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札幌銭湯スタンプラリー2024のこと(その6・大豊湯)
2024年7月15日、大豊湯さんへ。
札幌銭湯スタンプラリー2024の6軒目。
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いわゆるサウナブームなるものに対して、シニシズムたっぷりの視線を注いでいる私だが、ふと大豊湯のサウナを想うことがある。
サウナの良し悪しを語れるほどの知見はないが、それでも大豊湯のサウナはよいといわずにいられない。
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レンガで設らえられたそのサウナは、やや暗めの照明も相まって、苦み走った重厚感を放っている。
いまの時代、男だ女だという物言いはよくないらしいが、それを無視してでも「大豊湯のサウナは男だ」といいたい。
黙して語らずというのだろうか、ある種のダンディズムに溢れている。ポマードとセカンドバックがよく似合う。
ロウリュもアウフグースもない。その静けさは、殺気と力強さを含んでいる。さながら、木戸修のようだ。
大豊湯のサウナは、木戸修なのだ。
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「大豊湯がサウナブームの波に飲まれたらどうしよう」
戦々恐々としていたが、いまのところは大丈夫そうである。
そもそも、何をもって「サウナブームの波に飲まれた」とするのかはわからないが、既述の通りロウリュもアウフゲースもそこにはない。
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サウナブームを
「汗まみれのおじさんしかいなかった空間が、若者のものになった」
と評した人がいた。それはきっと素敵なことだ。
素敵なことだが、では汗まみれのおじさんはどこに行ったのだ。居場所をなくしたおじさんは、いずこへ。
トー横か。トー横汗まみれおじさん一斉補導か。
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無論、トー横ではない。大豊湯だ。大豊湯にはおじさんの集う、あの日のサウナがある。
というか、大豊湯のサウナ自身がおじさんなのだ。
大豊湯の脱衣場(男子)には
「万歳!我らサウナ党」
なる書が掲げられている。
「サウナー」でも「サウナ推し」でもなく「サウナ党」だ。これは信用に足る。
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「~党」という言い回しは、おじさんにしか乗りこなせない。その辺の若造にはピーキー過ぎて無理だ。
「根っからのG党だからな、ダッハッハ!」
「生粋のビール党だよ、ナッハッハ!」
おじさんはすぐに結党し、入党したがる。
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「万歳!」もよい。
おじさんは意味もなく万歳をしたがる。
飲み会を締めくくる謎の万歳は、誰しもが経験するだろう。
これは、めでたいから万歳をするのではなく、万歳をすることでめでたさを生むという、ベテランならではの高等テクニックなのだ。
その技術の高さは、さながらキドクラッチだ。
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縁もゆかりもない札幌で、異常なまでに愛された木戸。プロレス界の七不思議である。
サウナブームの波に飲まれるなと願った私がいうのはおかしいが、大豊湯も異常なまでに愛されて欲しい。
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6つめ。