札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その12・あけぼの湯)
札幌銭湯スタンプラリー2023、12軒目は、あけぼの湯さんへ。
前回に続き、はじめましての湯である。
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まず、お詫びと訂正のうえ割腹しなくてはならない。
「札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その4・川沿湯)」で「このラリーで難関なのは真駒内湯、川沿湯、藤の湯だ。遠いから」といったことを書いているが、あけぼの湯が一番遠く、最大の難関であった。
遠すぎて見逃していた。過ぎたるは猶及ばざるが如し、というやつである(というやつではない)。
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とにかく遠い。
地下鉄に20分ほど揺られ、バスに乗り換えてさらに30分。合計約1時間の長旅だ。
たった1時間と侮るなかれ、全盛期のジョイナーだったら34kmも進むことができる。「ジョイナー 時速」で検索したら一発で答えが見つかったので、インターネットはやっぱり便利だ。
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最寄りのバス停で降りて徒歩数分。「金持ちが建てました!」という家が立ち並ぶ住宅街の中で、あけぼの湯が存在感を放っていた。
「あけぼの」は多分めでたい言葉だが、この屋号はめでたさ狙いではなく、手稲区曙という地名にちなんでいる。漢字で「曙湯」としなかったのは、元横綱失神KOのイメージを避けたかったからだろう。
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入り口には「海の帰りの方 お断り」という貼り紙。そうか、海が近いか。ずいぶん遠くに来たもんだ。
海帰りがNGというのは「ビーチでBBQだの花火だの騒ぎ散らかすヒゲピアスや金髪バカネイルどもが気に食わねぇ」という店主の考えによるものだろう。大変シンパシーを感じた。
他の理由があるのかもしれないが、私には何も思いつかない。
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番台のご主人にスタンプ用紙を渡した。
春も夏もあけぼのだ。
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脱衣場にも1枚の貼り紙。
「湯が濁っているのは温泉を使用しているためです。ご了承ください」といった意味合いのことが書かれていた。
「うちは温泉なんだぜ!まいったか!ひれ伏せ!」くらい言ってもよさそうなところ「ご了承ください」とはなんと奥ゆかしい。
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いや、もしかしてだ。
了承してくださいと下手に出ながら、その実、温泉アピールをしている可能性もある。「お茶漬け食べはりますか?」「綺麗なお召し物どすなぁ」とかの京都的裏メッセージテクニックである。
いやいやいや、あけぼの湯さんはそんなに腹黒くない。
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反省しながら外に出た。
暑い。日差しがキツい。腹どころか全身真っ黒になりそうだ。