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札幌銭湯スタンプラリー2024のこと(その11・真駒内湯)

2024年8月4日、真駒内湯さんへ。
札幌銭湯スタンプラリー2024の11軒目。

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期限が決まっているスタンプラリーの最中だというのに、10日ぶりの銭湯となった。
風邪気味だったのもあるが、公私ともに対処困難な出来事が続き、身体のみならずメンタルの調子も芳しくなかったため、期間が空いてしまった。

「もうダメ!俺には無理!できないできないできない!」
などと川本真琴のような弱音を吐きながら、家のシャワーを浴びる日々。

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メンタルが落ち込んだときこそ銭湯という発想もあろうが、私はダメだ。

よくないことが頭にあると、湯に浸かっているうちにその「よくないこと」がどんどん肥大化し、余計にしんどくなってしまう。

そんなわけで銭湯から遠ざかっていたのだが、真駒内湯の大きな湯船で手足を伸ばすことができた。
つまり厄介事は全て片づいたのだ。

窮地を救ってくれたのは、なつぽいだった。

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心身とも振るわない中、7月27、28日とプロレスを観に行った。
ここ1年ほど入れ込んでいる、スターダムという女子の団体である。今年の札幌は2連戦のビッグマッチ興行だった。

1日目のメインではワンダー王者の安納サオリ選手に、なつぽい選手が挑戦した。結果、封印していたフェアリーストレインを解禁し、なつぽい選手が新王者に輝いた。

「ワンダー?なつぽい?フェアリーストレイン?」
といった声は無視する。

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試合後、なつぽい選手がマイクを取り、言った。

「夢を叶えるために大事にしていることが2つある。少しの勘違いと根拠のない自信」

私は泣いた。

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「たゆまぬ努力と揺るがない信念」
とかだったら、私の涙腺が緩むことはなかっただろう。もちろんそれらも大事なことだが、そんな少年ジャンプ的コメントで泣くほど若くはない。

少しの勘違いと根拠のない自信。

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勘違いはないほうがよいし、根拠はあったほうがよい。なぜなら、たぶん、安全だからだ。

でも、残念ながら安全運転だけでゴールにたどり着けるほど、人生というものは甘くないらしい。時には猛スピードで爆走したり、ドリフトをしたりしなくてはならない。

それらを難なくこなせる人もいるのだろうが、私には無理だ。

少しの勘違いと根拠のない自信。それがなければ無理だ。

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「オレたちは1+1で200だ!10倍だぞ10倍!」

「5分延長させろ!テンミニッツだ!」

プロレス界には数多の名言がある。そしてプロレスラーは数字に弱い。

なつぽい選手のマイクは、それらと同じくらい、もとい、それらと同じにしてはいけないくらい素晴らしかった。

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おい、俺よ。
お前は少しの勘違いと根拠のない自信で、クソみたいな世を渡って来たではないか。泣き言をいう暇があるなら、少しの勘違いと根拠のない自信で抗えよ。それがお前だろう。

ワンダー王者の言葉は、心地よく重かった。

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少しの勘違いと根拠のない自信を取り戻し
「もうダメ!俺には無理!できないできないできない!」

「きっと大丈夫!俺ならできる!やれるやれるやれる!」
に変わった。

少し時間はかかったけれど、公私におけるアレコレは解決した。なつぽい選手のおかげだ。

ありがとう、なつぽい。まさにフェアリアルギフトだった。

俺はまた、銭湯に行けた。

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11こめ。ばいぽーい。

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