
札幌銭湯スタンプラリー2024のこと(その9・藤の湯)
2024年7月23日、藤の湯さんへ。
札幌銭湯スタンプラリー2024の9軒目。
♦︎
久々の藤の湯。脱衣場に1枚の貼り紙があった。
「サウナ室で腰掛を使用した方は必ず中から出て下さい」
とのこと。
この貼り紙があるということはつまり
「俺はここから出ないぞ!」
と、腰掛を持ち込んで文字通り居座った不届者がいたのだろう。不法占拠である。
♦︎
藤の湯は3回目だろうか。毎回、湯船に入り
「深ぇっ!」
となっているが、今回は
「熱ぃっ!」
も出た。
その声は、湯でなくスチームサウナで発せられた。
♦︎
とにかく熱い。
こんなサウナに居座ったら確実に死ぬ。確かに出るべきだ。
鼻で呼吸をしたら、一瞬で全鼻毛が焼失した。花粉症には鼻の粘膜を焼くという治療法があるらしいけれど、藤の湯のスチームサウナでひと吸いすれば全治癒だろう。
私の語彙力と文章力ではうまく説明できないが、室温が熱いというより、熱い蒸気が室内に詰まっているといった印象だった。本当にうまく説明できなくて落ち込んでいる。
♦︎
そして、その特殊な熱さには覚えがあった。藤の湯でないどこかでも、私は鼻毛を全焼失していた。
仄暗いサウナ室。
再放送のドラマが流れるテレビ。
小虫が躍る露天スペース。
俺を見捨てる環状通。
俺を救う米里・行啓通。
あぁ、湯めらんどだ。
♦︎
かつて白石区に存在したその湯の立派なロッキーサウナでは、1時間毎に妙齢女性スタッフがやって来て、清掃や換気を行っていた。
その清掃&換気の締めくくりに
「お湯かけますね〜」
と、洗面器いっぱいのお湯をサウナストーンにぶっかけるという荒技が披露されていたのだ。
♦︎
ロウリュ開催中といったPRは皆無。湯めらんど側がロウリュという言葉、文化を知らなかった可能性すらある。
アロマもなければフィンランド直輸入のおしゃれな桶や柄杓(正式名称なんて知るか)もない。
しかし、あの蒸気の狂気性と凶暴性たるや。鼻毛は毎回失われた。とにかく最高だったんだ。
♦︎
私はインディーズロウリュと呼んでいたが、人によっては野良ロウリュとかゲリラロウリュとか命名していたようだ。言わんとしていることは共通している。
インディーズロウリュが最高だったのだから、もちろん藤の湯のスチームも最高だった。深い湯も、冷たい水枕もだ。
♦︎
ただ、違う湯のことを想ってしまって、藤の湯にはちょっと申し訳なかった。
向こうにしてみたら
「ウソだろ誰か思い出すなんてさ」
といったところだろう。
この日は真夏日。風呂では裸。
サマーヌードだ。
♦︎

9つめ。「中から出て」が「中から出して」の間違いなのはわかっている。