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札幌銭湯スタンプラリー2024のこと(その15・滝の湯)

2024年8月18日、滝の湯さんへ。
札幌銭湯スタンプラリー2024の15軒目。

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札幌で一番熱い銭湯はどこか。

「宇宙の外側には何があるのか」と並び、すべての人間が一度は考えを巡らせる壮大な疑問だ。

札幌で一番熱い銭湯はどこか。

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鷹乃湯。なるほど、大本命だ。プロレスでいえば武藤、びっくりドンキーでいえばチーズバーグディッシュである。

真駒内湯。渋い。プロレスでいえばヒロ斉藤、びっくりドンキーでいえば牛肉プルプルである。

美春湯の薬湯。わかる、わかるぞ。ありゃ堪らん。主浴槽より薬湯が熱いという、トリックスターっぷりもよい。プロレスでいえばケンドー・カシン、びっくりドンキーでいえばパイナップルの乗ったやつである。

笑福の湯。いや、もう廃業してるって。それは「村田兆治の球は170Km出てた」みたいなことだから。確かにめちゃくちゃ熱かったけどさ。プロレスでいえば剛竜馬、びっくりドンキーでいえばメリーゴーランドである。もう会えないんだよ。

いろいろなご意見はあろうが、札幌で一番熱い銭湯、それは滝の湯だ。

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そもそも熱いとはどういうことか。

「湯の温度が高い」というのは間違っていないが、不十分な答えだ。

よいサッカー選手というのは、遠くにボールを蹴れるとか、早く走れるとか、そういう単純なことではない。

よいプロレスラーというのは、スクワットが何回できるとか、どれだけ重い物を持ち上げられるとか、そういう単純なことではない。

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単純な数字の問題ではないのだ。

「よいマラソンランナーは、速く走れるかどうかだけだろ」などという声もあろう。

なるほど。じゃあマラソンの世界記録保持者が誰なのかを知っているのか。私は問いたい。

我々の記憶に残っているマラソンランナーは世界記録保持者でなく、爽やかに「こけちゃいました」とコメントしたり、レース後に「初めて自分を自分で褒めてあげたいと思います」と涙を浮かべたり、双子だったりする。数字なんて関係ないんだ。

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滝の湯は熱いが、それは温度だけの話ではない(温度もめちゃくちゃ高いが)。

滝の湯の熱い風呂は、殺気立っている。これは褒め言葉だが、殺しに来ているのだ。
なぜそう感じるのかは、正直わからない。ただ温度が高いだけではない、何かがある。
水質か、浴場の雰囲気か。

滝の湯の熱い風呂は、シュートを仕掛けに来ている。

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あの日、木村が力道山に感じたであろう殺気。

あの日、前田がアンドレに感じたであろう殺気。

その殺気が、滝の湯の熱い風呂にはある。

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やられてたまるかってんだ。エイヤッと肩まで浸かった。

俺とセメントだなんて、いい根性してんなバカヤロウ。こちとらケンドー・ナガサキと同じ中学出てんだよ。舐めんな。

とかなんとか言っているうちに、私は敗れた。ヘロヘロのフラフラで最高に仕上がった。

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15こめ。ショアッ。

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