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大阪にある銀水湯と宝湯と末広湯のこと(その2)

これの続き。

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翌日は、スタジアムのある万博記念公園を早めに訪問。

まずは「くくる 万博記念公園駅店」で、たこ焼きと焼きそばを食い散らかした。

「スタジアムにもあるけど、駅で食ったほうが美味いし、並ばずに済む」
とインターネットで見たからだ。万博記念公園で、たこ焼きを美味く効率的に食う方法を知れるなんて、さすがインターネットだ。ありがとう、インターネット。愛してる、インターネット。

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いや、早めに万博記念公園へ行った理由は、たこ焼きでない。「太陽の塔」内部ツアーを予約していたためである。

Maniac Psycho.

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「太陽の塔」を後にして、パナソニックスタジアム吹田へ。

ピッチが遠い。アウェイの洗礼。

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パナソニックスタジアム吹田を後にした私は、宝湯へ向かった。

「銭湯の元日」こと10月10日には昆布湯が催されるらしい。さすが関西、出汁文化だ。
「うどんのおつゆが黒いやん!こんなん食えるか!」
である。

「ふろ屋でSDGsに繋がる‼︎」
とのことだが、一人称が「ふろ屋」でよい。紗倉まなが「えろ屋」を自称していることへのリスペクトだろう。

「地球温暖化対策に貢献したコンブ使用!」
は意味がわからなかったので調べたが、コンブなどの海藻類は海中に酸素を供給することで、温暖化の進行を防ぐのだという。正論なのかよ。何の説明もなしに急にアカデミック。

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宝湯は、やはり鏡が横に長く、湯船は一段高かった。

そして、フィットネスバスやらクリニックバスやら、何故か横文字な浴槽の数々。
「まあ、大阪はアメリカ村があるくらいだからな」
と間違った納得をした。

しかし、なんと、そんな中に、ブラックシリカの湯があるではないか。

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ブラックシリカは北海道の上ノ国町のみで採掘される、奇跡の鉱石だ。その石が半永久的に放射するアルファ波だかアクマイト光線だかの効果が凄まじく、全ての病気は一瞬で治り、ハゲは一瞬でフサフサになり、デブは一瞬でガリガリになり、野菜は甘味が増し、ワインは香り高くなり、花はより美しく咲くという。

記憶のみで記しているので少し間違っているかもしれないが、とにかく効果がすごすぎるのだ。エビデンスがどうとか、下らないことをいってはいけない。

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「よっ!似非科学!」
と、いつものように声をかけそうになったが、飲み込んだ。
大阪で出会ったブラックシリカの湯が、私は嬉しかった。

北海道内の温浴施設では、しばしばブラックシリカの湯を見かける。しかし、道外、大阪で出会うとは。

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アウェイで勝利したJリーガーがいう。
「こんな遠くまで多くのサポーターが来てくれて、すごく力になりました」
と。

私はいう。
「嘘つけ。心にもないことを」
と。

しかし、今はわかる。遠く離れた土地で出会う仲間ブラックシリカが、どれだけ誇らしく心強いか。

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全てのJリーガーに謝りたい。
すまん、武藤。すまん、アンロペ。すまん、ファンウェルメスケル(以下略)。

もちろん肩まで浸かった。すぐにフサフサ、ガリガリになったのはいうまでもない。

ブラックシリカパワーで、その夜は深く深く眠った。

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翌日。

黒門市場に早朝から営業している銭湯があるというので、もちろんお邪魔した。名を末広湯という。

公式が
「ミナミやナンバで遊んだ帰りによってください」
とアナウンスしている通り、ミナミやナンバで遊んできたのだろうという、ヤンチャそうな面々で賑わっていた。

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やはり鏡は横に長く、湯船は一段高かった。3分の3がそうだったので、大阪の銭湯ではそれが標準なのだろう。

銭湯ひとつとっても、アレやコレが違う。
だから、たまに遠くまで出掛けて、路地裏を覗いたり、バスに乗ったり、半額のお惣菜を買ったりすることは、とても愉快で価値がある。

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しっかり温まり、またしても、よしもと漫才劇場へ。

たくろうが好きすぎるので、それだけで大満足。他の面々も、日曜の朝10時から最高である。さすが大阪。素敵やん。

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大阪最後のランチは、芸人さん御用達の松屋(notチェーン店)で油かすうどんと親子丼のセット。

これが大変に美味かった。名前に「かす」を含んだ存在の中で、最も価値があるといえるだろう。

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7年ぶりの大阪。
Jリーグとお笑いを楽しんで、しっかり湯に入った。

「地元とやっていることが変わらん。というか、家にいるときと変わらん」
と思ったが、いや、太陽の塔に潜入し、たこ焼きを食ったじゃないか。

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次にお邪魔するのは7年後か14年後か。

わからないけれど、今度行くときはエスカレーターの左側に立って
「やべっ!関西はこっち側じゃねえ!」
を避けたい。毎回やってしまう。

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