見出し画像

札幌銭湯スタンプラリー2024のこと(その24・千成湯)

2024年9月18日、千成湯さんへ。
札幌銭湯スタンプラリー2024の24軒目。

♦︎

支払いを済ませて男湯の暖簾をくぐろうとした刹那、ロビーに貼られた矢沢永吉のポスターと目が合った。

永ちゃんのポスター。
千成湯には何度も来ているが、初めて気がついた。

(いつから貼ってあるのか?永ちゃんのファンなのか?Why なぜに生きているのか?)

思案しつつ脱衣場に入ると「アリよさらば」ではなく「SOMEBODY'S NIGHT」が流れていた。

千成湯は永ちゃん大好き銭湯なのだ。確信した。

♦︎

「〇〇大好き!」を前面に押し出している店、施設は少なくない。

高校時代、通学路上にビートルズ大好きなラーメン屋があった。
壁にはポスターが貼られ、BGMは常にビートルズ。入店したときの第一声は「へい、らっしゃい!」でなく「ヘイ、ジュード!」だった。最後のは嘘。

午前のみの授業を終えた土曜、下校途中に何度か立ち寄ったことがある。
ラーメンはうまかったが
「ビートルズのファンでもないのに申し訳ない」
という、変な罪悪感を抱えながら麺をすすった。

♦︎

社会人になりたてのころ、友人の松原君が
「近所にうまい焼き鳥屋を見つけた」
と誘ってくれた。

松原君に連れられてお邪魔したその店は、ジャイアンツ大好きな焼き鳥屋だった。なお、松原君は鹿島アントラーズのファンであることを付記しておく。

壁にはポスターやサインが貼られ、テレビは常にジャイアンツ。入店したときの第一声は「へい、らっしゃい!」でなく「ヘイ、カール!」だった。最後のは嘘。

焼き鳥はうまかったが
「ジャイアンツのファンでもないのに申し訳ない」
という、変な罪悪感を抱えながら頬張った。

♦︎

罪悪感だけではなかった。
他のお客さんや店主から
「今年の投手陣、どう思う?」
などと声をかけられたらどうしようという、恐怖感もあった。

私がジャイアンツに関して知っていることは

・川相はバントが上手い
・元木はクセ者
・馬場は風呂で転んだ

以上である。

「今年の投手陣、どう思う?」
などと声をかけられても
「投手といえば馬場!風呂で転んで引退!プロレススーパースター列伝で読みました!」
と、馬場のプロレスよろしくパワーでねじ伏せるしかない。

♦︎

千成湯は永ちゃん大好き銭湯だったのだ。
しかし
「永ちゃんのファンでもないのに申し訳ない」
という罪悪感は湧かなかった。

なにしろ全員が素っ裸である。
永ちゃんファンもジャイアンツファンもビートルズファンも、一様に裸だ。罪悪感も恐怖感も生まれようがない。

♦︎

浴後の脱衣場。BGMは岡本真夜。

え?ただの有線?さっきの「SOMEBODY'S NIGHT」はたまたま?だとしたら凄くね?それとも永ちゃんファンかつ岡本真夜ファン?食べ合わせ悪くない?涙の数だけ強くなれるの?アスファルトに咲く花のように?

千成湯七不思議のひとつである。残りの6つを見つけるためにも、またお邪魔するしかない。

♦︎

24こめ。Feelin' comes to me.

いいなと思ったら応援しよう!