札幌銭湯スタンプラリー2024のこと(その17・福の湯)
2024年8月24日、福の湯さんへ。
札幌銭湯スタンプラリー2024の17軒目。
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その日は土曜日にも関わらず、私はお仕事だった。特命を受け、系列事務所のヘルプ。休日出勤というやつである。
休日出勤、大嫌いだ。
出動しない日を休日と呼ぶのだから、そもそも休日出勤という概念は成立しえない。
「ヤリチン童貞」「鈍足ピノ」が存在しないのと同じことだ。
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土曜の朝9時、全く馴染みのない事務所へ到着。全く馴染みのない面々に挨拶をし、仕事へ取り掛かった。
14時まで拘束されるとのことだったが、私は弁当を持参しなかった。なぜならば、用務地の近くに、みよしのがあるからだ。
14時までなら耐えられる。休日出動を終えてからのカレーと餃子は、どう考えても美味いに決まっている。
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迎えた14時。終わる気配が全くない。アディショナルタイムという感じでは全くない。なんだったら後半15分くらいの雰囲気。
「まだ時間あるぞ!集中!」的な空気が漂っていた。
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15時。ついに終わった。
「さっしすー」(お先に失礼します)
ちゃんと発声する時間すら惜しかった。空腹に耐えながら小走りで、みよしのへ。
「都合により本日の営業は15時で終了いたしました」
嘔吐&喀血&卒倒。
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よっぽど肩を落としていたのだろうか、いつの間にか隣に立っていた見知らぬ老婆が
「残念でしたね」
と声をかけてきた。
「そうですね。まあしょうがないです」
まるでオリンピック敗退インタビューである。
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周囲に他の飲食店はなさそうだ。
行く当てもなく歩き出すと、程なくしてセイコーマートを発見。なんと、イートインスペースがあるではないか。
「捨てるみよしのあれば拾うセイコーマートあり」とはよくいったものである。
「新発売」のシールが貼られたチャーマヨ丼を購入し、イートインスペースでかきこんだ。
チャーマヨ丼。
チャーシューにマヨネーズをぶっかけて白飯に乗せたという、恐らくバカが考えたメニューだ(褒めてる)。
当然のように美味かった。
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窓際のイートインスペース。
四番通を行きかう車。
8月24日の15時過ぎ。
太陽は少し手加減をしてくれるようになっていた。
ここで「若者のすべて」といきたいところだったが、イートインスペースでチャーマヨ丼をかっこんでいる疲れた顔のおっさんに、似合うはずがない。
せいぜい「働く男」だろう。
忙しいわ つまんないわ。
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チャーマヨ丼をやっつけて外に出ると、手加減はしてくれているが、まだ暑い。ピークは去ったのかもしれないが、しっかり夏だ。
今年も夏らしいことは全然していない。する予定もない。プロレスとサッカーばかり観て、銭湯に行ってはスタンプをもらっている。
最高だよバカヤロウ。
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8月24日の16時過ぎ。福の湯。
数名の客が黙々と身体を洗い、湯に浸かっていた。季節感はない。それでよい。だからよい。
主浴槽は、相変わらず鬼のように熱かった。いつでも熱いのだ。
真夏のピークが去ろうが、夕方5時のチャイムが今日はなんだか胸に響こうが、仕事できる男それが彼女の好みだろうが、せめて夢の中ででも君に逢いたかろうが、そんなことはお構いなしに熱い。
だから私は銭湯が好きだ。
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17こめ。いつも僕はひとりきり フロに入って寝るだけ。