札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その19・奥の湯)
札幌銭湯スタンプラリー2023、19軒目は奥の湯さんへ。
スタンプラリーを開始して以降、概ね3日に一軒のペースで銭湯を巡っていたが、今回は1週間近く空いてしまった。ラリーの期限が迫る中、これはまずい。
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理由はある。
先週の土曜から、2泊3日で福島やら宮城やらを旅していたのだ。
札幌に戻ったのは月曜夜。次の日、つまり火曜日には仕事帰りの銭湯と洒落込み、旅の疲れを癒そうと思っていた。
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迎えた火曜の朝、私は自分の呻き声で目を覚ました。
両膝、両ふくらはぎ、両アキレス腱が痛い。痛すぎる。
原因は明白だ。旅行中、歩き過ぎた。
当地にいたときも違和感はあったが、旅行中ということでアドレナリンが出ていたのだろう、痛みまでは感じなかった。脳内麻薬とはよくいったものだ。
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銭湯はともかく、仕事には行かねばならない。
ぶっ壊れたASIMOといった歩き方で駅に向かい、なんとか職場にたどり着いた。
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動き回るタイプの仕事ではないが、痛みは増す一方。昼休みには限界を迎えた。
もう下半身をキャタピラにしてくれ!
俺は令和のガンタンクとして生きていく!
覚悟を決めたが、あることを思い出した。
ロキソニンだ。
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先日、ピルケースを買い替えたのだが、ロキソニンを詰めた記憶がある。
昼休み、ピルケースを取り出した。
先日のチョコプラ単独ライブ(面白かった)で購入した一品だ。
ロキソニンのおかげで午後はだいぶ落ち着いたが、銭湯どころではない。大人しく帰宅した。
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水曜、まだ痛い。昨日よりはマシだが、まだダメだ。
どういうわけか、歩くと右膝から「コキッコキッ」とリズミカルな音が鳴るようになっていた。ヒューマンビートボックスというやつである。
ASIMO歩きで1日を過ごし、またしても大人しく帰宅した。
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木曜、万全とは言い難いがだいぶよい。
銭湯に行けないことはない。ただ、長距離ウォークは無理だ。
スタンプ用紙を眺める。未踏の銭湯は、どこもそれなりに歩かねばならないところばかりだ。
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しかし、ある銭湯の名が輝いていた。
「奥の湯」
奥の湯は地下鉄南北線・北34条駅の目の前だ。全然奥じゃない。
いざ。
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暖簾をくぐり、ASIMOの動きでスタンプ用紙を番台へ差し出した。
残り10軒。
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記憶が間違っていなければ、今年2回目の奥の湯。
背中の曲がった大先輩ばかりだが、自分の足でしっかり立っていらっしゃる。「ガンダム大地に立つ‼︎」ならぬ「おじいさん銭湯に立つ‼︎」だ。
片やガンタンクになりたい中年。足元がおぼつかない。スリッピーな床はデンジャラス過ぎたが、無事に熱い湯、サウナ、水風呂を楽しんだ。
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単純なもので、湯に水に浸かったら痛みはさらに和らいだ。ガンタンクにならなくてよかった。
昨日、観測史上最高気温を叩き出した札幌は今日も暑い。
ギラギラの夕陽が入念に洗った身体を輝かせる。
よし、令和の百式として生きていこう。