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昨日のこと
立川談志という人は銭湯が好きだったらしい。
「銭湯は裏切らない」
という言葉を遺している。
談志の言葉といえば
「落語とは業の肯定である」というのも有名だ。
ただ残念ながら、無教養な私にはこの言葉が真に何を意味するのかわからない。
◆
業の肯定。
無教養なりの理解としては「まあ、いろんな人がいていいよね」といった感じだろうか。
どんなにダメで、どうしようもない人がいたって「それでもいいじゃん!」ということかなと思う。
まんじゅうが怖い奴、
そばのお代をごまかす奴、
自分の死体と対面して泣く奴。
そんな奴らがいてもいいのだ。
◆
「このダメ人間が!」と石をぶつけるのは易い。
でも「こいつダメだなぁwww」と笑える世界のほうが、たぶん平和だろう。
何しろ私自身がダメ人間なのだ。石をぶつけられたくない。
◆
昨日、どんよりとした天気の中、空気階段の単独ライブ、もとい単独公演を観に行った。
開演前、物販の列に並んでいると場内BGMでキリンジのエイリアンズが流れだした。
曲の内容と関係なく、いや関係あるんだろうけど「ああ、やっぱり俺はダメだ」と「そんな俺でもいいじゃん」という観念が同時に湧いてきた。
ひとりでお笑いを観に来ている俺は確かにダメかもしれないけど、でもそれでいいんだ。こどおじは弱くて強い。
◆
相変わらず、彼らのネタはダメな奴のオンパレードだった。
落語、コントに限らず「お笑い」は概ねダメな人が中心に据えられているが、彼らのコントは質・量ともにダメさがド級で、だから大好きだ。
お笑いをあれこれ語るのは趣味でないし、語ったところで皆目見当違いなのは目に見えているので控えるが、とにかく面白かった。
「こいつダメだなぁwww」が何度もあり、それゆえに「俺も石をぶつけられないように生きていこう!」と思った。
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彼らのコントが「業の肯定」なのかどうかはわからないし、繰り返しになるが、そもそも「業の肯定」が何なのかわかっていない。
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業の肯定はよくわからないが「銭湯は裏切らない」については自信を持って「わかります!ですよね!」といえる。
そういえば空気階段のお二方は銭湯やサウナの話をよくしている。
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業を肯定できるから銭湯に裏切られないのか。
銭湯に裏切られないから業を肯定できるのか。
あるいは、全く関係ないのか。
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ま、関係ねーよな。
帰り道、銭湯へ寄ろうと思っていたけれど、どうにも風邪っぽかったので真っ直ぐ帰宅した。
まるで僕らはエイリアンズ
あの曲が頭の中でリフレインしていた。
エイリアン、上等だよ。
最後に笑うのは宇宙人だぜ。
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会場限定に弱いのも業だ。