札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その23・七福湯)
札幌銭湯スタンプラリー2023、23軒目は七福湯さんへ。
初めての訪問である。仕事帰りにお邪魔した。
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実は昨日も仕事カバンにお風呂道具を詰めて出社したのだが、スタンプ用紙を忘れてしまった。
うっかり八兵衛と双璧をなすくらいのうっかり者なので、想定されたミスではあるが、ラリーも終盤のこのタイミングとは。
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今日はちゃんとスタンプ用紙をカバンに忍ばせて出社。
午前中は偉い人のお付きで外勤。
午後、事務所に戻りパソコンを開けばメールの山。
私に来るメールといえば
「金曜、高橋と飲むけど来る?」
とか
「同期の藤田、離婚したらしいぜ!2回目!飲もうぜ!」
とかなのだが、今日に限って
「○○の件につき、ご教示いただけますでしょうか」
とか
「○○の方向性に関して、ご助言いただけると幸いです」
とか長文回答必須なメールばかり。
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「俺にいうな!」
かつて猪木が札幌で叫んだ。
私も同じように叫びたいところではあったが、そういうわけにもいかない。
午後は午後でびっちり会議だ。返事は待ってくれ。
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終業のベルが鳴り、メールの返信に取り掛かる。
「平素より大変お世話になっております。お返事が遅くなり申し訳ありません。ご質問の件、専門的見地から申し上げますと…」
うるせー!世話になんかなってねーし申し訳ないなんてクソも思ってねーよ!何が専門的見地だバカ!誰でもできるっつーの!カッコつけんな!
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「こんな会社やめてやる!」
かつて藤波が札幌で叫んだ。
私も同じように叫びたいところではあったが、そういうわけにもいかない。
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我が社を辞める理由はいくらでもあるのだが、一方で辞められない理由もある。
そんなことでと思われるかもしれないが、我が社の立地がよすぎるのだ。
他にもよいところがあるだろうと考えたが「雨風を凌げる」「トイレがある」くらいしか思いつかなかった。
とにかく立地がスーパーよい。テレビ塔、時計台、市役所の集うエリアといえば、そのナイス立地ぶりを理解してもらえるだろう。
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全てのメールに返信し、時計を見る。今日もノー銭湯でフィニッシュだ。恨めしくスタンプ用紙を眺める。
あ、七福湯があるじゃない。
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我が社から最寄りの湯が七福湯だ。つまり七福湯もスーパーな立地だ。
なのに今回が初訪問。これには明確な理由がある。
七福湯はアナーキーすぎる。
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休憩処で酒盛りが行われている。
タバコ吸い放題。
そんな情報を目に、耳にしてきた。
それがダメだといいたいわけではない。なんだったら私は酒を飲むしタバコも吸う。
ただ、令和の時代にその噂が真実だとするならば、七福湯はレジスタンス、アナーキストだ。
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そんな七福湯に集う面々は、当然、ならず者だろう。ロード・ウォリアーズみたいな連中がネズミを食いながら密造酒を呷っているに違いない。怖い。そんなとこ、行けるわけがない。
しかし、今日の選択肢は七福湯しかない。スタンプラリーを完走するためには、遅かれ早かれだ。
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初めての七福湯。
この4月から全面禁煙になったそうだ。
正直、これは残念だった。
ロード・ウォリアーズによる酒盛りも行われていなかった。
正直、これも残念だった。
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パワー・ウォリアーのメイクでスタンプ用紙を番台へ。
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閉店は21時半との事前情報を得ていたのだが、番台から「最近早く閉めてるので、20時50分には出てくださいね」と優しくいわれた。
これはロード・ウォリアーズ並に早く決着をつけねばならない。
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何をビビっていたのか。素晴らしい銭湯だった。正直、すまんかった。
いつか、酒宴に混ぜていただけるような大人になりたい。
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たっぷり堪能し、表へと出た。
大通にも札駅にも歩いて行ける。改めて最高の立地だ。
しかし、七福湯が長くこの場所にあり続けているのは、恐らく立地のよさだけが理由ではない。どこにあるかなんて些末なことだ。
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「こんな会社やめてやる、か」
そっと呟いた。(やめません)