯さんへ。
札幌銭湯スタンプラリー2024の26軒目。
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「銭湯に行って長生きしよう!」
「お風呂に入って健康促進!」
そんなキャッチフレーズを目にすることがある。
銭湯、風呂は身体によいらしい。しかし、本当にそうだろうか。
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「酒は百薬の長」とかいう。
この言葉をそのまま受け止めると、酒は最強メディスンということになる。
もしそうならば、健康診断の前夜以外は必ず酒を飲んでいる人間こと私が、日を追うごとに衰え、節々が痛み、残尿に悩み、手元が見えづらくなっているのは納得できない。
かといって「酒は百薬の長」という言葉が否定されるかというと、それも違う。
恐らく、私は飲み過ぎている。要は程度の問題だ。
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銭湯、風呂は身体によいらしい。しかし、本当にそうだろうか。
入浴スタイルによっては健康を害することもありえる。要は程度の問題だ。
少なくとも無節操に熱い湯、水風呂、サウナをサーキットし、心拍数を乱高下させる私の入浴スタイルは身体に悪い。
ではなぜ銭湯に行くのかというと、気持ちいいからである。
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気持ちいいことは身体に悪い。
世に存在する全ての「気持ちいいこと」は「身体に悪い」「法に触れる」「身体に悪いし法にも触れる」という3種類に分類される。必ずだ。
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「いや、私が思う『気持ちいいこと』は身体に悪くないし、法にも触れないですよ」
という声もあるだろう。
なるほど。では、ひとつだけ伝えておく。時代や文化や国によってはスケベも罪だ。
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銭湯、風呂は、必ずしも身体によいとはいえない。場合によっては健康を害する。
しかし、文の湯だけは万人の健康増進に寄与するかもしれない。そう思わされた。
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まず脱衣場だ。マッサージチェアと青竹踏みに加え、ランニングマシンまである。
「ランナーの方、歓迎!」
という銭湯は少なくないが、文の湯は人をランナーにするのである。
いわゆる「お前もランナーにしてやろうか!」だ。なお、文の湯は悪魔の森の奥深くでなく、琴似の住宅街にある。
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脱衣場だけでなく、湯もそうだ。
ラドン、シリカブラック、電気風呂と、言葉の意味はわからんが、とにかく健康にはよさそうな要素がてんこ盛りである。健康過多。健康過剰。健康トゥーマッチ。
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掲示されていたラドン風呂の解説には「総ての予防になる」とあった。
総て、である。
肩こり、ぎっくり腰、狂犬病、アキレス腱断裂、業績悪化、テレビ離れ、スクイズ失敗など、あらゆることを予防できるのだ。すごいぜ、ラドン。
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総てといいつつ、解説の下には
「こんな病気に効果が期待できます」
ということで、打身、糖尿病、高血圧、農夫症など、いろいろな病名が並んでいた。
…農夫症?
調べてみたところ、以下のようなことらしい。
いや、俺に全部当てはまるじゃないか。農夫だったのかよ、俺。
もちろん、ラドンのおかげで全て治った。
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電気風呂には逆に禁忌が示されていた。さすが、健康への配慮が素晴らしい。
そこには、心臓病、高血圧、老人などと書かれていた。
…老人?
いや、電気風呂はむしろ老人のものだろう。若者が入っているのを見たことなんて一度もない。絶対にない。
電気風呂は、おじいさんが身体をくねらせ、肩や腰へビリビリを当てるためだけに存在している。
実際、そんな光景を目にし
「これがエレクトロニック・ボディ・ミュージックってやつか!」
と何度も思わされた。
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一方で、入浴されている方があまりに高齢なため
「人って電気で死ぬぞ!」
と声をかけようとしたことも確かにある。
その経験を踏まえると、老人が禁忌なのは納得だ。
やはり、健康への意識が高いと言わざるを得ない。
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26こめ。電気ビリビリ デジタルDG.